朝日新聞が改革を進めるためには「劇薬」が必要。伊藤さん、それは君だ──。

デジタル上でニュースが無料で読める時代に、新聞社のデジタルメディアの意義や果たす役割は。 ハフポスト日本版、BuzzFeedJapan の立ち上げに参画し、BuzzFeed Japan Entertainment 編集長を経て朝日新聞に入社。朝日新聞社で編集局のデジタル改革に取り組む朝日新聞デジタル 伊藤編集長に聞きました。


朝日新聞デジタル 伊藤編集長

 2021 年4月、社外から朝日新聞デジタルの編集長に就任した際、会社幹部から「あなたのような劇薬が必要」と言われました。

 2000 人もいる編集局だと個々人に声をかけることには限界があります。その代わり、日々のニュースの出し方の仕組みを考え、変えていくことで、今日、明日だけでなく、半年先、1年先を見据えた変化の土壌作りを進めています。

 ネットニュースは世の中に数多くありますが、ニュースの起点となる「現場」に人がいるメディアはすごく少ないのが実情です。

 ネットによってニュースの数は増えましたが、それはあくまで流通革命。ニュースを伝える、「何が起こったか」だけではなく、「なぜ起こったか」「これからどうなるのか」といった展望を示すことは、今後も変わりません。

 私たちが伝える時に大切にしているのは、社会に生きている一人ひとりの視点、個々人のストーリーです。

 マクロな視点も大事ですが、個人に寄り添う報道は、私たちのアイデンティティーともいえます。

 ジェンダー、貧困などテーマはそれぞれありますが、突きめれば、ほぼすべての人に「困っていること」はあります。読みたいとき、しっかりした情報が届くようにし続けられたらと思っています。

朝日新聞デジタル 伊藤編集長 

 今、ニュースレターや SNS、イベント、コメント機能などを通じて、「記者の顔」が見えるように力を入れています。ユーザーにとって情報はタダに近くなっています。

 タダでも消費しきれず、なるべく早く消費したいという欲求も高まっています。しかし、現場に行って記事を書くことは楽にはなっていません。

 そのギャップを埋めるには、取材する記者の顔、取材プロセスを知ってもらう必要があります。おかげさまで反応も良く、データ上でも表れています。

 20 年後、30 年後、メディアビジネスは変わっているかもしれません。だが、何か事件事故があったらそこには複数のメディアがいる社会。そんな環境が健全だと思っています。そのような多様性・競争が保たれている社会を残していきたいと考えています。

朝デジ媒体資料

朝日新聞デジタル メディアガイド

伊藤大地編集長のインタビューを掲載したメディアガイドはこちら。読者や朝デジコメンテーター、記者などへのインタビューや読者データ、広告事例も多数掲載。

プロフィール

伊藤大地(いとう・だいち)

朝日新聞デジタル編集長。1978 年生まれ。2001年に株式会社インプレス入社。専門誌記者として、携帯電話業界、ネット業界を担当。その後、ハフポスト日本版、BuzzFeedJapan の立ち上げに参画。BuzzFeed Japan Entertainment 編集長を経て、2021 年より現職。

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