第60回 朝日広告賞 広告主参加の部

【朝日広告賞】

エルメスジャポン 2011年12月11日付朝刊 全60段

エルメスジャポン 2011年12月11日付朝刊 全60段

エルメス
〈クリスマスキャンペーン〉8点シリーズ
企画/エルメスジャポン 制作/Publicis EtNous

エルメスジャポン 2011年12月クォーターページ 全7回朝刊 シリーズ広告 エルメスジャポン 2011年12月クォーターページ
全7回朝刊 シリーズ広告

 クリスマスを控えた出稿のタイミングといい、新聞の再現性を踏まえたカラー表現といい、とてもよかった。フランスのセンスが効いていて、新聞とマッチしている」(川口清勝氏)

 「震災があって暗く落ち込んでいた1年の終わりに、明るさをもたらした広告」(中島祥文氏)

 「キャンペーンのスタートとして12月11日に一気に4点、その後1点ずつ、1週間かけて出稿したところに工夫が見られた。日本全体が元気をなくしていた年の最後に、カラフルな色を展開することで何かを伝えたかったのかなと思う」(嶋村和恵氏)

 「おしゃれ。やはり日本人的な感覚ではないような……。すてきな表現」(玉村豊男氏)

 「色合いが、ダリの絵画のよう。クリスマスツリーの上にいる馬や、アーチ型の白壁の雰囲気もシュールでダリっぽい。絵の強さ、芸術性で勝負していて、エルメスの自負みたいなものを感じた」(弘兼憲史氏)

 「マスメディアの広告において、ラグジュアリーブランドがどうあるべきかという1つの回答を示した」(茂木健一郎氏)

【準朝日広告賞】

JR東日本 2011年12月4日付朝刊 全15段東日本旅客鉄道
2011年12月4日付朝刊 全15段

東日本旅客鉄道
〈行くぜ、東北。〉
企画・制作/電通

 「震災後、東北を応援するために旅行に行こう、という動きが出始めた時期に出稿された広告だったと思う。『祝祭』のような表現はしにくい中、しんみりとしたモノクロではなく、東北らしい色合いを印象づけた。駅張りポスターも同様のビジュアルが展開されたが、新聞広告とともに色の記憶が鮮明に残っている」(日比野克彦氏)

 「東北新幹線が全線開業してから1周年ということを、震災後に声高に広告することはできなかったと思うが、それでも積極的なメッセージを出したいと、思い切って投げた豪速球という感じがした。ザワザワした世相の中でも届きやすい広告だったのでは」(茂木氏)

 

髙島屋 2012年1月10日付朝刊 30段髙島屋
2012年1月10日付朝刊 全30段

髙島屋
〈企業広告〉
企画・制作/エー・ティ・エー

 「写真のパワーに圧倒された。従業員の顔を一人ひとり見てしまった。創業記念日当日の出稿というタイミングもよかった」(嶋村氏)

 「細かく見ていくと、どんどん面白くなる。ほとんど全員がカメラを向いていて、写真を撮った人はスゴいと思った」(玉村氏)

 

トンボ鉛筆 2011年2月16日付朝刊 全15段トンボ鉛筆
2011年2月16日付朝刊 全15段

トンボ鉛筆
〈ippo!〉
企画/博報堂 制作/副田デザイン制作所、岩崎俊一事務所

 「鉛筆は利幅の少ない商品だと思うが、そういう商品に焦点を当て、誠実ないい広告、しかも全15段広告を、入学シーズンめがけて満身の力をこめて打ち出した企業姿勢に感銘を受けた」(林真理子氏)

 「小学1年生の手に合わせた長さの鉛筆が発売されたということを、この広告を通じて初めて知った。きちんと知っておきたいことで、教育に関してしっかり取り組んでいるこうした企業を応援できるような出稿のシステムがあってもいいなと感じた」(松永真理氏)

【部門賞】

2011年8月23-25日付朝刊 全15段 3点シリーズパイロットコーポレーション
2011年8月23~25日付朝刊 全15段 3点シリーズ

くらし部門

パイロットコーポレーション
〈企業広告「書く、を支える。」〉3点シリーズ
企画/電通 制作/アドブレーン

 

味の素 2011年6月30日付 夕刊 30段味の素
2011年6月30日付夕刊 全30段

食品・飲料部門
味の素
〈調味料群〉
企画・制作/電通

 

宝島社 2011年9月2日付朝刊 30段宝島社
2011年9月2日付朝刊 全30段

出版部門
宝島社
〈企業広告「いい国つくろう、何度でも。」〉
企画/同社、アサツー ディ・ケイ 制作/アサツー ディ・ケイ、ADKアーツ

 

東芝 2011年7月30日付朝刊 60段東芝
2011年7月30日付朝刊 全60段

電機・情報通信部門
東芝
〈LED10年カレンダー〉
企画/同社 制作/電通、アドブレーン

 

三井不動産 2011年10月28日付朝刊 全15段三井不動産
2011年10月28日付朝刊 全15段

不動産・金融部門
三井不動産
〈日本橋再生計画(架橋100周年)〉
企画/電通 制作/たき工房

 

トヨタマーケティングジャパン 2012年1月1日付朝刊 全15段トヨタマーケティングジャパン
2012年1月1日付朝刊 全15段

自動車関連部門
トヨタマーケティングジャパン
〈トヨタ企業広告 ReBORN「免許を、とろう」キャンペーン〉
企画/シンガタ、電通、MR_DESIGN、トレードマーク 制作/ギークピクチュアズ

 

近畿大学 2011年1月1日付朝刊 全15段近畿大学
2011年1月1日付朝刊 全15段

教育・公共部門
近畿大学
〈学園ブランド広告「近大マグロ」〉
企画/同大学 制作/博報堂

 

旭化成 2012年1月28日付朝刊 30段旭化成
2012年1月28日付朝刊 全30段

エネルギー・産業部門
旭化成
〈企業広告 問題シリーズ〉
企画・制作/電通

 

郵船クルーズ 2011年10月28日付朝刊 全15段ほか郵船クルーズ
2011年10月28日付朝刊 全15段ほか

運輸・サービス部門
郵船クルーズ
〈企業広告「飛鳥クルーズ」「飛鳥クルーズのクリスマス」〉12点シリーズ
企画/同社 制作/谷山広告、グッドデザインカンパニー

 

フジテレビ 2011年1月30日付朝刊 全15段フジテレビジョン
2011年1月30日付朝刊 全15段

流通・エンターテインメント部門
フジテレビジョン
〈ドラマの歴史は、フジテレビにある。〉
企画/同社制作/カゼプロ+ホンシツ

 

【小型広告賞】

池田模範堂 2011年10月31日付ほか朝刊 小型30点シリーズ池田模範堂
2011年10月31日付ほか朝刊 小型30点シリーズ

池田模範堂
〈冬にもMUHIキャンペーン お肌の気持ちシリーズ〉30点シリーズ
企画・制作/博報堂、博報堂ケトル

 

大塚製薬 2011年7月4日付ほか朝刊 小型19点シリーズ大塚製薬
2011年7月4日付ほか朝刊 小型19点シリーズ

大塚製薬
〈ポカリスエット〉19点シリーズ
企画/同社、アサツー ディ・ケイ 制作/アサツー ディ・ケイ、ADKアーツ

 

【朝日新聞特別賞】

◇三菱電機
〈企業広告「NIPPON Technology」〉10点シリーズ
企画/同社、朝日新聞社、博報堂 制作/朝日新聞社、博報堂

◇パナソニック
〈LED照明〉321点シリーズ
企画/同社 制作/クリエイターズグループMAC

◇日清食品ホールディングス
〈カップヌードル夕刊マルチ〉18点シリーズ
企画/同社、朝日新聞社 制作/アドレイ

◎総評としては、
「震災があった年度ということで、3.11を意識した広告が多かった」(浅葉克己氏)
「例年、同じような企業が賞を取っている印象がある。それが悪いということではなく、新聞というメディアを信じている広告主が明確に見えてくる」(川口氏)
「小型広告のシリーズ展開にも力作が見られた」(嶋村氏)
「ポスター的な新聞広告に飽きていたが、今回はじっくり眺めれば眺めるほど新しい発見があるような、新聞広告ならではの表現がたくさんあって、審査していて楽しかった」(玉村氏)
「受賞の常連だった家電メーカーや百貨店は、厳しい経営状況に置かれているところが多い。それに代わって大きな収益をあげているコンビニ業の広告が登場してもよさそうなものだが、なぜか見当たらなかった」(松永氏)
「新聞広告が生き残るためには、批評性を表現に入れていかなければならないと思う」(茂木氏)
といった意見が聞かれた。

広告主参加の部 審査評/企業と消費者が思いを共有し、ひとつになれる広告が受賞した

中島祥文氏

 今年の朝日広告賞は、3.11以前とその後の新聞広告を対象とする審査会となった。とりわけ震災後をテーマとした広告は、人と人がつながり、ひとつになろうとするメッセージが、同一の認識として読みとれた。濃淡はあるが、何かをしたいと強く指向する思いがそこにはあった。ひるがえってこの国の現況を考えてみると、国と人々との意識の乖離(かいり)があまりにも大きく、「復興」こそ何よりも優先してスピーディーに成すべき課題のはずなのに、それぞれの立場の主張ばかりが目立って、それを乗り越えひとつになろうとする姿勢すら見られない。

 そんな状況の中で今年の朝日広告賞グランプリはエルメスジャポンが獲得した。エスプリのきいた商品のアーティスティックな写真表現は、審査員をうならせるに十分だった。クリスマスを前にしたキャンペーンで、初日に1ページ広告を4点掲出し、翌日から7日間続けて掲出するそのメディア戦略は、ともすれば沈みがちだった年の暮れを明るく彩ってくれたように、私には映った。

 準朝日広告賞3本のうち、JR東日本の「行くぜ、東北。」は、「いま行かなくて、いつ行くんだ。」のコピーが、勢いのあるデザインとともに言わんとする骨子を明快に語っている。髙島屋の「誰が想像しただろうか。」は、創業181周年を記念する企業広告。歴史の事実が持つ重みは、いかに大きな共感を抱かせるかという、これはそのひとつの証だ。トンボ鉛筆の「鉛筆の身長を、新一年生にあわせました。」は、15ミリ通常より短くした鉛筆に象徴される消費者への思い、企業努力が、高く評価された。

 消費者と企業が、伝えたいことを共有できたとき、ひとつになれたといえる。グーグルの「被災地には、あなたの写真を求めている人がいます。」は、その好例として特筆したい。

(多摩美術大学名誉教授 中島祥文氏)

 ■過去の受賞作品はこちらからご覧いただけます(朝日広告賞ページ http://www.asahi-aaa.com/