書店員は新聞広告を仕入れの参考に! 新聞広告の効果を深掘り
<書店員メディア接触調査>

朝日新聞社は、株式会社日本リサーチセンターとともに1都3県の書店を対象に「書店員メディア接触調査」を実施しました。仕入れの参考にしている媒体や情報源など日ごろのメディア接触状況を聞き、さらに売り上げに寄与すると思われる媒体、各書店が取り組む独自の販売促進活動についても調査しました。 今回の結果では、書店員は新聞広告や書評記事を仕入れの参考にしており、新聞広告により売り上げ効果を感じていることが分かりました。消費者に加えて、流通現場に及ぼす新聞広告の効果を知りたい方は必見です。

仕入れ・棚づくりの参考にするのは「新聞広告」

発売前~発売直後のタイミングで、書店員が仕入れや棚づくりの際に参考にしている情報を聞いたところ、約45%が新聞広告と回答しました。これはネット書店のレビューや予約数を参考にしている割合の1.8倍に上ります。

新聞広告に次いで多いのは、テレビ番組での紹介、出版社社員の助言。さらに、新聞の書評記事も情報源の1つになっています。SNSやブログの口コミ、ネット書店のレビューなどはいずれも30%以下でした。

 書店員調査_記事用グラフ_01_2 仕入れや棚づくりの参考にしている情報(発売前~発売直後)(n=96・複数回答可)

出版物の売れ行きに効果があると思う広告は?

商品の販売後、売れ行きを向上させるのに効果があると思う広告は、交通広告やWEB広告、テレビCMよりも、新聞広告であると書店員は感じています。

新聞広告を切り抜いて来店する人や、紙面に掲載された情報をもとに近隣の店舗に問い合わせをする人も多く、接客業務の中で新聞広告の直接的な売り上げ効果を実感している様子です。

 書店員調査_記事用グラフ_02_2 出版の売れ行きを向上させるのに効果があると思う広告 (n=95・複数回答可)

さらに、ジャンル別にみると「健康・医学書」「文庫・新書」「小説・文芸・文学書」はより広告効果があると考えられています。雑誌では「健康誌」「ビジネス・マネ―誌」「生活実用情報誌」などの生活に根ざしたジャンルで効果を示しています。

 表1_売り上げに効果があるジャンル_2_1 新聞広告が出ることが特に効果的である(売り上げが伸びる、お客様からの問い合わせが多くなる など)と思う出版物のジャンル トップ10

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42%の書店が独自の店頭販促を行う

出版物の販売促進のために、各店舗で独自にやっている取り組みについても調査したところ、最も多かったのは「季節やテーマに合わせたおすすめ、特集の棚を設置している」で、半数の店舗が取り組んでいる施策でした。その他には、SNSアカウントを使った発信や独自の店頭販促をしているお店が多くありました。

その中には、新聞広告や書評を切り抜いて活用しているという店舗もありました。自由回答からは、「広告を切り抜いて店の外に張り出している」「店内に新聞書評を張り出したコーナーを設けている」などの声が見られ、お店では新聞の紙媒体としての特徴を生かした工夫が行われていることが分かります。

新聞広告は情報を伝えるだけでなく、店頭での販売促進のツールにもなっています。

 書店員調査_記事用グラフ_03_2 出版物の販売促進を図るために、店舗で独自でやっている取り組み(n=88・複数回答可)

書店員に支持される朝日新聞

4マス媒体+インターネットの中で最も広告効果があると感じられている新聞広告ですが、全国紙の中でも特に朝日新聞の閲読率が高いことが分かっています。書店員の約20%、他の新聞社よりも5ポイント以上の差がありました。

朝日新聞は毎日1面~4面に出版物の広告を掲載し、毎週土曜日には書評や本・出版界のトピックスなど読書に焦点を当てた特集(読書面)を複数ページにわたって展開しています。出版物の広告の多さも、書店員から支持されている理由のひとつと考えられます。

 書店員調査_記事用グラフ_04_2 書店員が普段読んでいる新聞(n=105・複数回答可)

さらに、読書面で掲載をしている書評に対する評価も各新聞社によって違いが見えてきました。朝日新聞は書評での紹介後の売れ行きへの影響、読みごたえの点で高い評価を受けています。
特に、売れ行きへの影響は書店員の半数近くが実感していて、他の新聞を10ポイント以上も上回るスコアでした。また、専門書から話題の本まで幅広いジャンルの書籍を掲載している点も特徴です。

読書面の下段に広告を掲載することで、消費者との接点となる書店員へ情報を届けることができます。そして、広告を見た書店員が店舗でPRをすることで売り上げにつながるかもしれません。

 書店員調査_記事用グラフ_05_2 新聞の書評(デジタル版も含む)に関することがらについて、あてはまると思う新聞(n=88・複数回答可)

まとめ

マス媒体やインターネット、SNS、クチコミなど多くの情報がある中で、書店員は新聞媒体に多く接触していることが分かりました。新聞の情報を仕入れや棚づくりの参考にしていることに加え、売り上げの効果も感じています。

本調査を通じて、新聞広告は企業と消費者の間に立った流通のステークホルダーにも影響を与えることが分かりました。企業と一般消費者(Business to ConsumerBtoC)、企業と企業(Business to BusinessBtoB)を結ぶ印象が強い新聞広告ですが、消費者に近いステークホルダーに働きかけることも可能です。

また、新聞広告そのものがプロモーションの材料になる点も特徴的です。テレビやネットでは実現できない「手元に残る」広告が、店頭で利活用されていることも注目すべきところです。

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調査概要

■書店員メディア接触調査
調査対象東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の新本(紙の出版物)の店頭販売を行っている書店の書店員。
     「仕入れ・棚づくり」の業務に関わる書店員をスクリーニング設問によって抽出。
調査方法:インターネット調査
抽出方法:2022年1月1日~1月7日
抽出方法
①リスト抽出
マピオン電話帳書店リストから、該当地域の書店を抽出+全国の書店チェーンで東京50キロ圏内に店舗がある20ブランドについては、電話帳非掲載店舗をホームページで一部補完。
20ブランドについては、「お手軽自費出版ドットコム」に記載があるチェーンを「書店チェーン」扱いとする)
②ネットパネル抽出
日本リサーチセンターのWEBリサーチパネル内の関東在住者の中で業種=書籍に該当する対象者に配信
③機縁法
電話帳リスト以外の関東店舗で、日本リサーチセンターの機縁がある店舗に依頼
調査期間:2023年8月4日~9月18日 (※WEBパネル抽出は8月29日~9月18日のみ)
回収サンプル数:n=105
実査機関:㈱日本リサーチセンター ※調査会社名で実施