COVER PICK-UP ART

 広告朝日18号「『周年』は未来へのバトン」のCOVER PICK-UP ARTは山下航氏の「『シアラの春』より」です。

広告朝日18号

 少ない色数と軽やかなタッチが印象的な線画。東インド、西ベンガル州のシアラ村で暮らす少数民族・サンタル族の人々を描いた、イラストレーター・山下航さんの作品である。2017年3月の個展「シアラの春」では、同様の作品47点が展示された。

 「あるアートプロジェクトのスタッフとして現地に滞在した時のスケッチを下絵に制作したもの。シアラ村での日々は、言葉を飛び越え、通じ合える『絵の力』に気づくいい機会になりました」

 画板を下げてスケッチをしていると、「どんな絵を描いているの?」「私を描いて」と話す村の人たちによく取り囲まれたという。

 「小学生の頃を思い出していました。僕が絵を描く理由は、絵を描くことが好きなのはもちろんですが、描いた絵を見た人たちが喜んでくれるから。そんな子どもの頃の絵に対する純粋な思いがよみがえりました」

 山下さんの描く絵には、朗らかさやほのかなユーモアがにじみ出る。そんな作風を見込まれてか、最近は装丁画の仕事も増えた。

 「装丁画の魅力は、全国の人に自分の絵を見てもらえるところ。ただ、求められるのであれば、どんな媒体でもやってみたいと思っています。そのためには、自分らしさを大切にしつつ柔軟に対応できるようにしておきたい。それが自分の強みであり、自分の絵の可能性を探ることにもつながるのではないかと思うのです」

 

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クリエーターインタビュー
異国の地でよみがえった、絵に対する純粋な思い イラストレーター 山下航氏