明治安田生命Jリーグ、地域社会の活性化に貢献

 明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田生命)は2015年1月、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)とタイトルパートナー契約を締結した。さらに、J1、J2、J3の全54クラブとも個別にスポンサー契約を結んでいる。タイトルパートナーとなって3年目の今年、Jリーグ開幕前の2月14日から3日間連続で新聞広告を掲載。テレビ面から中面へと誘導するストーリー性のあるキャンペーン広告が話題となった。

明治安田生命とJリーグの共通点

市ノ瀬隆行氏 市ノ瀬隆行氏

 明治安田生命がJリーグのタイトルパートナーとなった理由は「地域に根差したスポーツクラブを核として、豊かなスポーツ文化を醸成する」というJリーグの考えに賛同したからだという。その背景について、広報部 ブランド戦略推進室 広報推進グループ グループマネジャーの市ノ瀬隆行氏は次のように説明する。

 「全国で活動する3万人以上の営業担当者『MYライフプランアドバイザー』は、対面のアフターフォローを通じ、各地域に根差した活動を展開しています。ただ、対面での営業活動は、時代と共に変化しています。担当する企業様への訪問も、情報管理やコンプライアンスの観点から、現在は訪問できる時間や場所が決められているなど、何らかの制限があることがほとんどです。一方、万一に備えた保障が特に必要な世代は共働きが増えて、対面でコミュニケーションをとることが難しい。そこで、私たちが地域に根差して活動していることを少しでも多くの人に知っていただくために、色々な活動を行っています。その一つが、Jリーグクラブの応援を通じた活動です。全国に拠点を持つ当社と、J1からJ3まで各地域にチームが点在していて、地域に密着して活動しているJリーグの活動には共感できる部分が多い。そこで、地域・社会貢献活動の一環として、Jリーグを応援することになりました」

松下真嘉氏 松下真嘉氏

 明治安田生命はJリーグだけでなく、Jリーグに所属する全54クラブとも個別にスポンサー契約を締結。J1の名門チームからJ3に加入したばかりのチームまで、全国の支社が地元チームを応援している。小学生向けのサッカー教室をはじめ、社会人向けのフットサル教室など、地域やチームのニーズに合わせて各支社が独自にサポートしているのが特徴だ。「2016年度には、小学生向けのサッカー教室を全国で173回開催しました。保護者も含めて、参加人数は1万4,000人ほど。サッカースタジアムでの観戦にも力を入れており、昨年度は従業員とその家族や友人、お客様あわせて約22万人が足を運びました」と広報部 広報グループ 主任スタッフの松下真嘉氏は話す。

 「明治安田生命Jリーグ」というリーグ名や地域での取り組みは、サッカーファンの間ではだいぶ浸透してきた。目下の課題は、サッカーファン以外にも周知させることだという。そこで、明治安田生命Jリーグの認知向上を目指し、2017シーズンが開幕する直前の2月14日から3日連続で新聞広告を掲載した。「サッカーにはあまり関心のない方々にも我々の活動を知っていただくために、全国津々浦々に届けられて、幅広い年代にリーチできる新聞広告が効果的だと考えました」(市ノ瀬氏)

 今回、朝日新聞社で展開した理由について、市ノ瀬氏はこう話す。

 「朝日新聞社も『Jリーグ百年構想』に取り組んでいるので、Jリーグが目指していることや考え方を理解されています。そのため、インパクトを重視しながらも、メッセージも伝えたいという私たちの考えを理解してもらえると思いました。実際、期待以上のご提案をいただき、とても満足しています」

テレビ面のインパクトのある広告で、中面広告へ誘導

2017年2月14日付朝刊

2017年2月14日付朝刊19面2.2MB
2017年2月14日付朝刊40面(東京本社版)2.3MB
2017年2月14日付朝刊38面(大阪本社版)2.2MB

 まず、2月14日付の朝日新聞朝刊のテレビ面とスポーツ面に広告を掲載した。テレビ面を飾ったのは、子供から大人まで誰もが知るサッカー漫画『キャプテン翼』に登場するキャラクターだ。主人公の大空翼と一緒にボールを懸命に追いかけているのは、岬太郎。躍動感のあるイラストで目を引いた。東京本社版では、テレビ面下の変形スペースを使用することで、よりインパクトの強いビジュアルとなった。

 テレビ面の広告は、あえて情報量は抑えたという。キャプテン翼のキャラクターと「この展開は中面へつづく!!」というコピーのみで、一見すると何の広告か分からない。ヒントは、キャラクターが着るユニホームのロゴ。「読み飛ばされずに注目されるには、目立たせる必要があると思っています。いつも以上に楽しみながら紙面をめくってもらうための仕掛けとして、遊び心のあるものを目指しました」と市ノ瀬氏。

 スポーツ面に掲載した広告には、大空翼と岬太郎が一緒にシュートを決めているシーンが描かれている。キャプテン翼の読者であれば誰もが知る「ツインシュート」だ。ボールを蹴ることでキャラクターのユニホームのロゴが合体。「明治安田生命Jリーグ」のロゴマーク入りのボールがゴールするというストーリーだ。そして、明治安田生命がタイトルパートナーとして全54クラブを応援し、今年もJリーグと共に地域を盛り上げていくことを宣言している。「ツインシュートは二人で一緒にボールを蹴るという特殊な作業。そのシーンを描くことで、Jリーグと私たちがタッグを組み、地域・社会の活性化に貢献していくことを視覚的に伝えられると考えました」(松下氏)

 続いて掲載した15日と16日の広告も、テレビ面からスポーツ面の広告へと誘導する仕掛けは同じ。ただ、テレビ面右端の表札スペースを上下ダブルで使用してインパクトを狙いつつ、中面では明治安田生命Jリーグの取り組みを伝えることに主眼を置いた。

 3日連続で掲載した新聞広告は、SNSでも話題となった。特に14日の広告は、二つの新聞広告を写真に撮って投稿している人も多く、広く拡散されていた。社内での評判も良かったという。「新聞広告をはじめとする外部向けのプロモーションが営業活動の手助けとなるように、広告の掲載に関する情報は社内のイントラネットで共有しています。各支社が独自に行っている取り組みも、イントラネット内の社内報に掲載され、一部ホームページでも公開しています。約4万人の従業員がベクトルを合わせて行動するためにも、インナーで情報を共有する努力は重要だと考えています」(市ノ瀬氏)

 社内では従業員「全員がサポーター」を合言葉に、明治安田生命Jリーグを応援している。ただ、従業員の9割が女性なので、サッカーのルールを知らない人も少なくない。そこで、ルールの勉強をはじめ、女性ならではの楽しみ方を共有するための社内イベントも開催しているという。「ボトムアップの活動として2015年に『Jリーグ女子倶楽部』が立ち上がり、今では全社的に広がっています」(松下氏)

 「スタジアムでの観戦も、安定して持続させることが重要です。既に今シーズンは約7万人(6月6日現在)が観戦しています。Jリーグの活動を通じた地域活性の取り組みは、今後も推進していきたいと考えています」と市ノ瀬氏は締めくくった。

2017年2月15日付朝刊2017年2月15日付朝刊 19面1.4MB
2017年2月15日付朝刊2017年2月15日付朝刊 40面1.9MB
2017年2月16日付朝刊2017年2月16日付朝刊 19面1.5MB
2017年2月16日付朝刊2017年2月16日付朝刊 38面2.0MB

3つのポイント

新聞社に期待したこと
読者の自宅に毎日届けるという新聞媒体は、弊社の地域に根差した活動とも通じる部分がある。特に今回は幅広い層にメッセージを届けることが狙いだったので、最適な媒体だと考えた。

朝日新聞のイメージ
朝日新聞社は「Jリーグ百年構想」に取り組んでいるので、Jリーグの考え方を理解している。インパクトを重視しながらも、メッセージも伝えたいという弊社の考えを理解してもらえると思った。

コミュニケーション上の課題
サッカーに無関心な層に、どう興味を持ってもらうか。特に若い女性とコミュニケーションの接点を多く持つことが課題。