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「ライブコマース」

博報堂 CMP推進局 マーケティングプラニングディレクター 阿部佳織氏
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近年注目が集まるライブコマースは、その名の通りライブ配信をしながら商品販売を行うECの新しい販売手法です。インターネットならではの特徴として、コメント機能を駆使して配信者と視聴者がコミュニケーションを取りながら、商品についての理解を深めることができるインタラクティブ性・リアルタイム性に新しさがあります。この形式の販売方法は2017年ごろから急増し、特に中国で発展しています。コロナ禍において、店舗で接客できない中でも多くの情報を一度に届けられるライブコマースは、ますます注目度が高まっています。

中国におけるライブコマースの販売手法

 通常、ライブコマースは動画配信が可能なプラットフォーム上で実施されます。中国ではアリババ社のオンラインモール「タオバオ」から派生した「タオバオライブ」が特によく知られています。

 ライブ配信には、得意分野を持ち、多くのファンを抱えるKOL(Key Opinion Leader)が登場することが多いです(直近ではブランドの従業員や化粧品等の販売員が登場するケースも増えています)。配信者が生の声で商品について語ることによって、強い説得力を持って商品の特徴を訴求することが可能になります。

 コメント機能を通じて配信者とコミュニケーションがとれる点は、テレビショッピングにはなかったライブコマースならではの強みです。従来のEC購入では商品の写真とテキスト情報だけで判断して買う必要がありましたが、ライブコマースでは商品のサイズ感や質感、重さなど、気になった点について視聴者がリアルタイムで疑問を投げかけ回答を得ることができます。EC購入に付きまとう実物とのギャップへの不安を解消し、購買のハードルを下げることに成功しています。

 ライブコマース配信プラットフォームがEC機能を持っているので、動画配信画面からそのまま購入画面にリンクでき、数タップで決済までストレスなく完了させることが可能となる優れたUIも購買促進に大きく寄与しています。

 配信者の生の声、コメントによるコミュニケーション、一気通貫型のUI、これらの要素がそろうことによって、一度のライブ配信で商品認知から購買までがあっという間に完了してしまうのです。

 さらに、中国国内でライブコマース閲覧が定着した大きな理由として、配信視聴者限定の割引クーポンが配信されたり、限定版の商品セットが購入できたりするなどの価格メリットが大きいという点もあげられます。ライブコマースで買う=通常のECで買うよりもお得である、というイメージが浸透することにより、視聴習慣が定着し大きく成長したといえるでしょう。

欧米のライブコマース導入実態

 中国市場におけるライブコマースの拡大を受けて、欧米でも導入が進んでいます。

 アメリカの大手ECプラットフォームではインフルエンサーが商品を紹介し、視聴者がそのまま購入できるライブコマース機能を導入しています。コメント機能も備え、決済も同プラットフォームに登録している情報を活用するだけで良いことから、ユーザー体験としては中国でのライブコマースに近いものが提供されていると考えられます。さらに、あるSNSプラットフォームにおいては既存のライブストリーミングサービスにショッピング機能をテスト導入しているケースもあるようです。欧米では配信プラットフォームとしての地位を確立するために各社が準備を進めている状況で、今後新機能・新サービスの発表が相次ぐことが予想されます。

 また、ブランドがプラットフォームに頼らず単独で自社サイト上でライブコマース配信をするためのBtoBサービスも登場するなど、独自の動きも見られます。

ライブコマースの買い方

日本でライブコマースを普及させるポイント・今後の課題

 日本においても、欧米と同様に、圧倒的な地位を確立しているプラットフォームはないため、ライブコマース施策を実施する際は自社ブランドのユーザーが多く集まるプラットフォームを選んで配信をすることが適切であると考えられます。

 現時点では「ライブコマースを見る」というユーザー行動が根付いていないので、視聴者を引きつけるフックとなるような企画やタレント、インフルエンサー起用が必要となるでしょう。さらに、視聴を習慣化させるための仕掛けとして、ライブコマース視聴者限定の価格メリットを提供できる施策などを取り入れていくことが望ましいと考えられます。

 また、注意すべき点として、配信はリアルタイムで行われるため、ある程度進行を事前に計画し、訴求すべき内容、及び法律で規制されている効果効能に関する表現などを丁寧に確認し、ガイドラインを用意しておく必要があります。

 ライブコマースは大きな可能性を秘めていますが、国内ではまだ発展途上にあります。今後の広がりに備え、試験的配信を行うことで自社ブランドとターゲット層に合ったコミュニケーションや商品訴求方法のノウハウを蓄積しておくと良いかもしれません。

阿部佳織(あべ・かおり)
阿部佳織氏

博報堂 CMP推進局 マーケティングプラニングディレクター

2013年入社後、トイレタリー・化粧品・食品・OTCなど消費財領域を中心にマーケティング戦略立案を担当。現在はグローバル領域における企業のデジタルマーケティング推進支援、及びビューティー領域に特化したDX研究・DX化支援に取り組む。

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