大谷翔平選手を“グローバルアンバサダー”に迎え、海外4カ国を含む60の新聞で「お〜いお茶」をアピール

 緑茶飲料ブランド「お〜いお茶」を展開する伊藤園は、今年4月、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手とグローバル契約を締結。大谷選手を「お〜いお茶」の“グローバルアンバサダー”として迎え、世界に向けたキャンペーンを始動した。キャンペーンの背景や具体的な施策について、伊藤園マーケティング本部副本部長兼緑茶ブランドグループ ブランドマネージャーの安田哲也氏に伺った。

日本の伝統文化である“無糖緑茶”を世界へ

 「お〜いお茶」の誕生は1989年。その前身となる「缶入り煎茶」(1985年発売)は、世界初の缶入り緑茶飲料だった。当時、緑茶は家で入れて飲むのが一般的で、買って飲む清涼飲料水は、ジュースや炭酸飲料が主流であったが、伊藤園は品質と“おいしさ”の追究を通して緑茶飲料の市場を開拓。その後も世界初のペットボトル入り緑茶を開発するなど、常にパイオニアとして緑茶の飲料市場をけん引してきた。

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 緑茶のトップブランドとして国内で広く愛飲されてきた「お〜いお茶」は、国内のみならず世界41の国・地域で販売され、各国で売り上げを伸ばしている。「近年の日本食ブームにともない緑茶の人気は海外でも高まっており、近い目標としては60カ国、将来的には100カ国を目指してグローバル展開に力を入れています。海外では無糖のお茶を飲む文化が定着していない国や地域が多く、世界のトッププレーヤーでありスーパースターである大谷選手の魅力をお借りしながら、日本の伝統文化である“無糖緑茶”を広くアピールしていきたいと考えています」と、安田氏。

 グローバル契約の締結に際して大谷選手は、「日本にいたときから『お〜いお茶』が大好きでよく飲んでいましたし、アメリカでの生活でも大切な相棒となっています」といったメッセージを寄せている。安田氏によれば、シリコンバレーなどアメリカの一部地域では、「クリエイティブサポート飲料」と言われている。「カフェインやカテキンを含む緑茶は飲むと集中力が高まり、糖質の多いエナジードリンクなどよりも健康に良いとして、シリコンバレーで働くIT関係者やクリエイターが『お〜いお茶』を手にするようになっています。大谷選手は睡眠をしっかり取るなど健康に留意されているイメージがあるので、キャンペーンをきっかけに『大谷選手が飲んでいるのなら』と、海外の健康意識の高い方々を中心に認知が広がっていくのではないかと期待しています」

伊藤園1修正 2024年4月30日付 朝刊 全15段4.4MB
伊藤園2修正 2024年5月20日付 朝刊 全15段3.9MB

 本キャンペーンでは、4月30日と5月20日、朝日新聞を含む国内外の新聞60紙に全面広告を出稿。また、5月末から6月にかけては、大谷選手の地元である岩手県の盛岡駅をはじめとする国内各地、ニューヨークやロサンゼルス、韓国、台湾などでも大谷選手をキービジュアルとするOOHを掲出した。

 4月30日の新聞広告では、「拝啓 大谷翔平様」から始まる手書き風の応援メッセージを展開。「お〜いお茶」のロゴが印字された商品の“正面”を遠景のスタジアム側に向けた写真を採用し、「大谷選手を遠くから見守っている」という応援メッセージの内容をビジュアルでも表現した。

 「5月20日の新聞広告では、「お〜いお茶」の原料が栽培されている雄大な茶畑で颯爽と立っている大谷選手の写真と、『いつの日も、僕のそばには お茶がある。』という大谷選手のことばを掲載しました。大谷選手の自然体で爽やかな雰囲気と、未来を見据える凜とした姿が印象的なビジュアルになったと思います」

新聞を起点に大谷選手のメッセージがSNSで拡散

 新聞広告の活用について、安田氏はこう続ける。「新聞メディアは読者層が幅広く、また、紙面を大切に保管できたり、部屋の壁に貼れたりと、その保存性も魅力です。今回はスーパースターの大谷選手の登場ということで、紙面をスマホで撮影してSNSに投稿してくださる方もたくさんいらっしゃいました」

 「また、新聞広告やOOHを起点にしたSNSの反響の大きさが影響しているのかもしれませんが、広告展開後、10〜20代の『お〜いお茶』の購買が増えたとの調査結果も出ています。『お〜いお茶』の購買層は、35年前の発売時に中心世代だった20〜30代がそのままスライドする形で、現在は50代以上の比率が高くなっています。全世代から支持されている大谷選手の起用には、課題としてきた若い方々へのアプローチを強化する狙いもありましたので、そこにおいても確かな手応えを感じています」 

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 国内は全国紙、スポーツ紙、全国各地の地方紙に広告を出稿。アメリカは全世界62カ国で配信される『Financial Times』、大谷選手が活躍するロサンゼルスの『LA Times』など、韓国は主要5紙、オーストラリアは『The Courier-Mail』などに出稿。ここまで大々的なキャンペーンは伊藤園にとって初めてと語る安田氏。

 数ある新聞の中で朝日新聞のイメージについて伺うと、「学校の教材や入試問題などで朝日新聞の記事が取り上げられることが多いですよね。若い人は新聞を読まないと言われますが、朝日新聞は学生を中心に若い方々が注目して読んでいるイメージがあります」と語ってくれた。

 同社はこの7月より、大谷選手とともに取り組む社会貢献プロジェクト「Green Tea for Good」を始動。第1弾として、「お〜いお茶」ブランドの飲料やリーフ製品の売り上げの一部を活用し、日本各地と世界各地における森林・水・生物多様性の保全活動を支援していく。期間限定で発売した「大谷翔平ボトル」の売り上げの一部も同プロジェクトの活動に充てる予定だ。

 「『Green Tea for Good』の活動は、当社が2010年度から取り組んでいる『お茶で日本を美しく。』プロジェクトをスケールアップしたもので、今年度は『お茶で世界を美しく。』を合言葉に、活動の輪を海外に広げていきます。もちろん大谷選手もこの趣旨に深く賛同してくださっています。伊藤園の社員一同誇りを持って取り組んでいるプロジェクトですので、大谷選手とともに、より多くの方々と思いを共有していけたらと思っています」