購買意識と情報行動をマッピング
J-READ2018では、「購買意識（17項目）」と「情報行動（18項目）」について尋ねている。その関係を探るためコレスポンデンス分析という統計的手法を使って分析した結果が図１である。項目間の距離が近いほど相関が高いことを表している。
横軸のマイナスの方向には「限定モノ・流行モノに弱い」や第２象限に「新しい物が好きですぐに買うほう」などがあり、プラスの方向には「広告や宣伝に流されない」「情報に左右されない」や第４象限に「必要なもの以外、買わないほうだ」などがある。
横軸を左から右へ行くほど、情報依存度が低くなり、「新しいモノ好き」から「情報に左右されない堅実派」に変化していることが分かる。
縦軸のプラスの方向には「ブランド・メーカーにこだわりがある」「興味関心ごとのうんちくは持っている」などがあり、マイナスの方向には「情報は広く浅く知っていれば十分」や第３象限に「皆が買っているなら良いモノだ」などがある。
縦軸の上方から下方へ行くほど、周りに左右され他人への依存度が高くなり、情報摂取は広く浅くなる傾向が見られる。
コミュニティーの核となる「ブランドへのこだわり」
では、図1において、ブランドのファンになる、コミュニティーの核となりそうな人はどこに位置しているだろうか。
本稿では「ブランド・メーカーにこだわりがある」層に注目した。近くには「周囲からアドバイスを求められる」「興味関心ごとのうんちくは持っている」などが位置している。この層は商品ブランドに対してうんちくを語ることができ、そのため周囲からアドバイスを求められる。良質なコミュニティーをつくる上で欠かせない層と言って良いだろう。
情報接触量が多く、ネットとの親和性が高い
こうした層（「ブランドこだわり層」）は、どのようなメディア接触をしているのだろうか。上述の３要素（「ブランド・メーカーにこだわりがある」「周囲からアドバイスを求められる」「興味関心ごとのうんちくは持っている」）すべてに「あてはまる＋やや」と答えた人について、各メディアに「月に１日以上接触している」人の割合を集計し、全体平均と比較したものが図2である。
新聞接触は74.4％と平均とあまり差がないが、「雑誌」「インターネット（パソコン・タブレット）」「インターネット（ 携帯電話・スマホ・PHS）」が全体平均を大きく上回っている。この層の情報接触量の多さや、ネットとの親和性の高さがうかがえる。
新聞広告は企業情報の情報源
新聞への接触量は平均的だが、新聞（広告）との関わり方には特徴がみられるだろうか。
新聞（広告）に関する意識・行動を全体平均と比較したのが図3である。「新聞で興味を持ったらネットで調べる」「新聞の内容について家族・友人・知人で話題になる」が平均との差が大きく、新聞が情報源となってネット検索や周りへの発信につながっていることが分かる。「ブログやSNSの情報から新聞を見た」も平均との差が大きい。新聞がネット情報の確認メディアになっている。
「新聞広告で企業等に改めて注目」「新聞広告は企業姿勢がよく伝わる」などのスコアも平均との差が大きい（図3-2）。新聞広告を企業情報の情報源として活用している。
本稿では、コミュニティーづくりに欠かせない核となる層を「ブランド・メーカーにこだわりがある」といった購買意識に着目し抽出した。
こうした層は、ネットとの親和性が高く、新聞（広告）も重要な情報源であり、企業情報の情報源として活用している。
新聞は、コミュニティー・マーケティングにおいても、情報源として欠かせないメディアとなっている。
（朝日新聞東京本社 メディアビジネス局 マーケティング・ディレクター 真板 誠）
◆特集「コミュニティー・マーケティングの新潮流 ─いまメディアにできること」はこちら
■全国新聞総合調査（J-READ2018）
調査地域： 全国47都道府県主要エリア
調査対象： 満15～74歳の個人
抽出方法： 過去調査対象者から抽出。不足分を「地点・個人」の多段抽出
抽出方法： 調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効回収数： 12,242
規正標本サイズ： 80,178（推計人口に対応。単位：千人）
調査時期： 2018年10月21日（日）～10月27日（土）
調査主体：ビデオリサーチ
※標本サイズ（ｎ数）はすべて規正標本サイズです
◆PDFでもご覧いただけます
冊子『広告朝日』25号掲載 Data＆Analysis（667KB）
