ユニークな切り口の企画で語学書のヒットが生まれる

 今、語学書コーナーでひときわ目を引いているのが、鮮やかな黄色や青色の表紙の『英語は逆から学べ!』だ。第一弾は28万部を突破し、第二弾の「実践トレーニング編」も着実に部数を伸ばしている。取締役執行役員編集部長の長倉顕太氏と、同営業部長の小池亜以氏にお話をうかがった。

── 企画の経緯は。

小池亜以氏 小池亜以氏

 ここ数年、英語学習に関する本でビッグヒットがありませんでした。その一方で、英語本の版元ではないところが出版する語学ものがロングセラーになるという傾向があったため、当社でも英語の学習本を出してみようという機運が盛り上がりました。

──ヒットのポイントは。

 今まで英語を勉強してきたのに話せない人や、語学コンプレックスがある人に、全く違う学習プロセスを提示することを主眼においたことにあると思います。脳科学者の苫米地英人氏を著者とすることで、いわゆる語学のプロの提案とは異なる角度から取り組み、英語をマスターするという自己啓発的な提案が出来ました。また、本のタイトルを短く簡潔にしたことで、覚えられやすく注目を集めることができました。このように全体の落とし込みがうまくいき、ヒットにつながったのだと思います。

長倉顕太氏 長倉顕太氏

── どのような広告・プロモーション活動を展開されましたか。

 この本を売り出すタイミングに合わせて、最初から広告活動を積極的に行いました。まず、経済紙やブロック紙に出稿した後、朝日新聞の記事下、サンヤツを組み合わせて毎週広告を掲載しました。こうした使い分けをしたのは、経済紙でビジネスパーソンにアピールする一方で、一般紙を通じてターゲットに広がりを持たせたかったからです。また通勤の人たちを意識し、交通広告ではJRの窓上広告を掲出したほか、大阪の市営地下鉄も使いました。さらにウェブでは情報にアクセスしていただきやすいよう工夫をこらしました。

 書店では、この本を自己啓発本ととらえていただいたことにより、語学書のコーナーだけでなく、ビジネス書の棚にも置いていただけました。このため露出が2倍になり、二重にプロモーションすることができました。

── 媒体選択のポイントは。

 書籍の内容に従って、出稿を経済紙と一般紙で切り替えていますが、読者層の広いビジネス書・自己啓発書なら一般紙、特に朝日と考えています。売れている本についてどれだけ広告を打てるかが、部数を伸ばすためのカギですね。

9/26 朝刊
苫米地英人著『英語は逆から学べ!』(右)と
『英語は逆から学べ!実践トレーニング編』(左)