「ウルトラマンシリーズ」特集を掲載 新聞で幅広い層のファン獲得を狙う

 朝日新聞社では、「ウルトラマン」シリーズをテーマにした広告特集をこれまで7回掲載しています。幅広い世代に人気のある同シリーズのコンテンツは多くの読者の関心をひき、様々な企業が協賛しています。

 これまで本特集に協力してきた円谷プロダクションに、新聞とのコラボレーションの意義について聞きました。これからも人気キャラクターなどと協力した取り組みに力を入れていきます。

 7月10日は、1966年のこの日にウルトラマンがお茶の間のテレビに初登場した「ウルトラマンの日」。この日の朝日新聞朝刊には、初代ウルトラマンと、ウルトラシリーズの新ヒーロー「ウルトラマンギンガ」が二連版全30段の紙面にりりしい姿で肩を並べた。

 この広告は、テレビ東京系の新番組「ウルトラマンギンガ」のスタートにあたり、円谷プロダクション、「ウルトラマンシリーズ」のライセンシー企業、そして朝日新聞が共同で展開した広告企画。今年は円谷プロ創立50周年の節目の年でもあり、様々な記念企画を展開しており、この紙面もその一環だ。ウルトラマン関連の企画は、これまでに7回、朝日新聞に掲載されている。

 

ファン層の拡大が狙い 多くの人々の目に触れる新聞でウルトラマンの魅力をアピール

藤代哲氏 藤代 哲氏

 「ウルトラマンシリーズには実に多くの熱烈なファンがいらっしゃいます。そうしたコアファンのニーズに応えながら、ライトなファンやウルトラマンシリーズにあまり興味のない層にいかにアプローチするかが課題です。この広告特集は、その解決策の一つになるのでは、と考えました」

 そう話すのは、円谷プロダクション管理本部長の藤代哲氏。さらにこう続ける。」

 「ウルトラマンシリーズを幅広い層に訴求したい当社、商品やサービスを広告したいライセンシー企業の両者にメリットがあるので、非常にいい企画だと評価しています」

 7月10日の紙面では、新番組「ウルトラマンギンガ」の内容、毎年恒例のイベント「ウルトラマンフェスティバル2013」の情報なども掲載した。」

 「活字媒体の新聞はしっかりと読んでもらえるので、詳細な情報提供ができます。円谷プロや特撮の歴史も読み物として掲載しましたが、新聞紙面だと普段は興味を持っていないような人にも読んでもらえるのでは、と期待しました」と藤代氏。さらに、新聞ならではの「保存性」にも注目する。

 「インパクトのある紙面で、同時に情報として価値があれば、そのまま抜き取ってお子さんに見せる、ということもできる。家族の会話の中にウルトラマンというワードが出てくるはずです。そういう意味で情報の価値が長持ちすると捉えています」

 反響は上々で、ライセンシーのウルトラマン関連商品の売り上げが上がるなど、具体的な広告効果も上がっているという。イベントの集客も好調だ。

2013年7月10日付 朝刊 全30段
広告特集「円谷プロダクション創立50周年記念企画Vol.4」

2013年7月10日付 朝刊 全30段

オフラインからオンライン、オンラインからオフライン――双方向の「O 2 Oコミュニケーション」を模索

 メディアとの連動について、藤代氏は「多くの人がスマートフォン(スマホ)を持つ今日、デジタルでの展開は必須」と語る。例えばアプリのメディアとしての活用だ。ゲームアプリなどはライセンス方式による活用を模索していくほか、現在、独自開発中のプロジェクトに「ウルトラ・ワレット」がある。スマホの種類によってはNFC(Near Field Communication=近距離無線通信技術)という国際標準のチップが入っており、これを活用することで電子マネーやクレジットカードでの決済、交通系カードとしての利用、ポイントカード機能、クーポンの取得などが可能になる。つまり、NFCを活用した、いわゆる「おサイフケータイ」のアプリで、そのデザイン、機能、音にウルトラマンを起用し、同時に関連情報を発信する。キャラクターのNFCワレットアプリは世界初になる見込みだ。

 日常的に使う財布をウルトラマン仕様にすることで、ファン層を拡大していくのが狙い。一方で、これを使用する先として開拓しているのは小売店や商店街や商業施設だ。

 「当然、恒常的に使っていただける独自プラットホームを創るというのは、大いなるチャレンジです。しかし、『ウルトラマンのファンを呼び込める』というのは、商業施設にとって魅力的なアピールになるはず。ポイントやスタンプラリーなどと連携させることで、商業施設の隅々にまで来客を回遊させる効果もあると考えます。もちろん、当社の映像作品やイベントへ最終的に誘導していくことが目的です」(藤代氏)

 これは、オンラインからオフラインへの誘導、いわゆる「O2Oコミュニケーション」だ。オフラインメディアと言える今回の特集でも、「ネット上で実施していたウルトラ怪獣総選挙への誘導、その怪獣たちの選挙活動を円谷プロの公式フェイスブックで展開するなど、コミュニケーションが循環するための策は打っています。しかし今後はさらにその先への広がりを期待したい」と藤代氏は語る。例えば、AR(拡張現実)アプリを活用し、「紙面+α」の付加情報を提供する、スタンプラリーなどリアルなイベントと紙面をデジタルメディアで連携させる、といった取り組みなど、可能性は広がる。

 今後のコミュニケーションの展望を聞いた。「冒頭でも触れましたが、重要な課題はファン層の拡大です」と藤代氏。中でも力を入れたいのが「30代」。ウルトラマンのコアターゲットは3歳~6歳の男の子だが、その親世代にあたる30代とのコミュニケーションを濃密にしていきたいという。「お父さんはもちろん、財布のひもを握るお母さんにも興味を持ってもらいたい。そのためにも、幅広い読者層を持つ新聞を活用して、シリーズの世界観などの魅力をしっかりとアピールしながら、その先のコミュニケーションにつなげていきたいですね」

※画像は拡大します。

広告特集「円谷プロダクション創立50周年記念企画」第1回から第3回の掲載紙面

第2回 2012年12月28日付 朝刊 全30段 第2回 2012年12月28日付 朝刊 全30段
第1回 2012年8月11日付朝刊 全15段 第1回 2012年8月11日付朝刊 全15段

第3回 2013年1月12日付 朝刊 全45段

1社協賛のウルトラマン関連広告企画の事例2007年 9/22 タブロイド判12ページ

大丸松坂屋 2013年3月12日付夕刊
全15段(大阪本社版)
新日鉄住金エンジニアリング 2013年3月8日付朝刊 全15段
ミサワホーム 2012年11月2日付朝刊 全15段

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円谷プロダクションへのインタビューはいかがでしたか? この「ウルトラマン特集」に広告を掲載したバンダイとジェイアイエヌにも、特集に協賛した意図などをインタビューしました。

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