池井戸潤氏が執筆した「ザ・プレミアム・モルツ」のものづくりストーリー。
「半沢直樹」の名物キャラクターをゲストに迎え、サントリーの営業マンが熱く語る!

 「コトブキ・ジローと五人のお客さま 半沢直樹編」と題する全六話の連載が、7月1日より朝日新聞紙上でスタートした。サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」と、「半沢直樹」シリーズの著者・池井戸潤氏とのタイアップ広告特集だ。サントリーでザ・プレミアム・モルツの宣伝を担当する杉本雅介氏と、マスメディアとのタイアップ施策を担当する三浦恵太氏にお話を伺った。

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左からサントリー株式会社 宣伝部・杉本雅介氏、
サントリーホールディングス株式会社 コミュニケーションデザイン本部・宣伝部・三浦恵太氏

「半沢直樹」の奮闘に「ザ・プレミアム・モルツ」の挑戦やこだわりを重ねて訴求

 「プレモル」の愛称で多くのビールファンに親しまれているサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」。ビールの需要が一気に高まる時期に先がけて、毎週金曜日の朝日新聞朝刊に池井戸潤氏執筆のストーリーを連載。プレモルのキャンペーンとも連携し、訴求効果の最大化を図っている。
 物語の設定はこうだ。新橋のとある小料理屋に「半沢直樹」の名物キャラクターたちが来店する。彼らが半沢の噂話を始めると、そこに居合わせたサントリーの営業マンのコトブキ・ジローがふと会話に加わり、かけ合いの中で、半沢の奮闘と、プレモルの挑戦やこだわりがクロスオーバーしていく。制作に携わった杉本氏は次のように語る。
 「『ザ・プレミアム・モルツ』について、『値段が高いビールですよね。どうして高いのかはよくわからないですが……』というようなイメージを持つお客様に、『プレモルは良い素材を使って、こだわって作られているんだな。プレミアムと言うだけあるな』と納得・共感していただけるようなメッセージをお届けしたい。なおかつプレモルのものづくりのこだわりを弊社目線だけで語るのではなく、お客様がより感情移入できるような物語を通して伝えられないだろうか。本企画はそのような思いからスタートしました」

 「一番重要視してきたのが、いわゆる純広と言われるような、テレビCM一辺倒になってしまうと、どうしても反応してもらえないお客様が一定数出てきてしまうのでは、といった点です。プレモルは良いビールなんだという、自己満足的なことを声高に言ってもスルーされてしまうのではないかという懸念がありました」
 企画は朝日新聞のタイアップ広告特集という形で実現。物語を執筆した池井戸氏は、朝日新聞土曜別刷り「be」で日本のものづくりの現場を訪ねる企画「池井戸潤が撮る 日本の工場」を連載中だ。
 「池井戸さんの作品にも、ものづくりを追求する人々がたびたび登場します。その世界観はサントリーのビール醸造家とリンクする。池井戸さんのキャスティングは朝日新聞社ならではの提案でしたが、願ってもないコラボレーションでした」(杉本氏)
 執筆に際し、池井戸氏は4人の醸造家に各1時間半をかけて取材し、工場でビールづくりの工程も視察した。企画の初期段階では、ビールの醸造家を主人公にした物語を想定していた。同じく制作に携わった三浦氏はこう語る。

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三浦恵太氏

 「我々からのオリエンや醸造家取材を重ねる中で、池井戸さんの方から、『より多くの人に今回の小説を読んでもらいたいなら、読者の興味を引くフックをつくらないと厳しいのでは?』とのアドバイスがあり、さらに先生の代表作で、テレビドラマ版も大変話題を呼んだ『半沢直樹』のキャラクターを活用するアイデアをくださいました。はじめはオリジナルの物語を書いていただく想定でしたが、大人気小説のパワーをお借りできるご提案にありがたく乗らせていただきました」
 池井戸氏が主人公に立てたのは、サントリーの営業マン、コトブキ・ジロー。プレモルについて語り始めたら止まらない“プレモル愛”の強いキャラクターだ。
 「実際、コトブキ・ジローのような熱い営業マンは弊社には多いのです。営業経験のある私にも覚えがあります。営業マンは醸造家よりもお客様に近い存在ですし、プレモルについて雄弁に語らせても違和感なく読んでいただける。確かに読者がより感情移入しやすい物語になると思いました」(杉本氏)

各テーマに合うキャラクターをマッチング

 第1話のテーマは「プレモルの挑戦」。ゲストは半沢直樹と同期の渡真利忍。第2話のテーマは「素材(麦芽・ホップ)」。ゲストは半沢直樹のライバルの大和田暁。第3話のテーマは「天然水・ミニブルワリー」。ゲストは金融庁の黒崎駿一。第4話のテーマは「醸造家」。ゲストは頭取の中野渡謙。第5話のテーマは「飲用時品質」。ゲストは半沢直樹の妻の半沢花。第6話のテーマは「プレモルのたゆまぬ進化」。ゲストは渡真利忍と半沢直樹。
 「弊社側からプレモルに関して取り上げて頂きたいテーマを設定させてもらい、池井戸さんがテーマに合うキャラクターを選んでくださいました。例えば醸造家をテーマとする第4回は、“人の力”をよくわかっている銀行頭取の中野渡をマッチングさせています」
 「池井戸さんには、『全話を通じて物語としての面白さを何よりも優先してください』とお願いしました。読み終えた後、結果としてプレモルの挑戦の姿勢や品質価値が伝わればいいと考えたからです」(三浦氏)
 紙面のイラストは、池井戸作品の表紙デザインを描いている木内達朗氏が担当している。

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杉本雅介氏

 「イラストのキャスティングも朝日新聞社の協力で実現しました。ビジュアルも池井戸作品に寄せることができたおかげで、より一層物語の世界観に浸れるコンテンツとなりました」
 「我々の思いが先走ると、ともすればプレモルは良いビールなんだと言いたくなりがちですが、あくまでお客様目線が重要。池井戸さんにはチームの総意として、プレモルが主人公ではなく、半沢直樹の物語に寄り添う存在として描いていただければとお伝えしました。」(杉本氏)
 掲載日には、一面に小型広告を合わせて展開。「半沢直樹っていうんですけどね、あいつ、プレモルが大好きなんですよ」などと、キャラクターのセリフの一部を掲載して読者の興味を引き、本広告に誘導した。
 「小型広告がウェブのバナー広告のような役割を果たしました。とても効果的な仕掛けだったと思います」(三浦氏)

理想的な顧客の反応に手応え

 展開後の反響は大きく、連載中の今も読者からの投稿が続いている。
 「第1話の掲載後、SNSを中心に『面白い! 続きが楽しみ!』『プレモル飲みたい!』『こだわりが理解できた!』といった声が寄せられました。さらに第2話の掲載後には、『大和田元常務の登場だ。うれしい!』『ジローに愛着が湧いてきた!』『プレモルを買った!』といった声が寄せられました。いわゆる“自分ごと化”から実際の購買に至るまでの理想的なお客様の反応を頂戴することができたと手ごたえを感じています」(杉本氏)
 「今回特徴的なのは、“いいね!”だけでなく、数行にわたる長い感想を投稿してくださるお客様が多く、作品に没入してくれていることを感じました。これまでの企画にはあまりなかったケースです。各所より『池井戸さんとこのような企画ができたのはすごい。どうやって実現できたのか』という問い合わせを多数いただいています。」(三浦氏)
 紙面掲載と並行して、朝日新聞社が運営する本の情報サイト「好書好日」でも特設ウェブサイトを設置。こちらは文庫本を読むような感覚で縦書きの文字を追えるデザインになっている。

 さらに、感想をツイッターで投稿すると、全六話収録の非売品ブックとプレモル(350ml×6缶)が抽選でもらえるプレゼントキャンペーンを展開中だ。
 「プレモルのツイッターアカウントには『好書好日』で展開したビジュアルと本文のキャプチャも掲載しており、これがコンテンツの“入り口”として機能して、読者を増やすきっかけになりました」(杉本氏)
 朝日新聞社とのコラボレーションについて、改めて両氏に伺った。
 「1話につき約3,000字の長文を400万部を超える部数で発信できて、しかも1つの“面”として読んでもらえるメディアは新聞以外にありません。デジタルだと、バナーを見せるまでなら多く方に届けられますが、原稿を読んでもらうには相当のハードルがあります。新聞のパワーを感じています」(三浦氏)
 7月14日からは、今企画のポスターを飲食店に配布。ポスターのQRコードを読み取ると、「好書好日」内の特設サイトに飛べる仕掛けを作った。
 「お店でプレモルを飲みながら物語を楽しんでいただけます。新聞の掲載日だけで終わらない、メディアミックスの広がりを実感できる施策となりました」(三浦氏)
 「サントリーにとってメディアの皆様はパートナー。朝日新聞社は1を100にできる心強い協業パートナーです。今回は朝日新聞紙面をハブにして様々なお客様との接点を作ることができました。また、純広告ではない施策の重要性と可能性を反響の大きさなどを認識する機会になりました。」
 「プレモルのこだわりを伝えるには中途半端なメッセージでは伝わらないと思っていたので、朝日新聞社というクオリティが高く、信頼性のあるメディアの皆様と組めたことは大きな意味があったと思っています。SNSなどで広がりが持てたことも良かったので、今後更にこのような手法を拡げていきたいと思います」
 「これからも効果的なコミュニケーションを通じてお酒を楽しむ豊かな時間をお客様に提案していけたらと思います」(杉本氏)

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