東日本大震災直後に訪問した時計・宝飾の国際見本市「バーゼルワールド」

 スイスとドイツの国境付近にある街・バーゼルで毎年開催される、世界最大規模の時計・宝飾の見本市「バーゼルワールド」に初めて訪れた。3月24日からの開催だったが、東日本大震災の発生から2週間も経っていなかったこともあり、日本から向かう予定だった関係企業やメディアも、中止や予定変更を余儀なくされたところが少なくなかったようだ。
たとえば成田発の飛行機が急遽飛ばなくなり、関空発に変更となった上、韓国で給油のため2時間飛行機に缶詰状態。予定より大幅に遅れての到着、という人もめずらしくなかった。

 さて、いざ会場に入ってみると多数を占めていたのは欧米人だったが、中国や韓国からのアジア勢を目にする機会も多かった。この業界においてアジアマーケットは重要だが、その中でも特に中国がその中心的な位置を占めるようになってきたことを、今回訪問し、肌で感じた。

 現地では東日本大震災についての欧米人の関心も高く、「フクシマは大丈夫なのか?」と逆取材を受けることもあった。あるブランドのトップの方が、「日本は、私たちにとって第2の故郷だ。日本が震災前よりももっとよい状態になると確信している」と述べていたのが、とても印象深かった。

 震災直後というタイミングにもかかわらず、新作時計のプレゼンテーションを見て勉強する機会を得られ、この業界担当者として有意義な経験をすることができと思う。また、日本にいては味わえない、独特な雰囲気の世界をかいま見ることができた。

 数々の美しい時計や宝飾を見ながら、日本が早く元気になって活発な消費活動を取り戻せるように、と遠い地から祈った。

(東京本社広告第2部 菊地謙次)

「バーゼルワールド2011」の会場
「バーゼルワールド2011」の会場

「バーゼルワールド2011」の会場