ドラッグストアの来店客に対し、購買の実態を調査

 店頭メディアに注目が集まる中、SP領域にもテレビ広告のGRPのような効果指標の提示が求められている。そんな中、DNPメディアクリエイトは2006年に「買い場研究所」を発足し、早稲田大学商学学術院の恩藏直人教授と共同研究を行っている。店舗内の購買行動にまつわる様々な実験を行っているが、その中から「ドラッグストアの購買実態調査」の結果について紹介する。

 ドラッグストアで商品を購入した2,587人を対象に、商品購入直後に調査を実施。生活者のドラッグストアにおける店内購入決定率(以下、非計画購買比率)が特売などにどの程度影響されるのか商品ごとに分析した。

 商品購入の経緯では、非計画購買比率は、購入商品のうち約4割とあまり高くはない(図1)。店内で購入を決定した理由では「価格が安かった」が最も高かったものの、「店頭情報」「商品情報」が続き、価格以外の要因も重視されていることがうかがえる(図2)。

 商品カテゴリーによる購買実態の違いを見るために、非計画購買比率を横軸、特売比率(商品の購入理由で「価格が安かった」を選んだ人の割合)を縦軸に置き、商品カテゴリーごとにプロットしてみた(図3)。

 Aの象限は非計画購買比率が高く特売比率も高い商品で、「洗剤・仕上剤」「バス関連品」などが含まれる。これらの商品はストックされやすく、特売時に場当たり的に買われており、価格訴求による刺激が購買に結びついている。

 Bの象限は特売比率が高いが非計画購買比率は低く、「子供用おむつ」「生理用品」が含まれる。生活者は、価格を常にチェックしており、安い時に買う傾向がうかがえる。

 Cの象限は非計画購買比率が低く特売比率も低い商品で、「化粧下地」「制汗剤」などを含む。購入ブランドがある程度決まっており、安定的に購入される商品群のため、欠品を防ぎ、品ぞろえを充実させることがカギであろう。

 Dの象限の「アイメイク」「シップ薬」などは、非計画購買で価格に左右されない商品群である。

 調査結果から見えてくるものは、我々の実感に非常に近いものだ。これまで店舗内でのコミュニケーションは流通現場の長年の経験と勘によるものが大きかった。それゆえこのような実験を重ねて知見を深める意義は大きい。