CMの世界を新聞の四コマ漫画で展開 相乗効果でブランドへの愛着心向上へ

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明治では2017年7月から、「明治プロビオヨーグルトR-1」のテレビCMとして、吉田沙保里さん、大森南朋さんを起用した「体調第一家族シリーズ」を展開しています。2018年12月からは12回にわたり、CMの世界観をベースにした四コマ漫画を朝日新聞紙上に掲載。テレビCM同様、社内外から大きな反響を得ています。

「家族の思いやり」をテーマに 話題性を重視した施策を展開

 2009年12月に発売された明治の「明治プロビオヨーグルトR-1」は、同社の60年以上にわたる乳酸菌研究のなかで選び抜かれた乳酸菌「1073R -1乳酸菌」を使ったヨーグルトである。それまでのヨーグルトとは異質な赤いパッケージ、乳酸菌名をそのまま使ったインパクトある商品名、さらに「強さひきだす乳酸菌」のコピーで、その特徴を強く訴求。発売から10年となる今、この分野で圧倒的なシェアをもつブランドに育っている。

 発売以来、テレビCM「世界の体調管理法シリーズ」をメインにコミュニケーションを行ってきた。

 「まずは体調管理の大切さに気づいてもらい、そのうえで日々の健康を支える存在としR-1を愛用していただきたい。そう考えて、世界の国々で実際に行われている体調管理法を長年、紹介してきました」とマーケティング・開発統括本部 宣伝部 ブランド1Gの堀越槙吾氏は語る。

堀越槙吾氏

 地道なコミュニケーションを継続的に行ったことと、テレビの情報番組などでとり上げられたこともあり、「R-1」は家族の健康を気遣う主婦や母親から高く支持されるようになる。 現在、ブランド認知は90%以上、購入経験者は40%を超えているという(同社調べ)。長年、継続的に飲んでいるファンも多い。

 とはいえ競合商品は次々と現れている。さらにブランドを成長させるには、ブランドへの愛着や好意を高める施策を継続的に行っていく必要がある。そこで2017年7月から、新たに始めたのが元レスリング選手の吉田沙保里さん、俳優の大森南朋さんが仲むつまじい夫婦「さおりん」「なおくん」を演じるテレビCM「体調第一家族シリーズ」だ。

 「今回は、体調管理をストレートに取り上げるのではなく、体調管理のために欠かせない『家族の思いやり』をテーマにしました。強さの象徴である吉田さんを起用しながらも、サザエさんのようなわきあいあいとした、幅広い層から愛される家族模様を描ければと思いました」

 CMは二人の結婚式から出産、子育てへと、ドラマ仕立てで展開していく。吉田さんのウェディング姿に始まり、吉田さんによるラップ、高橋尚子さんや髙木美保さん、澤穂希さんといったアスリートの共演などで、大きな話題を振りまいてきた。

 「体調第一家族から特別な結婚式をプレゼントしたり、二人の間に生まれた赤ちゃんの名前を公募したり。二人の両親にスポットを当てたものや、吉田さんの現役時代を振りかえるスピンオフも制作しました。CMを軸にいかに話題化し、コミュニケーションに広がりをもたせるかを心がけてきました」

ブランドへの愛着、親近感を増し CMへの関心も高めた四コマ漫画

 さらに新しい手法として取り入れたのが、CMの世界観をもとにした四コマ漫画だ。同社では、2018年12月から12回にわたり、朝日新聞の一面題字下や天声人語横にティザーとなる小型広告を掲載し、社会面に四コマ漫画を載せた。

2018年12月4日付 朝刊

2018年12月13日付 朝刊

2019年2月14日付 朝刊刊

 初回は、年末忙しくなる「なおくん」を気遣い、R-1を渡すしっかり者の「さおりん」。しかし「なおくん」は、鞄かばんの代わりにゴミをもって家を出てしまううっかり者だった、という話。2話目では、「なおくん」の体調管理のために「さおりん」がつくった愛妻弁当が、なんとR-1のキャラ弁だった、というオチだ。漫画ということもあり、CMでおなじみの二人のアツアツぶりも、よりコミカルに描かれている。

2018年12月26日付 朝刊

 「漫画の場合、どうしてもオチが必要なので、クリエーターの方は随分頭を悩ませていたようです。ただ漫画の場合、本人の演技では絶対にできないデフォルメした表現も可能です。キャラがより際だち、読者からも『体調第一家族』により親しみを感じてもらえたようです」

 2月14日にはバレンタインネタのストーリーを掲載するなど、掲載日にあわせた内容で話題づくりもしかけた。新聞で初めてこのCMシリーズのことを知り、テレビで次にどんなCMが放映されるのかを楽しみにしている、といった読者の声もあったという。

 「お客様からのお問い合わせも多く、掲載日を全部教えてほしい、続きが気になる、などといった声もたくさんいただきました。当初の狙い通り、テレビCMと新聞を組み合わせることで、コンテンツを話題化し、コミュニケーションに広がりをもたせることができました。テレビCMとの相乗効果は非常にあったと思います」

 新聞広告は、SNSで拡散しやすいのもメリットだ。吉田さんや大森さんも、自身が漫画化されたことを喜び、積極的にSNSで紹介してくれた。ウェブやSNSに関しては、今後はより個人によりそった情報を届け、それぞれの体調管理を支えるような施策の展開をしていきたいという。

2018年12月4日付 朝刊 1面 995KB

2018年12月4日付 朝刊 社会面 1.0MB

 「ただ信頼性が高く、じっくり時間をかけて読んでもらえる新聞は、商品の特徴をしっかり伝え、好感度や関心度をあげるには最適なメディアです。その日ごとの時間軸での訴求ができるメリットも大きい。いずれにしろブランド力向上のためには、商品ベネフィットと情緒の両方を継続的に、多面的なアプローチで展開していくことが重要です。そのためにも今後もテレビ、新聞、ウェブ、SNSなどそれぞれの良さを生かし、相乗効果を生み出す施策を積極的に行っていきたいと考えています」