【朝日広告賞】
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
〈髙橋40年(髙橋真梨子レコードデビュー40周年記念作品集「髙橋40年」アルバム発売『小説企画』〉7点シリーズ
企画/JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント、電通 制作/朝日新聞社、電通
「『髙橋真梨子は、ウイスキーである。』というコピーが見事に髙橋真梨子さんを言い当てている。コピーの力と企画の力に脱帽」(大宮エリー氏)
「『髙橋40年』というタイトルがとても面白い。コピーもよくできていた」(前田知巳氏)
「全2段の新聞小説風の作り、全15段の表現、それぞれすばらしい。どこか懐かしい広告の良さが味わえた。ウイスキーの写真はウイスキーの広告以上においしそう」(葛西 薫氏)
「髙橋真梨子をウイスキーにたとえたことにハッとさせられ、山崎ナオコーラさんの文章も読んでいて楽しかった」(タナカノリユキ氏)
2013年5月29日付 夕刊 全2段
【準朝日広告賞】
シャネル
〈J12〉
「ビジュアルよりも企画力で勝負する広告が上位に残った中、この広告は写真の良さで存在感を示した。単純なメッセージだが、良い広告」(中島祥文氏)
「シャネルというブランドの立ち位置と“露出感”をよく心得ている。女性のポーズと時計の針を合わせたアイデアで成立していることにブランドの強さを感じた」(原 研哉氏)
準朝日広告賞 シャネル〈L’INSTANT CHANEL〉6点シリーズ
ノース・スターズ・ピクチャーズ
〈北斗の拳 30周年広告〉
「この広告を見た時に衝撃を受けた。『新聞なんて読みやがって!!!』と全30段で展開することで、『この広告を出したら読者がどういうふうに反応してくれるのか』ということを制作者が面白がってクールに見ている感じがする」(川口清勝氏)
「『北斗の拳』と新聞読者との微妙な距離感や、新聞をおちょくっている感じなど、何かとよくわかって作っているのではないか。世代によって受け取り方が違い、この表現をきらう人もいるだろうが、個人的には気になった」(前田氏)
「新聞全30段のスペースを使う意義のある表現。コピーもうまくはまっている」(原氏)
「目を留める力があり、滞留時間が長い広告」(中島氏)
ヒガシマル醤油
〈ちょっとどんぶり〉3点シリーズ
2013年10月9日付 夕刊 全2段 ヒガシマル醤油 ほか3点シリーズ
「コピーがとてもよくできていて、楽しく読めた。新聞広告で元気をもらえるんだなと思った」(大宮氏)
「味のある表現。この表現を選んだヒガシマル醤油の人格みたいなものが感じられた」(前田氏)
「オチがわかっているのについ読んでしまう。楽しい広告」(葛西氏)
【部門賞】
くらし部門賞
パパス
〈三國連太郎さん 追悼広告〉
パパス
食品・飲料部門賞
サントリーホールディングス
〈モデレーション〉
サントリー
出版部門賞
集英社
〈ONE PIECE コミックス 3億冊突破記念キャンペーン〉9点シリーズ
集英社
電機・情報通信部門賞
グーグル
〈Nexus 7×朝日新聞デジタル「思いどおりの毎日へ。」〉2点シリーズ
グーグル
不動産・金融部門賞
旭化成建材
〈ネオマフォーム〉
旭化成建材
自動車関連部門賞
トヨタマーケティングジャパン
〈DRIVING KIDS with TOYOTA〉3点シリーズ
トヨタマーケティングジャパン
教育・公共部門賞
近畿大学
〈一般入試広報〉
近畿大学
エネルギー・産業部門賞
コマツ
〈930E「オーストラリア鉱山編」 HB215「南極編」〉2点シリーズ
運輸・サービス部門賞
東日本旅客鉄道
〈行くぜ、東北。〉
東日本旅客鉄道
流通・エンターテインメント部門賞
フジテレビジョン
〈「AKB48第5回選抜総選挙 生放送スペシャル」放送告知〉3点シリーズ
フジテレビジョン
小型広告賞
全日本空輸
〈羽田空港国際線増便告知広告〉10点シリーズ
全日本空輸
全国農業協同組合中央会
〈小枠シリーズ広告〉48点シリーズ
全国農業協同組合中央会
【朝日新聞特別賞】
キッコーマン
〈企業広告「百年の恋は、しょうゆの味がする。」〉6点シリーズ
キッコーマン
日本中央競馬会
〈有馬記念を告知する新聞広告〉8点シリーズ
日本中央競馬会
トーヨーキッチンアンドリビング
〈トーヨーキッチンスタイル INO IVALO(イノ・イヴァロ)〉
トーヨーキッチン&リビング
◎ 総評
「自分はマーケティングが専門なので、新聞広告を通じていかにブランドの資産的な価値を高められるか、認知を広げられるか、といった視点を重視した」(恩蔵直人氏)
「自分が読む気になるか、広告として効くか、どんな気持ちを読者に与えるか、ということを基準に審査した」(葛西氏)
「新聞広告は、見てハッピーになったり、衝撃を受けたり、心を揺さぶられたり、ということがあるといいと思う。また、過去を振り返るよりも未来を語るような表現に引かれる。そういう視点で票を投じた」(川口氏)
「毎日読む新聞の特性を生かして読者とどう関係を作っていくか、ということに注目した」(前田氏)
「新聞広告に元気が出てきた。『これからの日本をどうするか』『日本とは何か』という表現がたくさん見られた」(浅葉氏)
「審査を通じて新聞広告から元気をもらった。昨年度より今年度のほうが全体的に面白い広告が多いと感じた。また、“セリフの力”を感じる広告が多かった」(大宮氏)
ウイットの余韻
審査はとても緊張する。諸先輩方にまざって、私なんぞが審査なんて大それたこと。今回こそは辞退しようと思っていた。けれど引き受けてしまった。理由は、あんな風に沢山(たくさん)の、一流の新聞広告と向き合える場を与えてくれるのにそれを、「大宮が審査かよぉ、偉くなっちゃってぇ」「勘違いしてるんじゃねぇの?」って、言われるのが嫌で、逃げだすなんて、小さい人間だな、と思ったからだ。
結果、昨年以上にすがすがしい感動をもらった。長時間にわたる、立ちっぱなしの審査の間、私の心の中に初夏の風が駆け抜けていったのである。ちいさなドキドキと共に。
「やだ、面白い・・・」
言葉のウイット、視覚のウイット、企画のウイット。特に言葉が強かった。
審査中、互いに影響されまいという緊張感から、だんまりの時間が流れるのだが、その中、はっきりと、どよめきがあった。
グランプリの、「髙橋真梨子は、ウイスキーである。」。 皆その前で、言葉に酔いしれ、うーむ、と唸(うな)った。なんて褒め言葉なんだろう、ウイスキーである、だなんて。「髙橋4 0 年」という企画ずばりのコピーもイケている。C H A N E Lだって粋。人のポーズが時計の針と一致し、まるで人が時そのものであるような。私たち自身が時を刻むのだといいたいのか。
「ちょっとで終わる ちょっと劇場」グランプリかと思われる人気者であった。締めが小気味いい。「しかし、どんぶりを食べているうちに、もう忘れていた。」落語だ。「北斗の拳 3 0 t h」は、この広告を表にして新聞を電車の中で読みたい。
日々、消費税だとか福島のことや、のっぴきならない問題が多いなか みんなの心が、少しだけ元気を取り戻しているのかもしれない。
広告にできることって、たくさんありますね。
(作家 大宮エリー氏)