「キャラクター・マーケティング」

 キャラクターとは、『マンガ・アニメ・テレビゲーム・絵本・童話の主人公、擬人化された動物や植物、ロボットなどの総称』で、1950年代にアメリカから入ってきたコミック・アニメなど“Fanciful Characters”(実在しない登場人物)の日本語訳として定着した。
 企業や団体の広告・プロモーションなどコミュニケーション活動で使われるキャラクターは、マンガ・アニメ・ゲームなどが出自の『既存キャラクター』とコミュニケーション活動のために開発した『企業オリジナルキャラクター』に大別される。

 企業がキャラクターを活用するメリットは、次の通りだ。

1. 有名なキャラクターを「アテンション・ゲッター」として用いることで、広告への注目が高まる
2. 他の類似する商品・ブランドとの差別化の手段となる
3. キャラクターへの関心や親しみ、好意度により、広告や商品・企業への関心や良好なイメージが高まる
4. キャラクターをシンボルとして用いることで、ブランドイメージが確立・強化される

企業オリジナルキャラクターでは、次のメリットも期待できる。

5. キャラクター使用決定を自主的に行え、継続的・長期の利用が容易
6. 使用権と商品化権が残り、販促物への二次使用や他企業への版権提供によるビジネス展開も可能になる
7. CSRなどの領域で使用した際、企業の「顔」として世間の理解や支持を集めるメッセンジャーとなり得る

 オリジナルキャラクターが定着・効果を発揮するまでに時間がかかることもある。開発には、長期使用に耐え得る、企業・ブランドのコアアイデンティティーを体現した外見やネーミング、パーソナリティーなどの設定を最初に考慮すべきだろう。

 消費者が製品カテゴリーを購買決定する際の態度の違いにより、キャラクターを使った広告・プロモーションの効果は異なる。一般的に、広告の認知や好意、商品購入喚起が特に高まるのは、菓子・飲料や食品・買いまわり品などである(図1)。最近では、住宅・不動産や金融商品、携帯電話などの業種でも、企業オリジナルキャラクターを活用し、話題となる例が増えつつある。

図1 消費者の購買態度による製品カテゴリータイプとキャラクター活用効果の関係

 キャラクターへの好意度やグッズの受容性が特に高いのは、男女園児・小学生や女子中高・大学生~若手社会人。さらに、父親・母親層にも浸透している。キャラクターになじみの深いこの世代にとって、キャラクターは家族や友人とのコミュニケーションやCGM活動のネタであり、そのための可視化ツールとしてグッズは重要な意味を持つ。世帯消費の主導権を持つ親世代向けにキャラクターを使った広告・プロモーションを展開すれば、商品購入・ブランドスイッチの契機や企業へのロイヤルティー形成を促進する可能性が高まるだろう(図2)。

図2 性年代別:企業オリジナルキャラクターへの意識「かなりあてはまる」+「まああてはまる」