エディー・ジョーンズ氏を起用し 新コンセプトを強くアピール

 2016年10月、富士ゼロックスはビジネスパーソンの多様な働き方を可能にする新しいコンセプト「SMART WORK GATEWAY」を発表。そして今年1月、ラグビーコーチのエディー・ジョーンズ氏を起用した全15段広告を3回にわたって掲載した。その狙いを、同社広報宣伝部 宣伝グループの山﨑江津子氏に聞いた。

3回の全15段広告をキャンペーンの大きな山に

山﨑江津子氏 山﨑江津子氏

 富士ゼロックスは、2016年10月から「SMART WORK GATEWAY」という新しいコンセプトを掲げ、複合機にとどまらないトータルソリューションを提供している。出張・経費管理システムのコンカー、名刺管理サービスのSansan、コンテンツ・マネジメント・プラットフォームのBoxをはじめとする、ビジネスクラウドサービス企業と提携し、同社の複合機ApeosPort-Ⅵと共にスマートワーク環境を構築した。この取り組みについて、山﨑氏は次のように話す。

 「『SMART WORK GATEWAY』は、多様な働き方が広がる中、いつどんな場所にいても、オフィス同様に仕事ができるコミュニケーション環境を提供し、働き方改革を推進する新しい提案です。複合機もそのエコシステムの一つ。当社の持つクラウド連携やIoT(Internet of Things)の技術もフル活用します」

 このコンセプトを周知するため、2016年11月から一大キャンペーンを実施。テレビCM、新聞広告、ウェブ施策を軸に、コミュニケーションを展開した。

 まず、11月19日からテレビCMとキャンペーンサイトをスタート。同時に、フェイスブックを使ったコミュニケーションやユーチューブでコンセプト紹介動画などの公開も始めた。そして年始の2017年1月10日、17日、23日と3回シリーズで新聞に全15段広告を出稿して、キャンペーンを大きく告知した。同時期に、ディスプレー広告などウェブサイトへの誘導施策も本格的に展開した。こうしたキャンペーンの組み立てについて、山﨑氏は次のように話す。

 「新しいコンセプトを広く認知いただき、現場の営業活動を下支えすることが一番の狙いでした。まずはテレビCMでのろしを上げ、3回シリーズの新聞広告で強く印象付ける。そしてターゲットを細かくセグメントできるウェブで、じっくりと理解を深めてもらうという構造を考えました」

 B to Bのソリューションにもかかわらず、一般紙を利用したのは、「この新しいビジネスをインパクトのある内容で展開したかったからです。複合機のイメージが強い当社が、クラウドを含めた多様なソリューションを提供しているということを、多くの人に知っていただくための登場感が欲しかった。そのためには、強くメッセージを訴求できる新聞というマスメディアが不可欠でした」(山﨑氏)

全ビジネスパーソンを鼓舞するジョーンズ氏の強い言葉

 広告キャラクターには、2015年ラグビーワールドカップで、24年ぶりに日本を勝利に導いたエディー・ジョーンズ氏を起用。ジョーンズ氏の表情を様々なポーズでとらえ、強いコピーを添えてインパクトを与えた。このクリエーティブについて、山﨑氏は次のように振り返る。

 「エディー・ジョーンズ氏を起用したのは、彼の『勝つ組織論』が、ターゲットであるビジネスパーソンと非常に親和性が高いと考えたからです。エディー氏の言葉で、変わろう、質の高い仕事のためには準備が必要だと語りかけることで、『SMART WORK GATEWAY』を通じて実現するビジネス環境の変化の重要性が伝わると考えました」

 3回シリーズとしたのは、あらゆるビジネスパーソンに対して多角的にアプローチしたかったからだという。

 「新しい複合機を提案するなら、ターゲットはシステム導入のご担当者ですが、今回の提案は働き方やコミュニケーション環境の改革。つまり全てのビジネスパーソンがターゲットです。働き方改革に強い課題感を持つマネジメント層と、クラウドなど新しい領域に関心の高いメンバー層、そのどちらにもアプローチしたいと考えました。

 1回目の広告はビジネスパーソン全体に、キャンペーンの核となる『Are you Cloud-ready?』というコピーを強く印象づけることが目的。2回目はマネジメント層に対して、エディー氏の強い表情で興味を喚起。リーダー同士の目線で、勝つための意識改革を訴えるメッセージを発信しました。そして3回目では、現場で働くメンバー層に、『準備がすべてだ、強いあしたをつくろう』とメッセージを投げかけています」(山﨑氏)

 エディー氏へのロングインタビューも敢行。その中から特に印象に残った「Change your mindset.」「Preparation is everything.」といったパワーワードを、コピーとして採用した。「富士ゼロックスダイレクト」の会員はインタビュー全編を読むことができる。

2017年1月10日付 朝刊2017年1月10日付 朝刊1.5MB
2017年1月16日付 朝刊2017年1月16日付 朝刊1.5MB
2017年1月23日付 朝刊2017年1月23日付 朝刊1.5MB

 掲載後は社内外から多くの反響が寄せられ、中には「競争社会を日々生きているなか、『変わろう、勝つために』という言葉に大変胸を打たれました」という読者からの声も寄せられたという。マスとウェブを連携したコミュニケーションにより、狙いである「SMART WORK GATEWAY」のコンセプトを軸とした営業活動のきっかけづくりをめざした。

 B to Bソリューションをメインとする富士ゼロックスが広告に求めるのは、現場の営業をバックアップすることだ。

 「当社の商品を導入いただいているお客様とは、営業が日々フェーストゥフェースのコミュニケーションをさせていただきます。しかし、新規のお客さまに今回のようなソリューションを理解していただくのはなかなか難しい。そういう時こそ広告の力で、新たな営業機会を生み出すことができたらと思っています」(山﨑氏)