SIHH 2012(ジュネーブサロン)に参加

 今年で22回目となるスイス・ジュネーブでの高級時計見本市「SIHH2012」(1月16日~20日)に参加した。SIHHは「国際高級時計サロン」を意味するフランス語の頭文字で、毎年3月に開催される世界最大の国際時計宝飾見本市「バーゼルワールド」からスピンアウトした形で実施されている。

 SIHHとはその名前のとおり、「高級」時計の見本市で、参加企業はカルティエ等のリシュモングループ(他に、ヴァンクリーフ&アーペル、IWC、パネライ、モンブラン等々)を中心に18社が出展している。紹介される時計のほとんどが100万円を超えるもので、1,000万円を超える時計も珍しくない。会場はラグジュアリーな雰囲気の中、世界中の時計バイヤー、VIP顧客、メディアが招待されており、今年は平年並みの約1万2,000人が招待されているとのこと。会場のアジア人は、やはり中国人が圧倒的に多く、スイスから中国への時計輸出額もここ毎年2桁増となっており、世界のお得意先となっているようだ。

 事前予約していた時間割りにしたがって出展先を訪問し、コンセプトや販売予定などを聞いた。専門記者などによると、各ブランドの新作は、人気の高いレギュラーコレクションのリニューアルやバリエーションの増加が目立ち、全体的に「オーセンティック」という昨年の傾向から大きく変わっていないようだ。欧州債務問題の深刻化による各国の景気悪化を反映しているということだろうか。

ジャガー・ルクルトの展示場ブース

ジャガー・ルクルトの展示場ブース

 夜になると各ブランド主催のディナーがある。このディナーは長丁場で、夜7時くらいから「カクテル」という立ち飲み形式が1時間ほど続き、ようやく着席のディナーが始まり(チーズフォンデュなどはなく文化圏的にフランス料理だった)、終わるのは深夜0時になる。ここでは昼の各新作時計の話題以外に、世界における市場動向や日本のポジショニング(ここ数年来、新作は日本より早く・多く中国に提供される等)などの話から、各クライアントとの個人的な話まで色々とコミュニケーションをとることができた。

 今回私は初参加であったが、「時計」というものについて、「時間を正確に知ること」以外の価値観やそれに対する職人の情熱・美学を体感でき、今後の営業活動を行ううえで大変よい経験となった。

(東京本社広告第2部 高杉正明)

 

朝日新聞デジタルの「ライフ」(ファッション&スタイル)に、SIHH2012のリポートが掲載されています。
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