「学研の図鑑LIVE」と「学研の科学」―児童向け主力商品をリニューアル
新聞広告の反響に確かな手ごたえ

 学研プラスは、大幅にリニューアルした『学研の図鑑LIVE新版』シリーズと、12年ぶりに復刊した『学研の科学』の5段見開き広告を2022年7月7日付朝日新聞朝刊に掲載しました。『学研の図鑑LIVE新版』と『学研の科学』それぞれの特徴と、学ぶ楽しさやワクワク感を一体感のあるビジュアルとコピーで伝えています。児童向け商品のプロモーションを朝日新聞で展開した狙いをはじめ、掲載後の反響やクリエーティブのこだわりなどについて、学研プラス マーケティング本部の藤谷氏と松村氏に聞きました。

新聞広告で読者と関係各所へ発売を広くアピール

 1970年に創刊した『学研の図鑑』は、時代とともに進化し続けており、2014年からは動画やARなどデジタルでも楽しめる『学研の図鑑LIVE』シリーズとして販売している。さらに今、収録種数を大幅に増やし、生き物の見せ方を刷新するなど、最も新しい「図鑑体験」を提供するための大幅なリニューアルを行っている。その第1弾として、『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』『学研の図鑑LIVE 恐竜 新版』『学研の図鑑LIVE 危険生物 新版』の3冊を22年6月23日に発売した。
 一方、学研の『科学』は、1963年から2010年まで刊行されていた小学生向け学年誌だ。12年間休刊していたが『学研の科学』として復刊が決定。2022年7月7日に『学研の科学 水素エネルギーロケット』を発売した。復刊第1号のテーマは、次世代のクリーンエネルギーとして期待が高まる「水素」と「宇宙」。組み立て式のキット「水素エネルギーロケット」のほか、PCやスマホから参加できるオンラインコミュニティーも開設した。
 学研プラスは、この歴史ある二つの児童向け商品の広告を、『学研の科学』の発売日に合わせて朝日新聞朝刊に掲載した。その理由は大きく二つあるという。一つは、活字媒体である新聞と書籍の相性のよさだ。『学研の図鑑LIVE』を担当する藤谷氏は、次のように説明する。「これまでも、健康本、レシピ本、児童書、学習参考書についての新聞広告を掲載していていますが、POSの反応を確認していて、新聞広告の書籍訴求の影響力の強さを実感しています」

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松村氏

 『学研の科学』を担当する松村氏も「新聞を購読している世代は、かつて『科学』を毎月購読していた方が多く、自身の小学生時代がよみがえり、懐かしさを感じてもらいやすい媒体だと思います。科学や実験の面白さを『科学』を通じて自ら体験してきた方々だからこそ、復刊の情報を伝え、購買意欲の喚起につなげたいと考えました。『学研の図鑑LIVE』と『学研の科学』はともに、大人でも楽しめる内容です。自分のために購入する方も少なくないと考えています」と話す。
 新聞広告を掲載したもう一つの理由は、書店や取次店に向けてアピールするため。「『学研の図鑑LIVE』と『学研の科学』はいずれも、学研のイチ押し商品です。発売前後にマスメディアである新聞に広告することは、書店や取次店の方々に私たちの意気込みを示すことにもつながります」(藤谷氏)
 社内でも、新聞広告に対する期待度は高いという。「販売の担当者は新聞広告が書店の方々とのコミュニケーションのきっかけにもなるため、新聞への広告出稿の有無は毎回、聞かれます。実際、これまでも児童書の広告を新聞に掲載すると、受注センターに注文が入ったり、一般のお客様からの問い合わせがあったりというリアクションがよくあります。そうした経験から、主力商品の発売時には新聞広告は必ず検討しています」(松村氏)

学研ブランドの存在感を高めるクリエーティブ

 『学研の図鑑LIVE』と『学研の科学』は発売日が近いことから、連動して新聞に広告を掲載することを「早い段階から検討していた」と藤谷氏。それぞれの特徴や魅力を伝えるためにも、各表紙や付録のキットなどの写真も大きめに掲載したいと考え、5段見開きで展開することにした。クリエーティブの特徴は、二つの媒体の情報を簡潔に伝えつつ、淡い色合いのグラデーションとコピーによって一体感を持たせていることだ。学研の存在感を示す、ブランド広告のようにも感じられる。

20220707_gakken_ad 2022年7月7日付朝刊 5段見開き428KB 
(朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。22-2347)


 色は、各媒体のテーマカラーをもとに考えたという。『学研の科学』は情報解禁時からテーマカラーを水色に設定し、広告もそれに合わせた。『学研の図鑑LIVE』の『LIVE』のロゴが、グラデーションで表現されている。その色合いをもとに、紙面全体もグラデーションで彩った。それに伴い、コピーを中心に『学研の科学』と『学研の図鑑LIVE』が緩やかに一体化し、目をひくビジュアルとなった。
 ビジュアルの中心に配置したコピーは、3通り読むことができる。「最後まで悩んだのはキャッチコピーだった」と藤谷氏。全体を2行で読むと「君だけの大発見と好奇心の冒険へ さあ一緒に飛び出そう」という、能動的に学ぶ楽しさやワクワク感が伝わってくる内容だ。左右それぞれ2行は、『学研の科学』と『学研の図鑑LIVE』それぞれのメッセージを発信している。「『学研の図鑑LIVE』のテーマは『好奇心を深める』と『図鑑を読んで、新しい体験(冒険)をして欲しい』。『学研の科学』のテーマは『新たな発見・自分だけの発見』。各テーマを、どうやって一つのコピーでつなげていくか。検討を重ね、何度も調整しました」(藤谷氏)

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藤谷氏

 当初はレイアウトが現在の反対で、左側に『学研の図鑑LIVE』、右側に『学研の科学』の情報を配置していた。「その状態で左からコピーをつなげて読むと、どうしても違和感がありました。そこで、配置を逆にして調整すれば収まりが良くなるかもしれないと、最後の最後に反対にしてみたところ、大正解。伝えたいことを、うまくまとめることができました」(松村氏)
 掲載後に行われた「J-MONITOR」(新聞広告共通調査)によると、今回の広告は読者の理解度や興味、好感度や信頼度といった項目の評価が高かった。特に、読者の理解度は93%に上った。また、広告の印象については「目立つ」という評価が、過去の5段見開き広告の平均値を10ポイント以上上回り、紙面のクリエーティブがとても効果的だったと思われる。実際に読者からは、「カラフルで見やすく、目立つ」「特徴が一目でわかる」といったデザインへのポジティブな評価が寄せられ、すぐにネット書店で購入した方や、子供と店頭にいき興味を示した題材があれば購入したいという人もいた。

教育コンテンツと親和性がある朝日新聞

 新聞広告のほかにも、プレスリリースの配信やSNS、Webでの情報発信なども活発に行っている。「情報解禁から発売、そして発売後まで、計画的に情報を発信しています。たとえば、『学研の図鑑LIVE』の編集担当の制作裏話をはじめ、図鑑に興味を持ってくれた方々が、もっと深く知ることができるコンテンツも用意しました。カワゲラという虫の新種を図鑑の制作途中に発見し、『ガッケンホソカワゲラ』と命名して、今回刊行した『昆虫 新版』にも収録したニュースは、朝日新聞をはじめ、さまざまなメディアで取り上げていただきました」(藤谷氏)

「ガッケンホソカワゲラ」の記事(2022年5月11日夕刊) 承認番号22-2293


 『学研の科学』は、4月1日の情報解禁時に伝えられる内容が少なかったという。それを逆に生かし、情報は小出しにして、発売までワクワク感を高めていった。「発売2日前にリリースした、元日本テレビアナウンサーの桝太一さんに『学研の科学』の特別研究員として協力いただくニュースが話題になり、その勢いで発売当日まで盛り上げることができました」(松村氏)
 いずれも売れ行きは好調で、『学研の図鑑LIVE』は昨年同時期と比較すると大幅に売上が伸長したという。『学研の科学』は、ネット書店では完売という勢いだ。「公式ホームページにつながる新聞のQRコードの読み込みも非常に多かった」と松村氏。
 『学研の科学』は今回、朝日新聞と朝日小学生新聞のみに広告を掲載した。その理由について、松村氏は最後にこう振り返る。「朝日新聞は、教育関連の記事が多いイメージがあります。『学研の科学』は学習誌なので、朝日新聞とは相性が良いと思いました。特に伝えたいのは、実験キットのロケットは『おもちゃではなく、教材』だということ。たとえば、ロケットが飛ばない、水素が発生しない、といったことも大切な発見のひとつ。ロケットをうまく飛ばして遊ぶことだけが目的ではなく、うまくいかなかった体験が、成功の方法を知るきっかけにもなる。失敗にも学びはたくさんあるという考えです。それは『科学』が創刊当時から大切にしているメッセージで、子どもたちのこれからの人生にも役立つことだと思います。そんな私たちの思いは、『きみだけの大発見』というキャッチコピーにも集約されています」(松村氏)。『学研の科学』は、年3回発行する計画で、次号は11月に発売予定だという。

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