2024年10月、「対話でさぐる 共生の未来」を掲げた「朝日地球会議2024」が開かれた。「持続可能性」「イノベーション」「国際関係・平和」「共生・多様性」の四つのテーマで展開されたセッションの一部は、公式サイトで12月31日まで視聴可能だ。この記事では、アーカイブ化された24セッションのうち、広告朝日が特に注目した三つを紹介する。
「はて?」から始める 私たちと世界はどう変われるか
概要
ジェンダー平等に向けた課題を多く抱える日本。私たちの足元から社会課題を見つめ直すとともに、ガザやウクライナで続く戦争や米大統領選など、グローバルな動きを見据えて対話を深めます。連続テレビ小説「虎に翼」が描いた社会を参照しつつ、女性のエンパワーメントやジェンダー平等に向けた歩みと課題を振り返り、戦争との向き合い方や平和のあり方、多様性や共生といった世界につながるテーマについて、過去・現在・未来を行き来しながら縦横無尽に語り合います。=朝日新聞社言論サイトRe:Ronと連携
12月31日まで視聴可能。朝日地球会議2024公式サイトで登録・視聴を受け付けています
コーディネーター:三牧聖子(同志社大准教授)
吉田恵里香(脚本家)、重田園江(明治大教授)
「はて?」をフックに足元からグローバルな課題まで
企画の中心的な役割を担ったデジタル企画報道部の佐藤美鈴Re:Ron編集長と菅光ディレクターに見どころを聞いた。
ーー見どころを教えてください
連続テレビ小説「虎に翼」の主人公・寅子が発する「はて?」という言葉をフックに、足元からグローバルな課題まで語り合いました。「虎に翼」の脚本家・吉田恵里香さんは「はて?」という言葉に込めた思いを話しています。ほかには国際政治学者・三牧聖子さん、政治学者の重田園江さんが登壇しました。3人それぞれの視点から、ジェンダーを軸に国民主権や女性リーダーのあり方など、「虎に翼」でも描かれた内容と重ね合わせながら議論が進みました。
「虎に翼」を見ていた人には、吉田恵里香さんの言葉に触れながら、改めてドラマの魅力を感じてもらえると思います。見ていなかった方も、「虎に翼」が描いた世界を通して、身近なところからグローバルな世界に共通する課題に触れる機会になるかと思います。
斎藤幸平が語る文明と世界2024
概要
気鋭の思想史家斎藤幸平さんは今年ドイツを拠点に研究や講演を続け、時には北米の森林を歩いている。日々実感が強まる気候危機、終わりが見えないまま生命が奪われ日常が壊されていく戦争、それと循環する分断、国際関係でも各国内部でも広がるばかりの格差、急速に進化するAI――。危機と変化のただ中にある私たちの文明は今どんな姿をしているのか? これからどこへ向かうのか? 欧州で見つめる斎藤さんとともに考える。
12月31日まで視聴可能。朝日地球会議2024公式サイトで登録・視聴を受け付けています
コーディネーター:石井徹(朝日新聞記者・編集委員)、高重治香(朝日新聞記者・論説委員)
斎藤幸平(東京大准教授)
地球環境を始めとする危機、タブーなく議論
コーディネーターを務めた、石井徹編集委員に見どころを聞いた。
ーー見どころを教えてください
斎藤さんは優れた論客ではありますが、これだけ多くの人たちに注目され、著作が売れた背景には、地球環境をはじめ、様々な危機が複合的に増大していることや日本の行き詰まりがあると思います。
少し前であれば、これほど注目されることはなかったでしょう。多くの人が、社会や世界全体のシステムチェンジが必要だと感じています。もはやマイナーな軌道修正では、複合的な危機(ポリクライシス)を避けられない、と肌身で知っているのでしょう。
脱成長が唯一の解かどうかは別にしても、これまで俎上に載せてこなかったテーマを、タブーなく議論していくことが重要です。自分自身だけでなく、社会の思考実験にもなります。思ってもみなかったことを、考えたり、みんなで議論したりすることは、楽しいものです。
経済成長が唯一の解だと信じてきた、アタマの硬い人たちに聞いてほしいと同時に、まだ、近現代的なテーゼに毒されていない若者に参加してもらい、このセッションがどのように響いたのかを、こちらから聞いてみたいです。
AIがヒトを超える時代に考える 「人間」とは?
概要
人間のように自律的にものを考えるAI(人工知能)がもうじき完成し、人間より高度な「超知能」もあと数年で完成する。専門家はそう予測します。すさまじい勢いで発達するAIは、私たちにとって頼もしいパートナーか、それとも尊厳や生存を危うくする脅威か。AIを考えることは人間を考えることにつながります。AIという「光源」に照らし出される人間とは、人間が時代を超えて紡いできた文化とは何か。伝統芸能の担い手であり、現代芸術の創作者でもある狂言師・野村萬斎さんと、人工知能研究の第一人者・山川宏さんが語り合います。
12月31日まで視聴可能。朝日地球会議2024公式サイトで登録・視聴を受け付けています
コーディネーター:山口宏子(朝日新聞記者・オピニオン編集部)
野村萬斎(狂言師)
山川宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ代表)
コーディネーターを務めた、山口宏子記者に見どころを聞いた。
ーー見どころを教えてください
AIには、いま見えている世界が拡張されてゆく面白さと、私たちの思考や身体がじわりと浸食されるような不気味さが共存しています。このセッションでAIを補助線にして、人間について考えてみたいです。
日本の伝統芸能はアナログの極致のように思われがちですが、「型」の集積で成り立っていて、デジタル発想と親和性が高い。「狂言サイボーグ」を自称している野村萬斎さんと、人間の脳をモデルにAI研究をする山川宏さんなら思考と身体の両面から対話してもらえるのでは、と考えています。
朝日地球会議 概要
今回で9回目の開催となった朝日新聞社が主催する国際フォーラム。2024年は10月25日(金)~31日(木)にオンラインとリアルで開催した。
参加費:参加、視聴は無料。
視聴申し込み:公式サイトにて12月31日(火)まで配信中。公式サイトで登録の上、ご視聴ください。
公式サイト :https://www.asahi.com/eco/awf/