「微博(ウエイボー)」

 微博(ウエイボー)は中国のソーシャルネットワークのひとつ。「微」は“小さい”を意味する中国語であり、「博」はブログを意味するため、小さいブログ=ミニブログを意味する。またミニブログを提供するサービス会社は複数あるが、その中で最大のものがポータルサイト「新浪網」を運営する新浪公司のもので、現在では“微博”と言えば新浪微博(シナウエイボー)のことを指すことが多い。

 新浪微博は2009年のサービス開始以来ユーザー数を急速に拡大し、現在では2億人以上が利用すると言われている。ツイッターのようなフォローやリツイート機能を持ち、フェイスブックのようなグループ機能なども併せ持つ。またテキスト投稿のほか、画像や動画のアップロード、ゲームなどのアプリも提供することができる。投稿の内容はツイッターやフェイスブックのように日常生活や趣味・関心事や政治に関することまで幅広い。以前は匿名での登録も可能だったが、北京市では2011年12月から実名登録が義務付けられ、今後のユーザー動向や投稿内容の変化などが注目される。日本に比べて報道や表現への制限がある中国では、匿名のソーシャルネットワークでは比較的自由な表現がなされていたが、実名制への移行で投稿内容やユーザーの動向がどのように変化するか注目される。

 中国には古くから圏子(チェンズ)とい言われる人的なネットワークがあり、血縁や会社関係を超えた社会的な相互扶助の仕組みがあるが、微博のようなソーシャルネットワークでも価値観や関心領域を同じくする圏子のようなグループが形成されていることが推測される。またアルファブロガーのように多くの読者を集め、影響力が強いカリスマユーザーは紅人(ホンレン)と呼ばれ、中には報酬を受け取って企業のプロモーションに協力する紅人もいるようだ。

 AKB48や蒼井そらなど日本の有名人、芸能人のアカウントも増えているほか、中国に進出している日本企業のアカウントも増えている。有名人や芸能人、企業が利用する場合、ニセモノではないことを保障する「Vマーク」を取得すれば公式アカウントとして登録され、アプリの提供などプロモーションツールとしての利用が可能になる。うまく活用すればクチコミによる情報拡散などが期待できるものの、運営方法を誤ればネガティブな反応が拡大する、いわゆる“炎上”を招くリスクもある。