
動画制作に加えジタルマーケティング全般も
ーー朝日デジタルラボ(以下・デジラボ)の制作プロダクションの主業務は?
制作プロダクション(以下・制プロ)は動画制作を主とした業務を行っています。クライアントワークがメインで、朝日新聞社のクライアント企業の動画制作をはじめ、他企業の動画制作を直接受注することもあります。
その動画は、製品やサービスを紹介する動画からドラマのようなものなどさまざまです。また、オンラインのみのライブ配信やオンラインとリアルを掛け合わせたハイブリッド配信などの配信事業も手掛けています。デジラボの他部署と一緒にやることが多いのですが、デジタルマーケティング分野でのLP制作やウェブ制作にも関わっています。
ーー 動画制作に関しては、具体的にどのような事例を?
最近だとテレビCM制作にも携わりました。乃木坂46が協力し、JAグループの「国消国産」※をキーメッセージとしたキャンペーンの一環です。
ほかには企業の製品を説明する動画も多く制作しています。実写で撮るものもありますし、アニメーション、インフォグラフィックやモーショングラフィックを使うなどの手法もあります。多様な表現を組み合わせて一番良い形を目指します。
※「国消国産」:「私たちの国で消費する食べものは、できるだけこの国で生産する」という考え方
ーー ドラマ形式でもいろいろなパターンがありますか?
過去には時代劇テイストのものをやりましたし、最近では現代ドラマも制作しました。俳優をキャスティングして撮った、日常的なちょっとしたショートドラマです。
通年企画で幅広い制作にチャレンジ

ーー特に印象に残る施策はどのようなものがありますか?
先ほどお話しした乃木坂46×JAグループのキャンペーンの仕事は、朝日新聞社と協力して、2年連続で担っています。その一員として、デジラボの制プロが各種制作を請け負っています。
乃木坂46のメンバーが農作物を料理したり、食べたり飲んだりする、というビジュアルや映像で、「国消国産」の認知を高めることがキャンペーンの狙いです。我々は、動画、ウェブサイトなどの企画の上流部分から、表現や演出に関わるご提案をしています。
1年を通して行う企画のため、テレビCMに限らず、多くの動画を出します。ウェブに載せる7本ぐらいと、あとはTikTokなどに流す縦型動画も制作しました。制作数は、2023年では30本以上、去年は10本位になりました。
人気がある乃木坂メンバーが出演していることから、どの動画も多くの方に視聴されています。このほかLPのクイズキャンペーン、全国の直売所に配布するポスターやのぼりなどにも携わっています。
ーー朝日新聞との施策は他にどんなものが?
グループセブジャパンのフライパン「ティファール」の動画制作にも参加しました。インフルエンサーの方に実際に使ってもらうというものです。この動画は、クライアントのウェブ広告、朝日新聞デジタルマガジンの&w(アンド・ダブリュー)のタイアップ記事にも使われています。
このように朝日新聞のデジタル関連サービスにも、動画やウェブページ制作で関わることも多いです。
メンバーは多彩なバックボーン

ーーライブ配信は、いつ頃から?
コロナ禍の2020年に完全オンラインイベントが増えた中で取り組んだのが始まりです。そのタイミングでノウハウを勉強し始めて、サービス化しました。コロナ禍が終わっても結局、ハイブリッドも含め、オンラインでのイベント開催はなくならなかったので、今も継続して受注しています。
ーー制プロのメンバーは、どのようなバックボーン?
主なメンバーは5人ですが、割といろいろな経歴の人間がいますね。僕は元々は朝日新聞社の報道局という部署にいて、紙面のグラフィック類を作るデザイン部で10年ちょっと働いていました。
他には、テレビの元ディレクター、BuzzFeed Japanで動画制作・動画撮影を長くやっていた者もいます。他にも朝日新聞社の見学係をしていた人がいたり、元々アルバイトで制プロの色々な動画の配信や撮影の時に手伝ってくれていたメンバーを新人として採用したりもしています。
こうした多彩なバックグラウンドは、クライアントにアイデアを提案する際に生きています。
クリエイターと連携する「編集力」強みに

ーー 宮下さんが考える、自分たちの強みは何でしょうか?
まずはクライアントの要望を踏まえ、最適な提案ができるところです。クライアントからは、「今回はこういった動画を作りたい」という大まかな要望がくることが多いです。その要望を踏まえ、いろいろな動画の手法や表現、世の中への広げ方を我々の方で考える。そして丁寧にクライアントや関係者とやり取りしながら、形にしていく力があると思っています。
それに加えて外部のクリエイターとの繋がりも多く、この動画の表現だったらこの人に頼むとすごく良いものができそうだとか、組み合わせる力も持っています。
これらの力を私は「編集力」と呼んでいて、制プロの強みと考えています。
ーー今後に向けて、拡大していきたい領域は?
今でも一定程度はできますが、企画する力や動画を提案する力をもっと伸ばしたい。言われた動画を制作する会社はごまんとあり、安くできるところもいっぱいある。そのため我々は、クライアントが施策を進めるより上流に関わり、意思決定段階から頼られる存在でいたい。その方がもっと色々な方々との仕事をご一緒でき、仕事に広がりも持たせられるはずです。
今、デジラボはある一定層の自治体に入札できる資格を取得し、単体でもかなり応募できるようになりました。もちろん、朝日新聞社本体と一緒に出る場合もあります。こうした入札の提案でも、我々の「編集力」を武器に関わっていきたいです。
朝日デジタルラボ 制作プロダクション事業部・マネージャー。2004年、朝日新聞社に報道局デザイン部で入社。2013年にメディアラボへ異動し、2016年メディア『Moovoo』の事業立ち上げに参画。2022年10月に朝日デジタルラボの創業メンバーとなり、主に動画受託制作や生配信の制作をする制作プロダクション事業部を担当。