バスクリンは、通販専売商品の新聞広告を定期的に出稿しています。ビジネスパートナーと一丸になった「チーム・バスクリン」で、レスポンス向上を目指してきました。「薬用入浴液」では、フィギュアスケートの羽生結弦選手を起用したバージョンも展開し、新たな顧客層を開拓しました。
「お悩み解消商品」を通販限定で展開
入浴剤といえば「バスクリン」。2010年、旧ツムラ ライフサイエンスからこの看板商品を社名に据えたバスクリンは、店販用とは異なる製品を開発し、通販事業にも力を入れている。ダイレクトマーケティング部 部長の東原好克氏は、2008年に通販事業がスタートした際、古賀和則代表取締役社長から「『通販事業を当社の第二の柱にする』という大きな目標を掲げられた」と明かす。
通販事業の発端は、近隣に同社の商品を買える店がないという顧客の要望に対応したこと。だが、一般商品と同じものを扱うだけでは、事業を大きく伸ばすのは難しい。「そこで単品リピート型の通販を目指し、メインで取り扱うものは『お悩み解消商品』、そして『通販限定』の二つを条件としました」(東原氏)
まず、既存シリーズの処方を変更する形で原材料を厳選し、女性向け薬用育毛剤「髪姫(はつひめ)」を発売。その後、このシリーズでヘアケア商品を拡充しながら、同じくお悩み解消の観点からスキンケア商品を加えた。「やはり、女性はいくつになっても『美しくありたい』という意識が高いですね。そうした方々にご支持いただきながら、少しずつ広げていきました」と東原氏は振り返る。
以降、順調に事業を拡大。躍進の理由のひとつが、東原氏が“チーム・バスクリン”と称する、関係各社とのチームだ。コールセンターや物流、DM、メディア、システム、広告会社などの事業社と一丸になり、定期的に課題解決のための会議などを行っている。「チーム・バスクリンは家族です、が合言葉。新聞社はじめメディアの方々も、私は家族だと思って取り組んでいます」
コピーによって異なる反応 模索ができるのが新聞の良さ
「髪姫」「髪殿」では、新聞とラジオを中心に、テレビやウェブ媒体も活用。CPR(Cost per Response)、引き上げ率(初回サンプルの使用から本商品を購入するに至る割合)とCPO(Cost per Order)、継続率、最終的な回収率などを見ながらそれぞれの計画を立てている。「通販では一般的に、新聞で獲得した顧客の引き上げ率や継続率が高いと言われますが、当社の場合も『じっくり読んで納得して購入いただいているのだろう』と感じます。この点は特に朝日読者の皆様に言えるのではないでしょうか」
新聞広告では、特長がしっかりと伝わることにこだわり、効果・効能を詳しく記載。クリエーティブを全3段・全5段広告などでまず試し、反応を確かめてから全15段へ展開、さらに調整している。広告のコピー選びはコールセンターでの会話や社長宛のハガキ、会報誌に寄せられる声も参考にしている。
「データを見ていると、やはり“当たりワード”はいくつかあります」と東原氏。中でも髪姫の「だまされたと思って一度お試しください」という言葉は、複数の分析から導き出したものの、長く信頼を得てきた同社が使う言葉としてどうかと、社内でも賛否両論あったという。
「ですが、出稿すると反応のほとんどが『背中を押された』『これで買って結果が出てよかった』という声でした。こうしたクリエーティブテストができるのも、新聞広告ならではの利便性ですね」
そんな中、今年4月に出稿した「薬用入浴液」の広告はやや異色だった。同商品は介護する人・される人が主なターゲットだが、一般家庭でも十分活用できる。そこで、フィギュアスケートの羽生結弦選手を起用し、昨年の入浴剤市場シェアNo.1(インテージSCI調べ)獲得を含めて「ナンバーワンの誇り。」と打ち出した。過去に同社は日本オリンピック委員会に協賛、選手へ入浴剤の提供や、正しい入浴方法などの科学的アドバイスを実施。「一般流通の入浴剤への影響も見込み、当社がNo.1であることを広く伝えたいと考えました」と東原氏。
この広告への反響は大きく、通常の広告とは異なる層に届いたと手応えを得た。通販事業は着実に、同社の第二の柱となりつつある。