やわらかいクリエーティブでまずは学生の興味を引く

 三井化学は、学生を中心とした求人を意識した企業広告を、2007年10月と12月に朝日新聞朝刊に出稿した。同社理事でCSR・広報部長の田中達也氏にお話をうかがった。

 田中達也氏 田中達也氏

── 出稿の経緯は。

 2005年から本格的にCSR活動を進めていますが、社会にとって貢献できる企業に成長するためにもベースになるのは「人」です。当社でも団塊世代が定年を迎え、年間約400人もが退職しており、新卒の学生をはじめ、社会人や外国人の採用など、いい人材をしっかりと確保していくことが、これまで以上に重要になっています。私たちのような企業は、BtoC企業などと違い、商品を通してどんな会社なのかを知ってもらうことは難しい。また、当社は97年に合併し、企業としての歴史が浅いこともあり、ブランド認知もこれから。そこで、メディアを使ってまずは当社に興味を持ってもらいたいと考え、新聞広告に踏み切りました。

── なぞかけ風のコピー、やわらかなタッチのクリエーティブが印象的です。

 化学の力、特に当社が誇る触媒技術を使って未来を変えていこうというメッセージを、「ドロン!」をキーワードにしたコピーで表現し、軽いトーンで親近感がわくようにしました。すでに認知度の高い技術系に比べ、当社の事務系の職種をいかにアピールするかが課題でした。しかし、学生のエントリー数は、広告掲載後の一カ月間で比較すると、事務系が前年比280%、技術系が190%となり、特に事務職で大きく増えたという結果に満足しています。当社はどちらかというとこれまで硬いイメージが強かったようですが、得意先などで「ずいぶん変わったね」と声をかけられた社員が多かったようです。海外で働く外国人社員などからも好評で、インナーへの効果もあったと実感しています。

── 新聞を活用した理由は。

 学生を対象とした場合、ウェブの対応は必至だと考えており、「ドロン!」のキャンペーンサイトを採用情報にリンクさせるとともに、この4月から当社のホームページを大きく拡充しました。しかし、アクセスしてもらうためにはまず広く認知されることが必要で、配布部数の多い新聞が効果的と判断しました。

 また、就職活動をする本人だけでなく、親や親類といった家族にもメッセージを届けるためにも、新聞を活用しました。ウェブは必要ですが、やはり限界があります。特に、今当社が力を入れているブランディングには、新聞はなくてはならないメディアだととらえています。

── 今後の展望は。

 メッセージ発信は、継続することが大切ですので、これからも新聞をはじめ各種メディアを活用していく所存です。しっかりと認知を広めながら、いい人材を確保し、育てていくことは、ゆくゆくは企業のブランディングにもつながっていくものと考えています。

2007年 10/1 朝刊2007年 10/1 朝刊
2007年 12/15 朝刊2007年 12/15 朝刊