東日本大震災報道写真展 ~ハノイ、パリ、ロンドン会場~

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から2年。被災地の様子や復興への姿を朝日新聞社のカメラマンや記者が撮影した写真で伝える「東日本大震災報道写真展」が、昨年から三菱商事との共催で世界各地を巡回して開かれた。ハノイ(ベトナム)とパリ(フランス)、ロンドン(イギリス)で開催された様子をリポートする。

◆ ハノイ

 昨年のバンコク、ジャカルタ、ソウルに引き続き、アジアで4カ国目はベトナムの首都ハノイが開催地となった。今年は日本とベトナムが外交関係を樹立して40年の「日越交流年」。第1回ジャパンデイズ(2/25~3/10)のオープニングイベントとして現地でも話題になった。

 開幕初日の2月27 日には、第一期会場のベトナム美術博物館で記念式典が開かれ、ベトナム国会のドゥン 科学技術・環境委員長や日本大使館の鈴木秀生臨時代理大使など、政府関係者や報道関係者が多数来場した。ベトナムでも日本の津波災害は何度も報道されており、津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の写真には、多くの人が足を止めてじっくりと見入っていた。また、会場には高さ約4メートルの桜の模型が飾られ、来場者が復興に向けたメッセージを書いて枝にかけた。

 3月10日には第二期会場の貿易大学で、被災地で取材を続ける中村信義記者(朝日新聞社会部)が大学生に向けて講演し、被災地の現状を語った。
  二つの会場には、会期中に延べ2,600人以上が訪れた。

ベトナム美術館 ベトナム美術博物館
桜の模型にメッセージをかける来場者 「奇跡の一本松」
「奇跡の一本松」 桜の模型にメッセージをかける来場者

※画像は拡大表示します。

◆ パリ

 会場になったパリ日本文化会館には、開催5日間で4千人以上の人が訪れるなど大きな話題を呼んだ。会場正面の壁面には、最も高い津波とされる23メートルの高さを実感するディスプレーが展示され、メディアを通してしか体感できない現実を分かりやすく伝える試みも施された。

 3月1日の記念式典には、小松一郎大使や仏日議連会長のデビッド・アスリン上院議員も来場し、展示を見学。日仏間の支援の現状や今後についてメッセージを送った。また伊藤智章記者(朝日新聞宮古支局長)の講演もあり、学生を中心に30人以上が参加。「海水を被った田畑はどのように復旧するのか」など、農業国のフランスらしい質問も出ていた。

 また、開館以来、最多の来場者数を記録したこともあり、当初予定されていた期間から延長しての開催となった。

津波の高さを感じさせるディスプレー(パリ日本文化会館) 津波の高さを感じさせるディスプレー(パリ日本文化会館)
パリ会場内(1) パリ会場内(1)
パリ会場内(2) パリ会場内(2)

◆ ロンドン

 ロンドンの会場はテムズ川ほとりのアート発信地区にあるオクソ・ギャラリーで3月5日から開催された。開幕前日の4日には、林景一大使など関係者を招いた内覧会と記念式典、パリと同じく伊藤記者による講演があった。

 講演には、学生やボランティア団体メンバーなど20人以上が参加。「震災から2年がたち、求められるボランティアのあり方も変わってきたと聞くが?」など、日ごろから震災に対して強い関心があることをうかがわせる質問が相次いだ。2日間で千人以上がギャラリーを訪れるなど、こちらも注目度は高かった。

オクソ・ギャラリー オクソ・ギャラリー
ロンドン会場内 ロンドン会場内
伊藤智章記者による講演) 伊藤智章記者による講演

 3会場合わせて2万人以上が来場し 、各国の東日本大震災に対する関心の高さが示されている。

(朝日新聞社 広告局 林田一祐、川﨑紀夫)

開催概要
東日本大震災報道写真展 Great East Japan Earthquake Press Photo Exhibition

ハノイ会場
  第1期:2013年2月27日~3月4日(ベトナム美術博物館)
  第2期:3月5日~11日
(貿易大学構内 Vietnam-Japan Human Resources Cooperation Center)
  主催:朝日新聞社、三菱商事
  後援:在ベトナム日本国大使館、日本商工会、ベトナム日本人材協力センター

パリ会場

  2013年2月26日~3月16日(パリ日本文化会館)
  主催:朝日新聞社、三菱商事、在フランス日本国大使館、パリ日本文化会館
  後援:在仏日本商工会議所

ロンドン会場
  2013年3月5日~17日(The Gallery@OXO)
  主催:朝日新聞社、三菱商事
  後援:在英日本国大使館、在英日本商工会議所、ジャパンソサエティー、日本クラブ