新聞で紹介した料理のレシピをオウンドメディアで詳しく解説
赤ちゃんの口に負担をかけない離乳食スプーンや、自然に正しい持ち方が身につく箸など、独創的な生活用品を開発・販売しているレーベン販売。昨年の冬に発売した「根菜フリルサラダ・削り~ナ」は、軽く引くだけで野菜をスライスでき、新食感で見た目も美しいサラダがつくれる、いままでにないアイテムだ。同社代表取締役社長の髙部 篤氏は、7月にオウンドメディアと朝日新聞を連携させて行ったキャンペーンの背景を次のように語る。
「私どもは以前からおいしいサラダを簡単につくれる『サラダおろし』を開発し、それを使ってつくる沖縄の郷土料理『にんじんしりしり』を普及させる取り組みも行ってきました。子供からお年寄りまで、幅広い人にもっと野菜を食べてもらい、みなさんの健康に寄与したい。そんな思いからこのたび、大根や人参などの根菜をよりおいしく食べられる『根菜フリルサラダ・削り~ナ』を開発しました。この商品を一人でも多くの人に知ってもらい、使っていただきたい。そんな思いで今回のキャンペーンを展開しました」
「根菜フリルサラダ・削り~ナ」は、今までにない新しい野菜の食べ方を提案する商品。その機能と使い方、楽しさを消費者にていねいに伝える必要がある。また、より多くの人に野菜に親しみ、食べてもらいたいと続けてきた、野菜に関する啓発活動にもさらに力をいれていきたいという思いもあった。これらの目的を達成するために、今回のキャンペーンでは朝日新聞別刷り朝刊beのセクション折り、朝日新聞朝刊ボンマルシェとのタイアップ記事に加え、オウンドメディア「生野菜食堂」を新たに開設し、それらを連携させて展開することにした。
「今はデジタルメディアやSNSを使ったマーケティングは外せません。これまでも公式サイトなどで野菜に関する発信をしてきましたが、それらを集約するポータルサイトとして、オウンドメディア『生野菜食堂』をつくりました。今回は野菜にまつわる役立つ記事と、beセクション折りで紹介した料理の詳しいレシピを載せました」
新聞紙面にはどうしてもスペースの制約がある。それを補うものとして、オウンドメディアを活用した。同時に、何百万人に一斉に情報発信できる新聞広告を、オウンドメディアへの誘導としても使った。サイトにはさらに、「子供が嫌いな野菜をおいしく食べてもらう方法」「大根の部位ごとの特徴と使い道」「野菜の栄養素を効率よく摂取するための調理法」など、家庭で野菜を楽しく食べてもらうための役立つ情報が満載。野菜が彩りよく盛りつけられたサラダの写真を「インスタグラム」から集めた記事もあり、SNSとの連携も視野に入れている。
デジタルコンテンツへの誘導には新聞などマスメディアの活用が有効
beセクション折りでは、通常の大きさのものを半分に折って4ページの体裁にすることで、抜き取りやすく保存しやすい形式にした(下図参照)。そして、新聞ならではの大きな紙面を生かし、「野菜でつくったママの顔」というインパクトある写真を真ん中に配した。裏面で機能や使い方をしっかり解説し、店舗で販促ツールとしても使ってもらえる構成にした。
「おかげさまで多くの店舗から喜ばれました。新聞は気になった記事や広告を切り抜いて保存している人も多く、忘れた頃に店頭にもってきて、『この商品がほしい』といってくださるお客様もいます」
ボンマルシェとのタイアップ記事は、料理研究家のコウ静子さんに登場してもらい、根野菜の栄養についてしっかり解説。料理への意識が高い女性に絞って訴求した。
「こちらは客観的な記事にしたかったので、内容は編集部におまかせしました。また読者モニター143人に実際に使っていただき、感想を掲載しました。貴重な生の声を吸い上げることができたのはありがたかったです」
このように、オウンドメディアと新聞を組み合わせた企画は初めての試みだったが、実際に新聞広告を掲載した日には、オウンドメディアのPVが上がったという。
「ネットの情報は膨大で、日々すごい勢いで増えています。そのなかで自分たちのコンテンツにどうやってアクセスしてもらうか。それが最大の課題で、もっと話題性を重視した『とんがった』アプローチも必要ではないかと考えています。ただ今回のキャンペーンで、デジタルコンテンツに導くきっかけづくりとして紙媒体、とりわけ新聞が有効なことを改めて痛感しました」
SNSやオウンドメディアと、新聞などの紙媒体をいかに連携させて上手に活用するか。デジタルマーケティングの鍵は、そこにもありそうだ。