日本新聞協会は、新聞広告を見ているときの脳波や視線の動きを検証する調査を行い、その結果をパンフレット「脳から見た新聞広告」にまとめた。調査対象の広告は、2011年元日付紙面に掲載された全面広告9点。新聞業界では初めてとなる、ニューロマーケティングへの取り組みだ。
調査対象者は、20代から60代までの男女10人。9つの新聞広告を順番に見てもらい、脳波による「興味関心度」と注視時間・エリアを調べた。脳波測定は、2,000人以上の被験者の脳波データを解析してきた慶應義塾大学の満倉研究室が大日本印刷と共同で開発した方法を採用。「興味が高い」に該当する広告はのべ90件中23件あり、満倉准教授は「これまで、これほど興味関心度が高く出た調査結果はない」としている。
調査から分かったことは、大きく3つ。
1.注視時間は短くても興味関心度は高い広告もある
ビジュアル中心の広告は注視時間が短く、文字中心の広告は注視時間が長い傾向にあるが、脳波調査の結果では、注視時間の短い広告でも興味関心度が高い広告があった。興味関心度は、注視時間では測れないことが分かった。
2.新聞広告にはラストインプレッション効果がある
広告を見始めた時には、興味関心度が高いもの、低いものなどさまざまだが、閲覧終了時には強い印象を残すものが多いことが分かった。調査した広告の約8割は、閲覧の最後に興味関心度が上昇し、新聞広告の「ラストインプレッション効果」が見えてきた。
3.コピーを読むことで興味関心度が上昇する
テレビCMが感情に訴える広告なら、新聞広告は商品特性や企業の理念を理解させるのに適した広告だと言われてきた。その定説どおり、コピーや詳しい商品説明を読むことによって興味関心度が上昇する傾向があることが分かった。
注)興味関心度の定義=「もっと見たい、もっと知りたい」という欲求を興味関心度として数値化。
0~100%で表し、78%以上を「興味が高い」とした。
調査を監修した慶應義塾大学・清水聰教授は、「新聞広告の各要素を見る回数や見たときの興味関心度の上昇値と、最終的な広告の評価項目が強く結びついていることがわかった。新聞広告の特性を考えるきっかけになれば」と語る。これからの新聞広告を考えていくうえで、示唆に富んだ調査結果といえるだろう。
《脳波&アイトラッキング調査 概要》
【調査期間】 2011年1月20日(木)、22日(土)
【調査手法】 元日の新聞広告9種類を順に閲覧し、脳波と目の動きを計測する
【調査対象者】 20代、30代、40代、50代、60代の男女各1人(計10人)
【実査】 大日本印刷
【監修】 慶應義塾大学商学部・清水聰教授。専門は消費者行動論やマーケティグ戦略
※「元日新聞広告調査」の調査概要と結果は、日本新聞協会「新聞広告データアーカイブ」に掲載しています http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/
◎同調査結果をまとめたパンフレット「脳から見た新聞広告」をご希望の方は以下の日本新聞協会まで
社団法人日本新聞協会 経営業務部広告担当
電話:03-3591-4407 問い合わせメールアドレスkoukoku@pressnet.or.jp