印象的なコピーで話題を呼んだ「ファミマル」が好調。1周年の感謝を新聞広告で伝える

 昨年、「そろそろ、No.1を入れ替えよう。」や「負けていたのは、イメージでした。」などのコピーが話題を呼んだ、ファミリーマートのプライベートブランド(PB)「ファミマル」。あれから1年たった10月、その後「ファミマル」の売り上げが好調なことを感謝の気持ちとともに伝えるキャンペーンを展開する。そこで昨年のキャンペーンの反響を踏まえたうえで、今年のキャンペーンの内容や狙いを、同社マーケティング本部の麻生浩弥氏に聞いた。

売り上げ増加や社内のモチベーションアップにつながった昨年のキャンペーン

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麻生浩弥氏

 ファミリーマートのPB「ファミマル」は、2021年9月に創立40周年を迎えたことを契機に始めた新たな取り組みだ。これまで同社では、日用品やお菓子、加工食品、飲料などのPB商品を「ファミリーマートコレクション」として、総菜や冷凍食品などのPB商品を「お母さん食堂」として展開していた。これらをすべて一本化し、「ファミマル」の名でリブランディング。親しみやすいロゴと、中身がわかりやすいパッケージで、約810商品(2021年10月の発売当時)を販売することにしたのだ。
 この新しいPBの認知向上のために実施したのが、クリエーターの三浦崇宏氏率いる株式会社GOが企画製作を担当したキャンペーンだ。新聞広告で「負けていたのは、イメージでした。」とのメッセージを打ち出し、他社とファミリーマートのハンバーグを食べた人が「ファミリーマートのほうがおいしい」と答えたアンケート結果を掲載。渋谷駅には「そろそろ、No.1を入れ替えよう。」とのコピーを載せた交通広告を掲出した。メッセージ性の強いワードによる2つの広告は大きな話題を呼んだ。
 「キャンペーン全体としては、あくまでお客様に対して、私どもの製品のおいしさがきちんと伝わっていなかったことを反省し、それをしっかりと伝えることが目的でした。ただ内容がやや刺激的だったこともあり、予想以上の反響がありました」
 チェーン加盟店からは「本部の本気度を感じた」との声が多数届いた。社内でも「これから自分たちは『ファミマル』に徹底的に力を入れて、お客さまにとってのナンバー1を目指すんだ」との意識が共有され、モチベーションアップにつながったという。
 「さらにキャンペーン後、実際に販売量も大きく伸びました」(2021年10月19日の「ファミマル」発売以降、22年8月まで10カ月連続で売り上げ前年比超えを記録※10月3日発表)。「当社が定期的に行なっているアンケートでも、この一年で商品を『おいしい』と評価する数値が上昇しています。そこで誕生から1周年となる10月にあらためて『ファミマルはおかげさまでみなさんからおいしさが評価され、よく売れています』といったメッセージを打ち出すことにしたのです」

率直な評価や意見を商品開発やマーケティングに生かせるJ-MONITOR

 今年のキャンペーンも、GOに企画制作を依頼し、テレビCMと交通広告、新聞広告で展開。さらに実際に商品を手にとってもらう機会を増やすべく、「ガチ推し20商品」を、期間限定20円引きで販売する店頭キャンペーンも実施する。

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 「テレビCMではまずは『ファミマルがおいしい』ということ、20円引きキャンペーンを実施していることを広く伝えます。それなりの文字数でしっかりメッセージを伝えられる新聞広告では、お客さまやライバルへの感謝の思いを述べたうえで、ファミマルが「おいしい」との評価をいただきながら、売り上げも好調なことを伝えます。我々のチャレンジ精神や、その背景にある思いもしっかり伝えたいと思いました」
 ちなみに同社では、一昨年ほど前まではそれほど新聞広告を積極的に活用していなかった。しかし昨年のシニア層向けアプローチとして実施したことをきっかけに、新聞広告の有用性をあらためて実感するようになったという。とくに麻生氏が、広告の効果検証から商品開発やマーケティングに役立つと考えるのがJ-MONITOR(新聞広告共通調査プラットフォーム)だ。
 「J-MONITORのコメントを読むと、モニターのみなさんが新聞広告をじっくり読み、私どものメッセージをしっかり受け止めてくださっていることがよくわかります。また食品販促系の広告を出した際などは、『おいしかった』『また買いに行きたい』などといったポジティブな意見とともに、『見た目が悪い』などといったネガティブな意見もいただきます。なかには『こうしたほうが良いんじゃないか』などといった提案もあります。我々としては、このような生活者の率直な評価や意見に触れられることが、とてもありがたいのです」
 とくに現在、コンビニがマーケティングのうえで重視しているのが、シニア層と働く女性だ。そのなかで、シニア層にリーチするうえでも、新聞は有効だと麻生氏は言う。
 「昨年のキャンペーンから1年経ち、おかげさまでファミマルの認知が広がり、売り上げも好調です。とはいえ、まだまだファミマルのことを知らない方も多く、今後も、さらなる認知を広げていく必要があります。そのうえで、新聞広告も有効に活用しながら、さまざまな訴求方法を模索していきたいと考えています」

いかに「ファミリーマートに行きたい」と思ってもらえるものをつくるか

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 「ファミマル」のロゴは、誰もが笑顔になる「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」の二重丸の品質を表しているという。パッケージは“誰にとっても(Family)楽しく(Fun)わかりやすい(Universal)”「F-universal」をコンセプトにしている。目指しているのは、子供から大人まで、誰もがパッケージをぱっと見ただけで、その商品の特徴や良さがわかり、手に取った人が笑顔になる、そんなパッケージだ。コンビニがさまざまなかたちで差別化を図っているなか、PBの「ファミマル」にこそ、ファミリマートの姿勢がよく表れていると言えるだろう。
 「これがあるからファミリーマートに行きたい。そう思っていただけるものをどれだけつくれるか。それが私どもの勝負だと思っています。そのためにも、マーケティングや広告キャンペーンにおいても、これからも当社らしい挑戦をし続けていきたいと思っています」

※「ファミマル」…誰もが笑顔になる「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」の二重丸の品質を表す。 パッケージは“誰にとっても(Family)楽しく(Fun)わかりやすい(Universal)”「F-universal」をコンセプトにしている。 https://www.family.co.jp/goods/famimaru.html

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