朝日新聞社のデータソリューション・プラットフォーム「A-TANK」の提供を開始

朝日新聞社は2022年11月21日に、多様な生活者との接点から得た1stパーティデータを用いたデータソリューション・プラットフォーム、Asahi Data Solution SYNC TANK「A-TANK(エータンク)」の提供を開始しました。また同日、A-TANKの具体的な商品プログラムの第1弾として、資本参加した「ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社(通称PANX)」との連携を発表。11月21日にオンラインで開催された「朝日データソリューション説明会―朝日新聞社×ぴあ―」のイベントレポートを通して、それぞれの内容をご紹介します。

PANX TOP

【出席者】
朝日新聞社 総合プロデュース本部長 五老 剛
ぴあ朝日ネクストスコープ 代表取締役社長 木戸 文夫
ぴあ朝日ネクストスコープ 取締役副社長 崎川 真澄
ぴあ朝日ネクストスコープ 執行役員 市川雅仁
朝日新聞社 総合プロデュース本部 デジタル・ソリューション部 N×Tチーム 坂上正人

A-TANK表紙

A-TANK メディアガイド

多様な生活者との接点から得た1stパーティデータを用いたデータソリューション・プラットフォーム「A-TANK(エータンク)」の資料はこちら。

データソリューション・プラットフォーム「A-TANK」とは

 第1部では最初に朝日新聞社・総合プロデュース本部長の五老より、「A-TANK」について説明がありました。

朝日新聞社 五老剛

A-TANK」は、「Asahi Data Solution SYNC TANK」を略したもので、朝日新聞社が多様な生活者との接点から得た1stパーティデータを用いたソリューションを提供するプログラムになります。「A-TANK」の中心になるのが「A-TANK DMP」です。ここには550IDを超える朝日ID会員の属性と、各種媒体・サービスを通じた、Web行動情報、購買履歴・キャンペーンへの応募・イベント参加履歴などが多数、蓄積されています。ユニークブラウザの情報は月間5000万を超える規模となっています。これらを活用して、企業の皆さまのマーケティング、プロモーション活動における、データの分析、事前の仮説設計、実際の広告配信、そしてレポーティングなどの領域において、多くの蓄積データを活用したソリューションを提供いたします。

A-TANK 概要

 

 「A-TANK」は、シンクタンクという言葉に、「think」ではなくて、敢えて「SYNC」、シンクロナイズさせる、の言葉を入れています。これには、生活者の潜在的な価値観も読み取れるA-TANKのデータから導き出される「生活者の課題・インサイト」と、「企業の皆さまが提供する価値」のシンクするポイントを見つけることによって、より効果的なマーケティング戦略の立案・実行に貢献しよう、という意味を込めています。

A-TANKとは

 デジタル広告のコミュニケーションにおいては、データを活用した最適なターゲッティングとともに、コンテンツ・クリエイティブが重要になります。私どもでは、先に立ち上げた、コンテンツマーケティングのソリューションプログラム「ADS」で蓄積した様々な知見、コンテンツ・クリエイティブの制作力と、「A-TANK」のデータ分析力を掛け合わせることで、最適なコミュニケーションプランを導き出し、実行してまいります。

A-TANK」 広告ソリューションの概要

 続いて、朝日新聞社 デジタル・ソリューション部の坂上から「A-TANK」の具体的な広告ソリューションの概要について説明がありました。

坂上 A-TANK」の特長は3つです(下図)。大規模なメディアを持っているパブリッシャー、数百万のIDを持っている企業、それぞれいらっしゃると思いますが、この3つを備える企業はなかなかないと思うので強みを活かしたご提案ができると思います。

A-TANK データ活用

 たとえば「ディスプレイ広告」では、広告主の既存顧客のデータを朝日新聞の1st パーティデータをもとに分析、機械学習による拡張セグメントを作成して広告を配信することが可能です。「タイアップの誘導」では、事前にディスプレイ広告を配信し、クリックしたユーザーを蓄積してタイアップ誘導に活用し、より親和性の高い読者にリーチすることができます。また「分析」では、A-TANK DMPタグを広告主サイトに設置、来訪者とCV・エンゲージメント層を朝日新聞の1st パーティデータと組み合わせた分析ができます。

 第1部の最後に、五老より朝日新聞社が資本参加した、ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社(通称『PANX』)との連携について説明がありました。

五老 PANX社の扱うデータは、国内最大級の約1750万人の、ぴあ会員IDを始め、年間7,500万枚超のチケット購買データ、1.4億ユニークブラウザのデータなど、多岐にわたります。朝日新聞社のニュースサイトや様々なWeb、イベント、サービスを通じたデータを蓄積するA-TANKと、特にエンターテインメント、ライフスタイル領域に大きな強みをもつPANX社、両社のデータソリューションを連携させることにより、これまでにない、新たな価値をご提供してまいります。

PIA DMPと朝日新聞社が保有するデータが組み合わさり、何ができるのか

 第2部では先般、朝日新聞社が資本参加したぴあ朝日ネクストスコープ株式会社(通称『PANX』」の代表取締役社長 木戸氏と取締役副社長 崎川氏が、朝日新聞社とPANX社の連携について話しました。

ぴあ朝日ネクストスコープ 木戸文夫 崎川真澄

崎川 PANXではどのようなデータが活用できるのでしょうか。

木戸 下図がPANXとして活用するするぴあ側のデータになります。「PIA DMP」には国内最大級、約1,750万人を超えるライブエンタメユーザーを擁する「ぴあ会員」の、年間7,500万枚超のチケット購買データやメディアへの来訪者データなど様々なデータが蓄積されています。ユニークブラウザ数のデータは年間14千万件にものぼります。

PIA DMP 蓄積データ

崎川 「ウレぴあ総研」とはどういうものなのでしょうか。

木戸 「ウレぴあ総研」は様々なジャンルを扱うメディアプラットホームです。ファミリー、女子、グルメ、ディズニー、イベントなど多様なターゲットメディアを、多角的に展開しており、月に7,200PV、ユニークユーザーは月に500万ほどです。ユーザーの7割が女性で、20代を中心に1030代の若い世代に強いメディアです。

崎川 PANXの掲げるメディアとデータマーケティング戦略、戦術はどのようなものなのでしょうか。

木戸 メディアごとに専門部隊が、ユーザー閲覧データも活用ししながらコンテンツを制作します。そのコンテンツに興味・関心の高いユーザーを集客してサイト内を回遊。そこで集客したオーディエンスのデータを分析します。そのデータをPIA DMP蓄積分析によりさらなるセグメントや戦略に活かしつつ次のコンテンツ制作などにも活かします。上記サイクルに則りPDCAを回し続けます。

PIA DMP PDCA

崎川 私は10月に朝日新聞社からPANXに参加しましたが、改めて次の3点がPANXの強みだと感じています。

  1. チケットぴあのチケットを購入した顧客の購買データと、チケット既購入者の未来の行動データを持っていること。
  2. それと同時に、「ウレぴあ総研」に現在7種類以上のバーティカルメディアが有り、その来訪者の記事閲覧データとチケットぴあ購入者データとの掛け合わせての分析が出来ること。(記事広告含む)
  3. 広告主のニーズに応じて、②のデータを使って「ウレぴあ総研」内にテーマ特集を作るなど、柔軟に新たなバーティカルメディアを立ち上げられること。

木戸 そこに朝日新聞社が参画したことで、ぴあが保有するソリッドなエンタメユーザーデータに、朝日新聞社が保有する全方位的なデータが加わります。それらのデータをパラレルに活用すると共に、それらが交わったときにどのような化学反応を起こし得るのかが楽しみであり、課題でもあります。また連携についてはデジタル領域に閉じたものではありません。ぴあはもちろん、朝日新聞社においてもアートやスポーツ、音楽など様々なエンタメ興行を手掛けています。PANXでも興行製作や出資を行ったり、更には紙媒体での展開もお客様のニーズにあわせて組み合わせていきたいと思っています。

A-TANK表紙

A-TANK メディアガイド

多様な生活者との接点から得た1stパーティデータを用いたデータソリューション・プラットフォーム「A-TANK(エータンク)」の資料はこちら。

連携商品「PANX DSP」、「タイアップ広告のソリューション」とは

 第3部では朝日新聞社とPANXの連携商品について、ぴあ朝日ネクストスコープ 執行役員 市川氏と、朝日新聞社 総合プロデュース本部 デジタル・ソリューション部 N×Tチーム 坂上が説明しました。

坂上 ここから具体的な商品のご紹介をさせていただきます。両者の強みを掛け合わせたコラボレーションを「PANX コラボレーション」と銘打って、今後は展開をしてまいります。今回ご提供するのはこちらの2つ(下図)になります。1つが広告配信分野におけるソリューション「PANX DSP Ver1.0」、もう1つはタイアップ広告のソリューションです。こちらは朝日新聞社のADSを中心に、40媒体以上でのソリューションをワンストップでご提供が可能になります。これまでもぴあさんは先進的にDSP事業を進められていましたが、朝日新聞とコラボした「PANX DSP Ver1.0」についてはどのようにとらえていらっしゃいますか。

PANX 商品概要

ぴあ朝日ネクストスコープ 市川雅仁

市川 弊社の事業においても1st パーティデータであることはとても大事にしていました。どのような記事を読んでいるのか、何を買っているのか、いわゆる中身が非常によく分かるところが、1st パーティデータの強みかなと思っています。ですから今回も、朝日さんのセグメントを開発するにあたり、そこは非常に重要視しました。もうひとつが弊社だけだとリーチできないセグメント、作れないセグメントが今回のコラボレーションによってできるようになりました。弊社だけだとだいたい150くらいですが、朝日さんとのコラボレーションで300くらいローンチでき、ここは非常に強みなんじゃないかなと思っています。

坂上 続いてタイアップについてですが、朝日新聞社はこれまでもADSというコンテンツマーケティングに関する取り組みを行ってまいりました。そこに「ウレぴあ総研」が加わり、さらに対応領域が広がりました。今回改めて思うのが、ぴあさんは遊びや文化、といったイメージが強いですが、実際はそういったエンターテインメントに加えて、さらに尖ったターゲットに向けたメディアを抱えているので、そこをしっかり活用させていただくと、いろいろなことができるのではないかと考えています。ぴあさんからするとどういったところがポイントになりますか。

ADS タイアップメディア群

市川 弊社はどちらかというと遊びや趣味といった分野になるのでメディアをつくるときも「好き」といった気持ちを大事にしたメディア群なのですが、逆に言うとそれ以外がなかなかリーチするのが難しい。その代わり購買データが非常に豊富にあるので、それらを含めて活用できるわけですし、今後はそれを、ADSさんを含めたバーティカルメディアに広げられるところが、大きいのではと思います。

坂上 市川さんと議論をするなかで、何度も「大事にされている3つのポイント」を伺いました。改めてその3つについてお話しいただけますか。

市川 弊社がデータ事業をやるにあたって大切にしている3つは、誰にあてるのかの「オーディエンス」、どの時間にあてるのかの「タイミング」、そして一番重要なのが「クリエーティブ」です。DSPでも広告のパフォーマンスが違ってくるのはもちろんあるものの、やはりクリエーティブは非常に大事。それは集客するうえでのクリエーティブもそうですし、訪れたときのランディングページを含めたクリエーティブもそうです。

朝日新聞社 坂上正人

坂上 クリエーティブを変えることでDSPのパフォーマンスや結果が変わってきたりするのですか?

市川 かなり違いますね。結局は最後のクリエーティブ、やっぱり人間に見せるものなので、人間の心が動くかどうかの部分では、どうしてもクリエーティブはが非常に重要になってくるかなと思います。

坂上 今回はまずは第1弾というところ。今後も市川さん、楽しみですね。

市川 これで完成というわけではまったくないなと思っています。今後もふまえたうえでローンチした第1弾の商品なので、これがゴールではなく、むしろスタートです。これからもどんな商品がつくれるのか楽しみにしていただければと思います。

A-TANK表紙

A-TANK メディアガイド

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