ブランド化によってキャリアを育てる
新卒で求人情報誌の広告営業を3年経験し、転職して採用マーケティングを担当。ここでクリエーティブ力も身につきました。現在は技術力と専門性を備えたエンジニアを様々な分野に派遣する会社に勤務しています。やがて人材派遣事業は技術系やIT系への変化が進み、私は技術系分野の採用業務立ち上げを命じられました。そこでエンジニア一人ひとりが派遣先で壁を乗り越え成長する姿を知り、自分がやるべき仕事の真価に思い至ります。それは技術力を磨いて孤軍奮闘するエンジニアを支援する制度の確立でした。
当社から技術派遣されるエンジニアは個人の技術力が商品となります。例えば経験が10年近くにもなる人は、プロジェクトのリーダーとして派遣先のメーカーチームを束ねていることも珍しくないのです。そんな中でエンジニアとしての価値をさらに高め、ハイスペックエンジニアを増やすため、大学の指導に近いカリキュラムを用意し、ブランド化に力を入れました。この取り組みは「学習・資格取得=価値向上」の制度として「バリューアップスパイラル」と名づけられ、技術力向上の施策として定着しています。
また「プロデスク」というサービスもブランド化しました。これはメーカーの技術系チームに、事務員やアシスタントとして派遣されている人材がより専門性を高められる仕組みで、当社の事業領域の広さを活(い)かしたサービス価値の高い事務職を顕在化させたものです。今までにも事務担当者が、技術研究開発や実験の資料をまとめたり管理したりする役割もこなすなど、エンジニア特有の言語やロジックを理解して活躍しているケースはよく耳にしていました。この仕事へのお客様からの反響もあり、事務職でもエンジニアへとつながるキャリアは実現できると事業化されました。
私は、ライフイベントによって変動しがちなキャリア、とくに事務系の選択肢の狭さを感じています。エンジニアの仕事力がプラスされれば、次のステップへつなげられると考えています。
派遣エンジニアを孤独にさせない
技術力やキャリアを伸ばしていく制度を形にしながら、私たちは「広報ブランディング室」も立ち上げました。外に向けた広報で知名度を高め、会社に誇りを持てるようにすることも大切だからです。さらに、ここが我が社だと感じてもらえるようなメッセージを社員に届ける取り組みにも力を入れています。
当社の社員は同じ会社に籍を置いてはいますが、就業先は別になることも多い。気軽に社員同士の交流ができないという寂しさや孤独感も抱えていると思います。とくに若い世代は派遣先での挫折や苦い経験を乗り越え、自信を持てるようになるまで数年かかる場合もあります。だから、コロナの影響で一度も会うことなく入社する新入社員たちに向け、同期同士のつながりを醸成するために新聞広告を活用し、「会えなくても、一生同期だ」というコピーでメッセージを届けました。
また、派遣エンジニアのカッコいい働き方や、社員同士の絆を強くすることを目指して社内報などにも力を注いでいます。ずっとこの会社にいたいと思ってもらえる、その気持ちを全力でサポートし続けていきたいですね。
(株)アウトソーシングテクノロジー 人財戦略本部長/広報ブランディング室長
1981年大阪府生まれ。大阪産業大学(工学部 交通機械工学科)卒業。広告会社に入社後、3年間の営業職を経て2007年に(株)アウトソーシングに入社。15年に(株)アウトソーシングテクノロジーに転籍。