【解説】ブランディングとは何をすること? メリットと成功させるための4つのポイントを紹介

企業戦略の一つであるブランディングは、他社と区別できるブランドを作り、ファンを獲得して新たな価値を見出すことです。ブランディングを成功させるためには、KPIの設定が必要となります。しかし、中には「ブランディングのやり方がわからない」「KPIがよくわからない」という方もいるでしょう。この記事では、ブランディングの基礎や具体的な施策、KPIの設定方法を紹介します。
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ブランディングとは、独自のブランドを作って他社との差別化や自社の価値を向上させるためのマーケティング戦略です。

ブランドは自社の商品やサービスを別の商品と区別するための要素で、ロゴや商標、キャッチフレーズなどが組み合わさって作られます。

例えば、消費者から「〇〇会社といえばあのサービス」のように商品名や会社名がイメージされる企業は、ブランディングされているといえるでしょう。

ここでは、ブランディングについてさらに詳しく解説します。

ブランディングの対象となるブランドは、もともと古期のスカンジナビア語の「Brandr(焼き付ける)」が由来となっています。

自分の所有する牛と他人が所有する牛を区別するために焼印を入れ、中世になると自分たちの作品である印として陶器の底にサインやマークを入れていました。

このような経緯を経て、ブランドは売り手の商品を他人のものと区別するために発達し、やがて識別の枠を超えて企業や商品、サービスの価値を表現するツールに変化しました。

一般的にブランドの概念は、以下の3つに基づきます。

  • 他人のものと区別するサインや名称
  • 区別された商品やサービスそのもの
  • 区別された商品やサービスが持つ価値

また、ブランドは商品やサービスに限らず、組織や場所、人など、さまざまなものが対象となります。

ブランディングでは、顧客に持ってもらいたい企業のイメージを表す「ブランドアイデンティティ」の構築を行う必要があります

なお、提唱者であるブランド論の専門家デービッド・A・アーカー氏は、ブランドアイデンティについて以下のように解説しています。

ブランドにはブランドビジョンが必要であり、こうなってほしいと願うイメージを言葉で説明したもの

「ブランド論」(ダイヤモンド社)デイビッド・アーカー

また、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では以下のように定義しています。

企業がある商品・サービスが「何ものか」を示すため定める「旗印」のこと。言い換えると「ブランド独自の価値」をひとことで表したもの。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会

言語化した企業の特徴を旗のように見えるようにすることがブランドアイデンティティの構築であり、顧客が持つブランドイメージとのギャップを埋めることがブランディングです。

ブランドアイデンティティがなければ、ブランドは構築できません。

ブランディングは「顧客に自社のイメージを持ってもらう」ことが目的であるのに対し、マーケティングは「企業が自ら情報を発信して顧客に伝える」という違いがあります。

マーケティングは、商品やサービスを売るためのトータル的な活動のことです。具体的には、新商品の立案や価格設定、販売チャネルの設定やフィードバックなどがあります。

どのような商品が望まれているかを分析し、顧客のニーズに応えるためにさまざまな活動や対策を行います。両者は異なるものですが、完全に分けることはできません。

例えば、マーケティングの一環で期間限定キャンペーンを行ったとします。

このようなキャンペーンは一定の効果が出て終わりですが、ブランディングを行っているとSNSでユーザーが拡散したり、キャンペーン終了後も継続的に購入してもらえるなどの相乗効果が期待できます。

ブランディングに成功すると、マーケティングでの効果も得やすくなるということです。

プロモーションは「商品やサービスの販売促進」を意味する言葉であり、マーケティング戦略の一種です。

ブランディングは消費者に良いイメージを持ってもらうために行いますが、プロモーションは広告やSNS、Webサイトなどを使い、商品やサービスを周知してもらうために行うという違いがあります。

マーケティングと同様に、ブランディングとプロモーションも切っては切れない関係です。

両者がうまく噛みあっていなければ、プロモーションの効果が低下したり、ブランディングに悪い影響を与えることもあります。マーケティングの効果を高めるためには、ブランディングとプロモーションのどちらも重要です。

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ブランディングといってもさまざまな種類があります。ここでは、代表的な4つのブランディングを紹介します。

企業ブランディングとは、企業の価値を高めて競合他社との差別化を行う施策です。コーポレートブランディングとも呼ばれ、自社ならではの強みや特徴を伝える役割を持ちます。

例えば、「〇〇の商品はA社が安心できる」のように、信頼を得て企業や商品のイメージアップにもつなげていくのが企業ブランディングの目的です。

アプローチとしては、多くの消費者に企業を知ってもらうために広告や新聞、SNSなどを活用する方法などがあります。

商品・サービスブランディングは、消費者に選ばれ続けるためのブランディング手法です。

競合他社の商品やサービスと差別化を図るために、魅力や価値を高めて独自性を持たせることを目的に行います。

例えば、同じような価格と品質の商品やサービスが混在している場合に、「〇〇の商品はCMやスーパーでよく見かけるし安心できる」のように、名前やイメージで消費者に選んでもらうことも商品・サービスブランディングが目指す先です。

アプローチとしては、商品やサービスのロゴ、キャッチコピー、パッケージの作成などが挙げられます。

インナーブランディングは、社員をターゲットに自社の企業理念やブランド価値を浸透させて企業活動を向上させるための取り組みです。

社員のエンゲージメントや定着率の向上につながるだけでなく、企業に貢献しようという心理が働くことで、社外におけるブランディング活動にもプラスの影響を与えます。

アプローチとしては、社内イベントの実施や社内コミュニケーションツール、社内SNSの活用、広告活動などが挙げられます。

採用ブランディングとは、企業の認知度や求職者の入社意欲を高めることを目的に企業をブランド化していく取り組みです。

近年は労働人口の減少によって有効求人倍率は増加しており、それに伴い企業側は求職者に選ばれるための努力が求められています。

採用ブランディングで企業の認知度を高めることができれば、求人応募者数の増加や選考辞退率を減少させて、採用コストの減少につながるでしょう。

アプローチとしては、イベントやミートアップの開催、採用ブログや動画メディアによる広報、広告活動などが挙げられます。

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ブランディングを行うことでさまざまな効果が期待できます。ここでは、ブランディングの6つのメリットを紹介します。

ブランディングには競合他社との差別化を図り、消費者に自社の商品やサービスを選んでもらいやすくなるメリットがあります。

特に、競争相手が非常に多く激化しているレッドオーシャンでは、他社との差別化を図り優位性がなければ生き残ることは難しいでしょう。

また、商品やサービスに優位性があれば、新たに当該分野に参入しようとしている企業はコストをかけて新たに差別化を図る必要が出てくるため、新規参入の抑制にもつながります。

広告宣伝費を削減できることもブランディングのメリットです。

商品やサービスのデザインやロゴが浸透すると、消費者に選ばれやすくなります。新規顧客を目指した広告や宣伝ではなく、ブランド維持成長を目的した広告や宣伝に絞ることが可能です。

広告宣伝は、広告を作って周知するだけでなく、企画や運用、分析などにも多額のコストが発生します。ブランドが浸透して作る広告や宣伝を絞ることができれば、広告宣伝費の削減につながるでしょう。

よって、ブランディングができていれば、広告宣伝費を抑えながら長期にわたって売り上げに貢献してもらえます。

ブランディングは、企業・商品・サービスの信頼性を向上させて、リピーター獲得につなげられることもメリットです。

また、消費者のリピート率を高めると取引先からの信頼性も高まります。

「あの商品なら安心できる」「一緒に仕事がしたい」と思われるようになり、ビジネスチャンスの拡大にもつながります。

信頼性の高いブランドに成長させるためには時間を要しますが、獲得できれば安定した経営ができるでしょう。

ブランディングによって企業の価値が高まると、人材採用がしやすくなり、求人広告費にかかるコストを削減できることもメリットの一つです。

ブランディングで獲得したファンが求人に応募してくれる可能性も高まり、そのような人材は企業や商品に思い入れがあるため高いモチベーションが期待できます。

また、聞いたことがない企業よりも、多くの人に認知されている企業の方が求職者も安心感があります。

ブランディングのメリットは、「〇〇のブランドだから買う」という購買心理が生じることで、競合他社との価格競争に陥りにくくなることです。

消費者にとって商品やサービスの価格は購入の判断に大きな影響を与える要素で、できるだけ質が良くて安いものを購入したいと考えます。

その結果、競合他社同士で熾烈な値下げ競争が発生すると、薄利となってしまい自社の首を絞めかねません。

しかし、企業がブランディングを適切に行っていれば、ブランドや品質など、価格以外にも購入の判断に与える要素が増えます。

価格以外で購買に与える価値を作り出すことができれば、値下げ競争に巻き込まれることなく独自の路線でプロモーション活動ができるでしょう。

ブランディングは、ロイヤルユーザーの獲得にもつながります。

ロイヤルユーザーとは、そのブランドが好きで継続的に商品やサービスを購入する消費者のことです。

ブランドに対して愛着を持っているため、多少の値上がりや競合ブランドの値下げが発生しても離れることはありません。

他にも、新商品を販売したときに購入してもらいやすいことや、SNSやブログなどを通じて宣伝してもらえるメリットもあります。

また、商品やサービスの改善において重要となる要素が消費者の声です。

ロイヤルユーザーはブランドを熟知していることもあって有効なフィードバックを与えてくれることも多く、商品やサービスの改善、開発などにも役立ちます。

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Getty Images

ブランディングは目的を明確にしたうえで、自社の現状や顧客分析などを通して戦略を立案していく必要があります。

ここでは、ブランディングにおける戦略立案の流れを紹介します。

ブランディング戦略を立案するうえで、最初に行うことが以下のような目的の設定です。

  • 何のためにブランドを構築するのか
  • 何のためにブランド価値を高めるのか

目的という土台がしっかりしていないと、チームのモチベーションがあがらず、ズレた手法を選んだり、中途半端な施策になる可能性があります。

ブランド構築の目的を社内・社外向けに考えることが重要です。

社内向けならチーム力やモチベーションの向上、社外向けなら顧客や取引先などを意識しながら目的を設定しましょう。

また、学生に対する採用活動の強化や、社会における知名度の向上なども合わせて検討することも大切です。

ブランディングの目的が明確になったら、次はターゲット顧客の決定や分析を行います。
ターゲット顧客を分析したうえで、具体的なブランド設計の立案を行いましょう。

ターゲットを決める方法は、下記の2つが主流です。

  • STP分析:市場の全体像を把握したうえで狙うべきターゲットを選定する
  • ペルソナ設定:商品やサービスに対して代表的な架空のユーザーを設定する

ペルソナを設定することでユーザーニーズを詳細に考察できるため、消費者の心理分析に役立ちます。

しかし、ペルソナの設定難易度は高く、設定を間違えると思うような効果が得られません。また、ペルソナの設定には自社の願望が反映されやすい点にも注意が必要です。

ターゲットを属性ごとに分類できる場合は、客観性があるSTP分析からターゲットを絞り出した方がよいでしょう。

ブランディングの戦略立案では、自社の強みや他社と差別化を図るポイントを把握するために現状分析を行います。

現状分析の対象となるものは、市場環境や顧客動向などの外部環境と社内の人材や物、お金などの内部環境です。

現状分析には、以下のような方法が用いられます。

  • 3C:顧客、競合、自社の三つのCを軸にしたフレームワーク
  • PDCA:計画、実行、確認、改善の四つのサイクルで現状を分析
  • SWOT:強み、弱み、機会、脅威の四つを軸にしたフレームワーク
  • PEST:政治、経済、社会、技術の四つを軸に今後の展望を予測する手法

企業や職種によって最適な分析手法は異なりますが、まずは現状を把握して問題点や強みを見つけることが重要です。

ブランディングでは、ブランドメッセージの設計を行う必要があります。

ブランドメッセージとは、消費者に「〇〇の企業だ」とイメージしてもらうために、商品やサービスの特徴や魅力を簡潔に伝えるキャッチコピーやキャッチフレーズなどです。

ブランドメッセージには、以下のようなメリットがあります。

  • 社内、社外問わずブランドの共通認識が生まれる
  • 統一感のあるブランディングが実現できる
  • ブランドイメージが向上する
  • ブランドの認知度が上昇する
  • ブランドロイヤリティが向上する

このように、ブランドメッセージは商品やサービスを広く知ってもらい、消費者の購買を促すことによって、結果的にブランディングにつながります。

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Getty Images

ブランディングは方向性ややり方を間違ってしまうと失敗します。ここでは、ブランディングを成功させる4つのポイントを紹介します。

ブランディングを成功させるためには、消費者目線に立った場合の自社の強みを生かした施策を行うことが重要です。

自社だけが持つ強みを多角的に分析して独自性を持たせることで、競合他社との差別化を図れます。

ただし、自社が感じている強みと消費者が感じている強みは異なることも多く、前面に押し出したこだわりがズレていると、ブランディング効果が得られません。

消費者が自社に対してどんな価値や期待をしているかを分析し、ブランディングに活かしましょう。

ブランドを定着させるためには、一貫性のある情報発信を行いましょう。

メッセージに一貫性がないと、ブランドに興味を持った消費者が離れてしまったり、企業内のチームにおいては方向性がブレることでモチベーションの低下につながります。

また、すべての媒体で一貫性のある情報を発信することも重要です。

具体的には、ある商品のキャッチコピーについて公式サイト・広告・SNSで一貫して同じものを使うことが求められます。

例えば、SNSでは「子育て中のお母さんを支援」というメッセージを送っている企業が、公式サイトで「学生をサポート」というメッセージを発信していると、企業に対してのイメージが媒体ごとに変わってブランドが定着できません。

あらゆる発信で一貫性をもたせることが、ブランディングを成功させるポイントです。

ブランドは時間をかけて少しずつ浸透していくため、ブランディングでは継続性のある施策を行うことが重要です。

また、変化するトレンドや市場の動向にも適応しながら、本質的な価値を維持する必要もあります。

ブランドのコンセプトを途中で変えてしまったり、定着する前にロゴやデザインを変えてしまっていると、ブランドはいつまでも定着しません。また、ブランドのイメージがすぐに変わることは、消費者からの信頼低下につながる可能性があります。

そうならないためにも、短期的な効果を求めるのではなく、企業と消費者がともにブランドを作り上げることをイメージしながらブランディングを行いましょう。

ブランディングは、定期的に効果検証や改善を行うことも重要です。

具体的には、売上や顧客データの分析を行い、ブランドが顧客に対してどのような影響を与えたかを測定して評価を行います。

アンケートや口コミなどを通し、消費者がブランドのコンセプトに共感できているか、アイデンティティを理解できているかなど、企業と消費者の間に考え方の乖離ができていないかをチェックしましょう。

また、時代やニーズの変化によって「今のやり方では消費者にアプローチできなくなってきている」と感じるタイミングがあったら、戦略の見直しや改善なども必要です。

効果検証がおろそかになってしまうと、PDCAサイクルをうまく回すことができないため、改善のタイミングを見逃してブランドの価値を低下させるリスクがあります。

ブランディングを立案するタイミングで、効果検証や改善などのスケジュールも組み込んでおきましょう。

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ブランディングの施策にはさまざまな方法があり、それぞれを充実させる過程で一つのブランドを作り上げていきます。

ここでは、ブランディングの施策例を紹介します。

ブランディングでは、対象となる商品やサービスなどのブランドコンテンツが必要です。

すでにリリースされている商品やサービスをブランディングするケースもあれば、商品開発前の段階からブランドコンテンツの企画を行うケースもあります。

また、商品やサービスなどのコンテンツを通して自社をブランディングする方法もあるため、まずはメインとなるブランドコンテンツを決めなければなりません。

ブランドコンテンツの企画や制作で重要になることは、マーケティング・営業・開発などサービスに携わるすべての部署のメンバーを導入したプロジェクトメンバーの選定です。

企業の課題に向き合い、事業の成長を促せるモチベーションの高い社員を選出する必要があります。

また、外部サービスを利用してブランドコンテンツの企画や制作をサポートしてもらうことも方法の一つです。

短い言葉で訴求したい商品やサービスの特徴を的確に表わすキャッチコピーは、ブランドを認知させるために有効なブランディング施策の一つです。

キャッチコピーは、以下を意識しながら作成していきます。

  1. 伝えたい相手を決める
  2. 相手に持って欲しいイメージを取り入れる
  3. 伝えたいメッセージを絞り込む
  4. 伝えたいメッセージに関連する言葉を挙げる
  5. 候補となる言葉をつなげる

マーケティング全体に共通していえることですが、ターゲットがいないと計画を進めることはできません。

まずはターゲットを明確にしたうえで、できるだけシンプルかつ印象に残るようなキャッチフレーズを作ります。ターゲットを主語にしたり、消費者の意見や数字を使って具体化させるのもよいでしょう。

また、キャッチコピーの文字数は、読みやすさやバナー広告、Webサイトの表示との相性やバランスなどを考慮し、30字以内に収めることもポイントです。

商品の特徴や魅力を視覚的に伝えるパッケージは、ブランディング施策に欠かせない要素の一つです。

以下のポイントを重視しながら、パッケージの施策を作成していきます。

  • 商品のイメージを捉えているか
  • 消費者に共感してもらえるか
  • 商品らしさが伝わるか
  • ターゲットが使いやすいデザインか
  • 商品コンセプトに合ったパッケージの素材か

パッケージは目立つだけでなく、ブランドのコンセプトや消費者のニーズに適したデザインを設計しなければなりません。

パッケージのデザインはプラスの効果だけでなくマイナスに作用することもあるため、十分に検討したうえで、必要に応じて外部サービスも活用しながら作成しましょう。

企業の公式サイトを対象としたブランディングは消費者と企業のコミュニケーションを図るために欠かせません。

公式サイトは企業が提供する商品やサービス、ブランドの価値を認知してもらうために作られるサイトで、名刺のような役割も果たします。

ブランディングにおいては、以下のポイントを重視しながら作成・更新を行います。

  • 自社のブランドイメージとズレていないか
  • ユーザー視点でコンテンツが設計できているか
  • 競合他社と差別化できているか

公式サイトを公開したあとはデータの蓄積を行い、アクセス解析や分析ツールなどを活用して効果の測定を行いましょう。

オウンドメディアもブランディング施策に有効な要素の一つです。

オウンドメディアとは自社が保有する情報発信メディアのことで、自社サイトや公式SNS、ブログなどが該当します。

企業はこれらの媒体を通じて自社のメッセージを自由に発信できるため、顧客とのコミュニケーションが円滑に進み、認知度の向上やブランドイメージの構築にもつながるでしょう。

 また、以下の点もオウンドメディアでブランディングするメリットです。

  • ブランドストーリーを自由に伝えられる
  • カラーやフォントの統一によってブランドのイメージを一貫できる
  • コンテンツマーケティングができる
  • 広告費をかけずに情報発信ができる

一方で、コンテンツを適切に管理しなければ、炎上してブランディング効果を低下させるリスクもあるため注意が必要です。

近年は、SNSの普及によってネガティブな情報も一気に広がりやすくなっており、積み上げてきたブランドのイメージが一瞬にして崩れる可能性もあります。

このようなトラブルを避けるためにも、コンテンツや情報に間違いや問題がないかを細かくチェックしてリスク管理を行いましょう。

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ブランディングは施策を進めるだけでなく、効果が現れているかの検証を行うことも大切です。ここでは、ブランディングの成果評価の方法を紹介します。

ブランディングの成果評価では、重要達成度指数であるKPI(Key Performance Indicator)の設定が必要です。

ブランディングには、「ブランドがどれくらい顧客に認知されているのか」「顧客はブランドに対してどんな捉え方をしているか」など、費用対効果がわかりにくい課題があります。

そんなとき、効果の可視化に役立つのがKPIです。KPIの設定によって目標を分かりやすく可視化し、共通の課題や方向性をメンバー間で共有できます。

ブランディングのKPI設定は、以下の通りです。

  1. 売上、市場シェアなどブランディングの最終目標であるKGIを設定する
  2. KGIと現状のギャップを分析して必要なプロセスや要因を抽出する
  3. プロセスや要因をKPIに落とし込んで具体的な数値目標を設定する

一方で、KPIを設定するときは作業量の増加や社員への負担も考慮しなければなりません。

また、作業量が多すぎると目標達成に向けたモチベーションが上げられず、KPIがムダになる可能性もあります。

このようなデメリットやリスクも考慮したうえで、実現性のあるKPIを設定しましょう。

ブランディングの効果が具体的にどれくらいできているかを測定するためには、Webサイトへのアクセス数(トラフィック)や、SNSにおけるエンゲージメント数の集計が効果的です。

エンゲージメント数とは、自社アカウントに対する「いいね」「リツイート」「返信」などのリアクション数です。ブランディングしたあとに増加していれば、ブランド認知の効果が出ていると判断できます。 

また、ブランディングの効果を把握するためには、ブランディングロイヤリティの測定も重要です。 

ブランディングロイヤリティとは、顧客がブランドに対して感じる愛着や親近感のことで、具体的には以下の2つの方法で測定できます。

NPS(Net Promoter Score)

NPSとは、アンケート調査をもとにロイヤリティを数値化し、ブランドへの愛着度を数値化して評価・改善につなげる方法です。

例えば、「このブランドを誰かに勧めたいですか?」というアンケートに対し、0~10点の11段階で回答してもらいます。

点数が高いほどロイヤリティも高いため、顧客と良好な関係が築けてブランディングが成功しているといえるでしょう。

一方で、点数が低い場合はブランディングに問題があるため、分析して改善につなげていく必要があります。

DWB(Definitely Would Buy)

DWBは、その商品を購入したいかどうかを数値化した指標で、消費者に対してアンケートを取って計測を行います。

具体的には、以下の5段階でアンケートを取ります。

  • 非常に買いたい
  • 買いたい
  • どちらでもない
  • あまり買いたくない
  • 買いたくない

DWBの評価が良い場合は、ブランディングによって商品やサービスにプラスのイメージが定着していると判断できます。

一方、評価が悪い場合はブランドに対してネガティブなイメージを持っている人が多いと判断できるため、ブランディングの再考や改善などが必要です。

この記事では、ブランディングの基礎やKPI設定について解説しました。競合他社との差別化を図り、自社の価値を向上させるためにはブランディングが必要です。

ブランディングを適切に行うことで、価格競争に巻き込まれなくなり、ロイヤルユーザーの獲得につながったり、採用活動にもポジティブな影響をもたらします。

一方で、ブランディングを間違えてしまうと逆効果になるリスクもあるため、自社の強みを細かく分析し、チーム内で方向性をそろえた施策が必要です。

また、ブランディングはすぐに効果が現れるものではありません。短期的な効果を求めず、長期的な視点で取り組みましょう。

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