手軽にできる酒の肴(さかな)のレシピを掲載した『おつまみ横丁』が売れている。版元の池田書店取締役営業部長の池田士文氏にお話をうかがった。
── 出版からヒットまでの経緯をお聞かせください。
初版は昨年9月で、当初から徳利(とっくり)とおちょこを売場にディスプレーした販売方法で料理本としては好調な数字を出していました。年明けに、長崎県にある紀伊國屋書店さんが大きくに仕掛け販売をしたところ、1日に3~4冊と好調に売れたことから、全国の紀伊國屋書店さんでもそうしていただきました。新宿本店さんでは店頭に特設売り場を設けて下さったりしたことから、全国の他の書店さんでも大きく展開をはじめ、独自にディスプレーに趣向を凝らして販売されるようになりました。また4月に、朝日新聞の書評欄「売れてる本」に紹介されるなどメディアでも取り上げられ、現在42万部を突破しています。
──ヒットをどう分析しますか。
景気後退や原材料の高騰による値上がりの影響もあり、自宅で晩酌する人が増えているという世情が後押ししてくれた部分もあります。料理の手順はすべて3つのステップで説明されており、料理をしない人でも「やってみよう」と思ってもらえたようですね。材料もシンプルで多すぎず、多少はおおざっぱに作ってもおいしくできることから、発行当初から男性にも支持されました。書店のディスプレーや手に取りやすい版型(新書判)から、「勢い買い」をされる読者も多かったようです。
── 第二弾の『もう一軒 おつまみ横丁』も発売されました。
1冊目が出てすぐに「もっとほかにレシピを出してほしい」といった要望の声が多かったため、今年9月に発行しました。1冊目と一緒に売り場作りをしてくれている書店も多く、1冊目も売り上げを伸ばすなど、いい相乗効果を生んでいます。
── 新聞などでの展開は。
売れ行きがよくなってからは、常に新聞広告を出すことで認知が続くよう心がけました。「もう一軒」が書店に並ぶタイミングの9月20日には、朝日新聞夕刊にカラーの広告を出稿。読者の心をくすぐる、おいしそうで、かつ、温かみのある写真や色使いにしました。新聞広告には読者だけでなく書店に向けてのメッセージも込めていますが、今回の『おつまみ横丁』に関しては、いずれに対しても効果があったと考えています。
と『もう一軒 おつまみ横丁 さらにおいしい酒の
肴185』(左)