パーフェクトサントリービール 新聞×デジタルメディアで「時流感」を醸成し売上好調をアピール

 2021年4月13日、サントリービールから新発売された「パーフェクトサントリービール」。発売と同時に、「うまさ」に、そして「糖質ゼロ」に「2度驚く」をキーコピーにした広告をテレビ、ウェブほか多メディアで発信した。発売から約1カ月後には、「売れてる」話題化を加速し、ビール好きの購買をさらに刺激するキャンペーンを企図。一連の展開で活用したのが、朝日新聞社のコンテンツマーケティングのソリューションプログラム「ADS(Asahi Digital Solutions)」だ。企画の狙いや背景についてサントリービール マーケティング本部 宣伝部 チェヘジョン氏にうかがった。

ビールらしさはそのままで「糖質ゼロ」を実現

チェヘジョン氏

 近年、健康志向の高まりに後押しされ、糖質をカットするなど健康機能を訴求する「機能系ビール類」と呼ばれる商品に、各社が力を入れている。コロナ禍の「自粛太り」を気にする人たちから支持されたこともあり、機能系ビール類市場は非常に好調だ。
 一方、「(普通のビールに比べて)味が物足りない」などの声も聞かれ、味に課題があるとされてきた機能系ビール類だが、その常識を打ち破るかのように新登場したのが「パーフェクトサントリービール」だ。アルコール度数5.5%という飲みごたえ、麦芽由来のうまみ、ホップの良質な苦みといったビールど真ん中のおいしさと、糖質ゼロという機能を両立させたパーフェクトサントリービールは、発売前の消費者試飲でも「ビールとして満足できる中味」と、多くの人から高評価を得た。

 開発の経緯について同社のチェヘジョン氏は次のように語る。
 「1日の締めにビールを飲んで、すべてから解き放たれる時間を過ごす。それがビール本来の魅力ですよね。でも一方で、カロリーや体形、健康診断の数値など、あれこれ気になってしまう人が多いのも事実。ならば糖質がゼロで、かつおいしいビールがあれば、さらに多くの人にビール本来の価値を実感していただけるのではと考えたのが、そもそもの開発のきっかけです」
 これまで「糖質ゼロ」などの機能系は、発泡酒や新ジャンルで展開されることが多かった。狭義のビールは麦芽使用量が50%以上と定められており、含まれる糖質が多いことから、糖質ゼロへ実現へのハードルが高かったのだ。
 「麦芽に含まれるデンプンなどが糖質を生み出すのですが、それらは同時にうまみの元でもあります。つまりうまみを出しながら糖質をゼロにするというのは両立しがたい課題。しかも飲みごたえを左右するアルコール度数も、パーフェクトサントリービールは5.5%と高め。このアルコール度数を高く維持しながら糖質をゼロにするのが非常に難しい技術です。開発に約5年かかりましたが、開発期間をかけた甲斐があり、出来上がったのはまさに『パーフェクト』の名にふさわしいビールでした。機能系ビールは「味が薄い」「飲みごたえが今一つ」という印象を持たれている方にこそ飲んでいただきたいと自信を持って言えます。実は私自身、『糖質ゼロ』と聞かずに飲んだところ、おいしさが他のビールとまったく変わらず、機能系ビールだと気がつきませんでした」
 チェへジョン氏は続ける。「酒税改正によって23年、26年と段階的にビールの減税が進んでいくのですが、元々そうした中長期的な視点を見据えて開発を進めていました。ここ数年の健康意識の高まりで、機能系ビールやノンアルコール市場が好調です。コロナ禍でのステイホームの影響もあると思いますが、健康にも気をつかいつつ晩酌を楽しむ風潮が浸透してきていることも追い風になっていると思います」

「新聞×デジタルメディア」で立体的なコミュニケーションを展開

 パーフェクトサントリービールはローンチコミュニケーションとして最初に「糖質ゼロ」を隠して5万人にサンプリングを実施し、おいしさに、そして糖質ゼロに「2度驚いた」人たちの声をメディアで発信した。発売後も「2度驚く」をキーメッセージに、松嶋菜々子氏を起用したテレビCMなどマス広告を中心に展開。糖質ゼロビールであることを一気通貫して訴求しながら、パーフェクトサントリービールの認知を拡大させた。
 そして発売から約1カ月後、販売が好調であるという「時流感」を醸成しながら、早期認知とトライアルをさらに獲得するべくコラボしたのが、「ADS(Asahi Digital Solutions)」だ。
 朝日新聞デジタルの特集では厚切りジェイソン氏を、withnewsでは茂木健一郎氏を起用し、それぞれの立場から「2度驚く」をキーワードに、パーフェクトサントリービールの魅力を発信。

▼売上げ“絶好調”のパーフェクトサントリービール 厚切りジェイソンさんが2度も驚くそのワケとは!?

2021年5月22日 東京本社版朝刊

▼今売れてるパーフェクトサントリービール あの先生が脳科学的に解説

2021年5月22日 東京本社版朝刊

 あわせて5月22日(土)には朝日新聞全国版朝刊で、新聞の一面をイメージしたデザインの15段全面広告を掲載した。厚切りジェイソン氏と茂木健一郎氏の記事は、Yahoo!Japanやスマートニュースに転載されたほか、LINEダイジェストスポットやTwitter、FacebookなどのSNSでも拡散。立体的に展開することで、さまざまな生活者とのコミュニケーションを実現した。
 「売れている、いろいろな人が飲んでいる、という時流感を伝えるうえで新聞はとても重要な媒体です。さらに新聞紙面を基軸にしながらデジタルメディアを組み合わせて拡散力をつけることで、企画自体を大きく見せることができたと思っています。確かな情報を広く届けたいときは、新聞×デジタルメディアの掛け合わせはとても効果的ですね」

2021年5月22日 東京本社版朝刊 2021年5月22日 東京本社版朝刊
15段カラー1.2MB

 今回の企画は、第三者のリアルな飲用体験を届けることで、購買の背中を押すのが狙い。人選も大きなポイントだったとチェヘジョン氏は話す。
 「パーフェクトサントリービールはメッセンジャーとして松嶋菜々子さんを起用していますが、TVCMはどちらかというと企業発信に近いイメージです。機能系ビールは『おいしくない』といった先入観を持たれている方も多いため、企業としてどれだけ味のおいしさを伝えても限界があるのが現状。そこで今回の企画では、より身近で、親近感がわく方々から『実際に飲んでみてどうだったか』というリアルな声をいただきたいと考えていました。ビール好き、一定の知名度がある、話す内容に説得力があるなど、希望をあれこれとお伝えしたため、難しい人選だったと思います。ですが、ブランドにふさわしく、かつ知的好奇心の高い層から人気の両氏をスムーズにアサインしていただき、大手メディアのブッキング力の高さを感じました。厚切りジェイソン氏と茂木健一郎氏、それぞれのカラーを出しながら、リアルな声で届けることができたので、説得力のある読み応えのある記事に仕上がったと満足しています」
 デジタルメディアの記事もさることながら、「やはり新聞の15段全面広告のインパクトはすごい」と話すチェヘジョン氏。この15段全面広告は同社の営業担当から「商談の武器としても活用できる」という声があがったそうだ。
 「新聞広告でここまで編集紙面に近い見せ方ができるのだというのは新鮮な驚きでした。朝日新聞という題字が入ることで、しっかり読んでいただける確率が高まったのではないでしょうか。ビールがとてもおいしそうに目に写りますし、『追い風』というワードチョイスも新聞ならでは。新聞の持つニュース性という強みを最大限に生かしながら、絶好調感、売れている感を伝えることができたと思っています」

届けたいターゲットに最適なデジタルメディアが見つかる

 パーフェクトサントリービールとしての物語はまだ始まったばかりだが、チェヘジョン氏は「さらに大きなブランドに育てたい」と意気込む。

 「今回の企画を通して、発売直後の『絶好調感』という企業発信だけでは限界がある情報を、説得力を持って生活者に届けられる点が、新聞という媒体や朝日新聞というブランドの価値だと再認識しました。今後も、大きな節目などには、新聞を活用して時流感を作り続けるのが理想です」
 また、ADSが持つデジタルメディアの幅広さにも可能性を感じたと語る。
 「今回は読者との親和性を考えると朝日新聞デジタルとウィズニュースが適していると提案され、その2つを活用させていただきましたが、それ以外にも働く女性や主婦層、サラリーマンなど、ほぼすべての層にぴったり当てはまるウェブメディアがあり、この商品だったらこのメディアがいいな、この切り口ならあのメディアが合うななどと、あれこれイメージが湧きました。新聞紙面のパワーを維持しながら、デジタルメディアでの接点をいろいろ変えてコミュニケーションを図る手法は、面的な広がりとターゲットの深掘りの両方を満たすことができて、たいへん魅力的です。今後もパーフェクトサントリービールに限らず、他のブランドが抱えている課題やターゲットに合わせて、積極的に活用したいと思っています」