熊本復興応援をテーマにパノラマ6の広告特集を発行

 キリンビールは、「一番搾り 熊本づくり」の全国発売に合わせて、フルカラー・ブランケット判(15段)の6ページ分に相当する「パノラマ6」の別刷り広告特集を発行した。熊本地震被災地の復興応援をテーマに、キリンビールと熊本の地元メディアである熊本日日新聞社、そして朝日新聞社の3社がタイアップ。キリングループが一丸となって復興支援を継続していくことを全国に発信した。

熊本地震から半年。これからも支援を続けるキリングループの姿勢を伝える

波多野潤氏 波多野潤氏

 キリンビールは、2016年5月から「東京づくり」や「大阪づくり」「山形づくり」など「47都道府県の一番搾り」を各地域、数量限定で販売している。「47都道府県の一番搾り」の特徴は、地域の人たちと一緒に地元の魅力を発掘しながら、各都道府県オリジナルの一番搾りを作ること。キリングループの経営の枠組みでもあるCSV活動の一環で、地域密着型のプロジェクトだ。

 10月12日の発売分で「47都道府県の一番搾り」は出そろった。そのタイミングで「熊本づくり」の全国販売を開始した。その背景について、キリンビール マーケティング本部 広告・SP担当 メディアグループリーダー主務の波多野潤氏は次のように説明する。

 「『47都道府県の一番搾り』は、『復興応援 キリン絆プロジェクト』というCSV活動の一環として始まり、第1弾が発売された5月から、熊本地震被災地の復興支援のために1本の売り上げにつき1円を寄付しています。『熊本づくり』が7月に発売されると、日本中のお客樣から復興支援として購入したい、という声が多く寄せられました。そこで『熊本づくり』のみ全国販売に切り替えることが決まりました。寄付も増額し、熊本づくりは1本あたり10円拠出しています」

 熊本づくりの全国発売開始から3日後の10月15日、朝日新聞の朝刊に折り込まれる「パノラマ6」の別刷り広告特集を発行した。「パノラマ6」とは、新聞1ページ(15段)が3ページ連なったサイズで、表裏で6ページ分に相当する。この広告特集は、キリンビールと朝日新聞社、そして熊本の地元メディアである熊本日日新聞社の3社がタイアップして制作した。その狙いは、キリングループが熊本の方々と一丸となって、熊本地震被災地の復興を支援していくことを、全国の読者に伝えることだという。

 「熊本の方々が復興に向けて頑張っていることと、キリンビールが今後も支援を継続することを、全国にお伝えしたいという思いがありました。熊本の方々に愛されている地元メディア『熊本日日新聞社』と、全国に新聞を届けている中央紙の力を融合させて全国に波及できないか、広告会社に相談したところ、朝日新聞社も協力してくれることになりました。ただ、新聞社同士がタイアップすることはほとんど前例がない、と聞いていました。もし、単なる新商品の広告だったら実現できなかったと思います。熊本の復興応援というテーマだったからこそ、新聞社の垣根を越えてタッグを組むことができました」

※画像はPDFへリンクします。

2016年10月15日付 エリア広告特集 2016年10月15日付 エリア広告特集

熊本県民の笑顔と熊本の象徴を重ねたビジュアルで地元からのメッセージに

 パノラマ6の紙面は巻き三つ折で配布され、扉面は「熊本もんは、みんな、がまだしもん!」というコピーと熊本城の写真を合わせたクリエイティブのページを掲載。それを広げると、「ひとつになって、前に進む力を持っている!」というコピーと、加藤清正公像の写真を合わせたクリエイティブのページが現れる。「熊本もんは、みんな、がまだしもん!ひとつになって、前に進む力を持っている!」というコピーを続けて読むことができる構成だ。さらにめくると47バージョンの純広告が登場する。また、熊本日日新聞に折り込まれた紙面は、扉面に熊本日日新聞の題字と加藤清正公像の写真ページが配置されており、朝日新聞社が発行するものとは並びが一部入れ替わっている。

 熊本城と加藤清正公のビジュアルをよく見ると、どちらも笑顔の写真が重ねられている。「がまだしもん」というコピーは、熊本の方言で「頑張り屋さん」という意味。熊本県民が復興に向けて前向きに頑張っていることを伝えるために、熊本で暮らす方々の笑顔の写真を用いたという。

 「熊本日日新聞社のイベントやSNSで広告に掲載するための笑顔の写真を募集したところ、約1,500人が協力してくれました。また、熊本城と加藤清正公は、『熊本づくり』の商品パッケージやテレビCMでも、熊本の象徴として挙げられていたので、今回もメインビジュアルとして使用しました。『熊本もんは、みんな、がまだしもん! ひとつになって、前に進む力を持っている!』というコピーは、実は、地元・熊本のみなさまとコンセプトをつくりあげていくワークショップで出てきたキーワードをつなぎ合わせたものです」

 朝日新聞の別刷り広告は、東京と大阪、西部本社版の一部のエリア限定で配布した。今回、新聞広告を活用した理由について、波多野氏は「復興応援のようなメッセージを伝えるには、手元に直接届き、心に焼き付けられる紙媒体が有効だと考えました」と話す。また、新聞広告を掲載した後の、SNSでの拡散も期待していたという。特に、パノラマ6のような特殊なサイズは注目が集まりやすく、SNSでも大きな話題となった。

 「新聞広告を出した直後から、復興支援を継続するキリンに対して『ありがとう』『感動して泣いている』など、SNSでのつぶやきを多く見ることができ、メッセージが伝わった手応えを感じることができました」

 「熊本づくり」は順調に出荷しており、受注数は目標の倍だという。今後の展開について、波多野氏は最後にこう締めくくる。

 「『47都道府県一番搾り』のプロジェクトは、来年も実施する予定です。地域の方々と一緒にコンセプトから作りあげていく方法も、継続します。47都道府県のシリーズが好調なのは、携わった地元の方々が『自分ごと』として、友人や知人に商品のメッセージを自分の言葉で伝えてくれるからです。メーカーだけで47パターンのビールを作っても、地元の人の『自分ごと』にはなりにくかったと思います。発売前の認知度も通常の新発売の商品と比べて圧倒的に高く、『発売を待ち焦がれる』という新しい流れも生まれました。プロジェクトは数年かけて継続し、『一番搾り』のファンを増やしていくことが目標です」