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「スマートスピーカー」

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所メディアビジネス研究グループグループマネージャー主席研究員 加藤 薫氏
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スマートフォンの次に、これから生活に浸透するとして注目されているデバイス。マイク・音声アシスタント・スピーカーで構成され、生活者が発した音声コマンドに対して、音声での回答や家電操作などが可能。AIスピーカーと呼ばれることもある。

 インターネットの登場以降、20数年間で変わってきたメディア環境は、今、次の大きな変化の「潮目」を迎えつつある。デジタルシフト、モバイルシフトの次の変容をひきおこす新しいテクノロジーは、2017年になり様々なデバイスやサービスとなって具現化しはじめた。

 現在、世界的に注目されているのは、「スマートスピーカー/AIスピーカー」と呼ばれているカテゴリーの新製品である。新しく台頭する音声インターフェースの世界では、音声コマンドで様々なコンテンツをコントロールすることができる。「今朝のニュースを聞かせて」「あのアーティストの曲をかけて」「昨晩の試合の結果を教えて」と語りかけるだけで、音声アシスタントから情報がフィードバックされるのだ。 また、「ミネラルウォーターを買って」「照明を消して」というように商品を買ったり、他の家電と連携したり、将来的に様々な学習機能が搭載されたり、本格的にAIスピーカーと呼べる存在へと進化すると、私たちの消費行動や生活者ニーズは変化していくだろう。

 米国では既に2015年から「Amazon Echo」が発売され、2017年の初頭に開催された世界最大級のコンシューマー向け製品の展示会「CES」においては「Amazon Echo」と連携する家電やその音声アシスタント「Alexa」を搭載した製品が、コンベンション会場にあふれた。その数は約700製品とも言われ、「音声コントロール」という新しいインターフェースが、改めて大きな注目を集めていると言える。日本でも、10月5日にLINEから「WAVE」が発売され、Googleから「Google Home」、Amazonから「Amazon Echo」と、各社から新製品が出そろう予定だ。

 メディア環境研究所では、今後国内市場におけるスマートスピーカーの普及に大きな影響を与える「音声入力」について、独自調査を実施した。

 調査前にヒアリングをすると「スマートフォンに向かって声を出して検索するのは気恥ずかしい」「自分はしないが、子供はごく自然に音声入力をしている」など様々な意見があったが、調査結果は、音声入力や音声検索の利用者の割合は調査対象者全体で24.3%だった。年代別でみると、10代の利用率が30%を超え最も高く、10代以外でも20%前後が利用している。性別でみると、全年代で男性が女性より高い。音声コントロールデバイスが普及する前提環境は、日本国内でも整いつつあると言えるだろう。

Q.あなたはふだん、スマートフォンやタブレットなどの機器で、音声入力や音声検索を利用していますか。

■第1回メディアイノベーション調査概要
 調査エリア:全国
 調査方法:インターネット調査
 調査対象者:15~69歳の男女(全国8地区人口比で割付)
 サンプル数:6,214サンプル
 調査期間:2017年3月17日(金)~3月21日(火)

 昔の電話が、高機能なチップを積みインターネットに接続して「スマートフォン」として社会に短期間で驚くべき変化をもたらしたように、「スマート化したスピーカー」は、私たちの生活を変える大きな可能性を秘めている。

 現時点でのビジネスへの影響は3つほど考えられる。

まずは、「メディア接触の分散化」を加速すること。ここ数年、デジタルメディアの台頭によって生活者の「メディア接触の分散化」がメディア業界を中心に注目されてきたが、スマートスピーカーという新しい情報取得デバイスにより、この流れは不可避となり、さらに加速していくと考えられる。

 次は、スマートフォンとスマートスピーカーが一部競合すること。米国のスマートスピーカーユーザーにインタビューを行ったところ、簡単な検索、天気やスポーツの結果などでは、スマートフォンのアプリを開く場面がかなり減ったという声が多くあった。クイックな情報を求める時、スマートスピーカーは生活者の情報行動領域において、スマートフォンと一部競合する関係になると言える。

最後に、買い物では純粋想起ブランドが強くなるということである。スマートスピーカーを経由した購買行動が広がっていくと、音声アシスタントに向かって「あのお茶を買って」「あのシャンプーを買って」と話しかけることになる。その際、生活者が自らブランドを想起するので、認知されているブランドが強さを増していくことも考えられる。音声での生活では、これまでのスクリーンで表示される生活と異なり、提示される情報の選択肢の幅がかなり狭まることを意識すべきだろう。

 かつて、スマートフォンが普及率10%を超え、私たちの生活とビジネスへのインパクトが目に見えるようになったのは、日本上陸をした2008年から2年後だった。2017年に台頭したスマートスピーカーは、今後数年間で、どのような変化をもたらすのだろうか。引き続き、注視していきたい。

加藤 薫 (かとう・かおる)
加藤 薫氏

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 メディアビジネス研究グループグループマネージャー 主席研究員

1999年博報堂入社。菓子メーカー・ゲームメーカーの担当営業を経て、2008年より現職。生活者調査、テクノロジー系カンファレンス取材、メディアビジネスプレイヤーへのヒアリングなどの活動をベースに、これから先のメディア環境についての洞察と発信を行っている。
・メディア環境研究所サイト:http://mekanken.com/

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