学びをアウトプットする多様なコンクール
――朝日小学生新聞が行っているコンクールについて教えてください。
朝小では、年間を通してさまざまなコンクールを行っています。内容としては、作文をはじめ、絵画、自由研究、変わったものだと英語歌唱コンクールなどもあります。企画から、募集や審査に至るまで、すべて我々の方で一本化して行っていて、いずれも学校の授業で取り上げてもらえるよう、文部科学省の学習指導要領に合わせて作り上げています。さまざまな切り口のコンクールを通して、子どもたちは物事をより深く、自分のものとしてとらえ、紙面での学びを外に広げていきます。
――どんなコンクールがあるのですか?
最も長く続いているものが、ニッスイとの「海とさかな 自由研究・作品コンクール」で、今年で43回目です。子どもたちの海やさかなに対する愛情や興味が詰まった面白い作品が、毎年たくさん集まってきます。
こちらは中学生向けになるのですが、「中学生作文コンクール」では昨年度、全国から7,787作品もの応募がありました。環境に関する社会問題をテーマにしたコンクールで、素晴らしい作品がたくさん届き、主催のイオンワンパーセントクラブとの審査にも熱が入りました。私たちがこのコンクールに関わったのは昨年度からなのですが、その前年度を上回る応募数となり、イオンワンパーセントクラブにもとても喜んでいただけました。
――子どもたちは学びを深められ、企業にとってはプロモーションにつながりそうです。
ウォルト・ディズニー・ジャパンとは、ファミリー向け映画公開に合わせて、映画のテーマに関連したコンクールを開催しています。審査員のディズニーの方からは「映画で伝えたかったことが、子どもたちにちゃんと伝わっていることが分かって、とても嬉しい」というご意見をいただいております。
コンクールの開催は、クライアントのみなさまにも大変喜ばれています。朝小と一緒に開催することで、単なるプロモーションにとどまらない、有意義な企画になっているかと思います。
出張授業はサラブレッドからYouTuberまで
――出張授業はどういったものなのでしょうか。
学校に特別講師を派遣して行う出張授業では、学校からの募集取りまとめや、下見、打ち合わせ、本番に至るまですべて弊社がワンパッケージで行っています。我々は学生新聞社として長年培ってきたノウハウで教育現場の事情を深く理解していますし、同時にクライアントが何を伝えたいかというのも分かる。広告会社とは異なった角度で企画をプロデュースできるので、学校からの安心感もあると感じています。
――出張授業の事例を教えてください。
人気があるのは、JRA日本中央競馬会と行っている「馬はともだち サラブレッドと親しもう」という出張授業です。座学で馬について学んで、それから校庭に出ると本物のサラブレッドが子どもたちを待っている。実際の馬の走りを見たり、触れ合ったりして、最後にみんなで記念撮影をして、全員が記念品をもらう。とても印象に残る授業ですよね。
大人になって授業の内容は覚えていなくても、「小学生のとき、学校にサラブレッドが来たな」という原体験が、中長期的なマーケティングにつながっていく。子どもの興味や体験をタッチポイントにしたブランディングが、企業色を押し出しすぎずにできるというのが、出張授業の特徴かなと思います。
――人気YouTuberとのコラボ授業も開催され、好評だったと聞きました。
登録者数が177万人を超える人気YouTuberで実況グループの「ドズル社」とコラボをしてネットリテラシーを学ぶ企画を実施しました。マナー教材であるポスターやワークシート、動画を共同開発して、これらを全国の小学校5,000校に配布したんです。
この企画に先駆け、「インターネットを楽しむための攻略法」という出張授業を行ったのですが、これが大きな反響を呼びました。ドズル社はこれまで広告活動を一切していないのですが、この授業と企画で知名度と登録者数が増えた、と。大好きなYouTuberを目の前に子どもたちも大喜びですし、初期のファンの方たちも好意的に受け入れていただけたこともありがたかったです。
ポスターから漫画まで各種サンプリングも
――サンプリングのサービスについても教えてください。
朝日小学生新聞に出た紙面をA2サイズのポスター化して小学校にお届けするというのが、ポスターサンプリング企画です。学校の中には、踊り場や職員室前など、掲示物を貼るスペースがいくつもあるので、教育現場で求められている勉強要素を入れながら、子どもたちの目を引くビジュアルだったり、内容だったりするものを持っていきます。朝日小学生新聞の記事なら、ということで快く掲示してくださる学校が多いです。
――商品のサンプリングもあるのでしょうか。
最近の面白い試みとしては、漫画本を学校に差し上げます、という企画。秋田書店の「弱虫ペダル」と小学館の「アオアシ」という人気漫画を、学校の授業で使ってもらうことを条件として募集をかけたところ、それぞれ1,000校以上からの申し込みがありました。
道徳の授業で、「この場面でキャラクターが取った行動に賛成か反対かに分かれて議論してみよう」というふうに、漫画を教材として使っていただき、とても盛り上がって面白い学びになったと好評でした。
ある学校では「漫画を使った授業がすごく良かったので、続きの巻も学校で買い続ける」ということでした。この企画はあまりにレスポンスが良かったため、結局ご応募いただいた全ての学校に漫画を差し上げることになりました。
――朝日小学生新聞が間に立つことで、学校へアクセスするハードルが下がりそうです。
まさに、弊社は学校とのアクセスを得意にしています。柔軟になりつつあるとはいえ、やはり教育現場は、企業色やPR色が強いものを敬遠します。教育現場が受け入れられる許容範囲を心得て、かつクライアントが求める内容をうまくマッチングさせてお届けできるというのが、我々の強みです。全国に約1万9千校ある小学校、それぞれにセグメントしたオリジナルの提案もできます。
将来の日本を担う子どもたち 朝小リポーターは財産
――最後に、「朝小リポーター」について教えてください。
朝日小学生新聞には、「朝小リポーター」という子ども記者がいます(*広告企画で出てもらう場合は「子ども記者」「子どもリポーター」と表記されます)。アサヒ飲料とのタイアップ記事では、炭酸の効果について発信する「アサヒ炭酸ラボ」に朝小リポーターが取材し、「炭酸と疲労」についての記事を作成し、ポスター化しました。これが学校にもクライアントにもとても喜ばれ、「炭酸飲料とeスポーツ」をテーマにした第二弾が決定したほどです。
また、最近好評だったのは、住友不動産と行った「有明ガーデンの防災対策」についての記事です。9月1日の防災の日に合わせて展開し、こちらもポスター化しました。クライアントからは、子どもたちから的確でするどい質問も飛び出してきたりして、朝小リポーターたちの熱量の高さに「本当に驚きました」と、お話をいただきました。
――熱心な朝小読者のなかでも、さらに「朝小リポーター」たちは優秀なのですね。
子ども目線で取材を受けて、それが形になるというのは、企業にとっても価値があるコンテンツですよね。大人が触れづらいところも忖度なく聞いてくれますし、しっかりと伝えてくれますから(笑)。
朝小リポーターは、これからの日本のリーダーになり得る、そういう素晴らしい子どもたちです。そんな子どもたちに興味、関心を持ってもらえるということは、企業側にも大きなメリットになると思います。朝小リポーターは我々にとって財産だなと思います。
企画はすべてオーダーメイド 朝小をフィールドに新しい展開を
――これら4つのサービスを、クライアントにはどのように活用してほしいですか。
朝日小学生新聞のことを知らないクライアントにも、検討をしていただけるようになりたいですね。お話しした4つの領域以外でもさまざまな切り口がありますし、オーダーメイドで企画を作り上げています。
また、親子に向けてのマーケティングを考えているというだけでなく、教育現場まわりに対しての社会貢献活動や、10年後を見据えたブランディングなど、そういった広告まわりの相談にも対応しています。子どもに特化した新聞なので、比較的低予算からご検討いただけます。
朝日小学生新聞は、保護者との併読率が8割を越えている媒体です。紙面への出稿はもちろん、コンクールや出張授業などの企画を通して、社会を動かすアクティブな親子へ訴求する機会になれば嬉しいです。
朝日学生新聞社・広告部長。1992年朝日広告社入社後、営業として百貨店、洋酒メーカー、ベビー用品、化粧品などを担当。2006年朝日学生新聞社入社。さまざまな企業とイベントやコンクール、小学校での出張授業を行っている。