クラウドファンディングとは、「群衆(crowd)+財源(funding)」の造語で、主にインターネットを介して不特定多数から小口の資金を集めることをいう。また出資者と出資先を結びつけるウェブサイトをクラウドファンディング・プラットフォームという。
2012年のクラウドファンディングによる資金調達額は、全世界で28億ドル(約2,520億円)で、前年の2倍の伸長と言われる(Crowdsourcing社調べ)。またシェアトップの米国Kickstarter.comの調達額は3億ドル(約270億円)で、プラットフォームとしての収益は1,500万ドル(約13.5億円)に達する(Kickstarter.comの手数料は5%、VentureBeat調べ)。しかし日本国内では中小のプラットフォームが乱立しており、大きく収益を伸ばしているところは少ないようだ。
ところで、このクラウドファンディングは個人の「投資」ではあるが、金銭的なリターンを前提としたものは意外と多くない。企画者のアイデアに賛同したり、プロジェクトを応援したいという気持ちからくる寄付や、購入(企画された商品やサービスの)が多いようだ。中には投資信託のような「出資募集→ローンなどの資金運用からのリターン」を行っている事業者もあるが、多くは音楽や映像、ゲームソフトなどの制作資金集めや、開発途上国や災害地でのボランティアのための活動資金集め、といった個人の活動への資金提供という事案がほとんどだ。
いうなれば、出資者の方も本気でリターンを期待するのではなく、小口の寄付や資金提供という形での企画参加がネットを通じて可能になったということだろう。ネットの普及や消費者の意識の変化(モノではなくコトへお金を使いたい)などがクラウドファンディングの背景にはあるのではないだろうか。
近代資本主義的な「資本家/労働者/消費者」のような区分が意味を失い、出資者と消費者が同じ人物というような新たな状況が出現している。ただし、ベンチャー企業や起業家が活動しやすい米国と異なる日本でクラウドファンディングがさらに盛り上がっていくためには、このシステムをもっと活用する大企業(自社サイトで出資を募集するなど)の登場が必要になってくるのではないか。
企業のマーケティング活動は、「資金調達から考える時代」になってきたともいえる。