【知りたい】DSPとは? 初心者でも理解できるweb広告の基礎を解説

アドテクノロジーの進化に伴い普及しているDSP。Webマーケティングに関わりがある方なら、一度は見聞きしたことがあるでしょう。DSPは広告主のプラットフォームで、広告の効果を高めることが期待されるサービスです。この記事では、DSPやデジタル広告の基礎知識を紹介します。
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DSPとは、デジタル広告における効果の最大化を図るツールです。

「Demand Side Platform」の略称で、広告主や広告会社が使用する広告在庫の買い付けから配信、掲載までを一括管理します。

DSPは手数料や設定が必要になるものの、手動で広告運用する場合に比べて手間がかかりません。

また、広告枠単位の配信と違い、ターゲットを設定することで「枠」単位ではなく、興味や関心を持っている「人」単位での配信ができるのも特徴です。

DSPの基本概念は以下の通りです。

  • 広告主が指定する条件に基づいた最適な広告を配信できる
  • 広告の効果検証や改善などができる
  • 広告の配信タイミングや表示媒体を最適化できる

広告を配信したいターゲットや予算を設定したらバナーの入稿を行い、あとはDSPが一括で広告管理を行う仕組みです。

また、DSPの運用はSSPと呼ばれる広告管理枠管理ツールと連携して行われます。DSPで実際に広告が配信されるまでの流れは、以下の通りです。

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  1. 広告が掲載されているWebメディアにユーザーが訪れる
  2. ユーザーの訪問で得られたユーザーデータを解析し、ユーザー情報とともにSSPに広告をリクエストする
  3. SSPから各DSPに対してユーザー情報とともに広告オークションをリクエストする
  4. 各DSPから入札結果がSSPに送られる
  5. 入札結果の中から最高額をつけたDSPの情報をWebメディアに送る
  6. Webメディアから最高額のDSPに対して広告配信のリクエストを送る
  7. DSPからWebメディアに広告が配信される 

これらの流れをRTB(Real Time Bidding)といい、ユーザーがWebメディアを見ている際に、0.1秒以内に自動で行われています。

RTBは出稿金額を抑えたい広告主と、広告枠を高く買ってもらいたいメディアの利害を一致させるために開発されたシステムです。

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DSPの広告運用には3つのメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。

DSPは、Cookieから取得したユーザー属性をもとにターゲットオーディエンスへの広告配信が可能です。

ターゲットオーディエンスとは製品やサービスを伝えたい相手のことで、DSPでは特定の消費者に的を絞ったリーチができます。

DSPで使用するユーザー属性は「性別」、「年齢」、「趣味嗜好」、「サイトの訪問履歴」などの情報で、その中で条件に合ったユーザーに広告を配信できます。

ちなみに、DSPと比較されることが多い広告にリスティング広告があります。

検索したキーワードに応じた広告が配信されるリスティング広告は、顕在層へのアプローチに強みがありますが、潜在層へのアプローチはできません。 

その点、ユーザー属性をターゲティングできるDSPは、潜在層への認知形成に有効な手段になります。

DSPの種類によっては、ホワイトリスト・ブラックリストを設定できるメリットもあります。

ホワイトリストは優先的に広告を掲載したいメディアを選択し、安全性が高いドメインやURLが該当した場合に広告を流す仕組みです。

ブラックリストは広告を掲載したくないWebメディアを除外できる仕組みで、ブランド毀損のリスクが高く、悪質なドメイン・URLをリストにして広告配信対象から除外します。

これらは、どのようなWebメディアに広告を掲載したいかの方向性が決まっているときに便利です。

しかし、すべてのDSPにホワイトリスト・ブラックリスト機能が備わっているわけではないため、活用したい場合は対応しているものを選択する必要があります。

DSPでは、通常のターゲティングに加えて類似ユーザーを狙った広告配信にも対応しています。

類似ユーザーとは、過去に製品の購入や問い合わせ履歴がある人と似た行動を取っているユーザーのことです。

ノンタ―ゲットでユーザーを拡張するよりも、ある程度精度を担保したままリーチするユーザー数を増やすことができるのがメリットです。

自社の製品やサービスに興味を持ってもらえる可能性が高いユーザーに直接アプローチができるため、高い費用対効果が期待できます。

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広告プラットフォームは、DSP以外にもあります。ここでは、比較されやすい広告プラットフォームとDSPとの違いを紹介します。

SSP(Supply Side Platform)とは、Webメディア側の広告配信プラットフォームです。

広告を掲載したいWebメディアが、「掲載可能な業種」「最低落札価格」「広告枠」などを登録し、SSPがそれらに合致した最も高い掲載費を支払える広告を自動配信します。

DSPは、SSPに対して広告主が「配信ターゲット」「入札価格」などを設定し、広告の費用対効果を高めます。

DSPとSSPは対になっているプラットフォームで、インプレッションごとに広告枠の入札が行われるRTBで取引される仕組みです。

DSPとSSPの相互システムにより、Webメディアと広告主の両方が取引にかかる手間を減らし、利益を最大化しながら広告を掲載できます。

アドネットワークとは、複数のWebメディアを一つにした広告配信ネットワークです。

多くのWebメディアを集めることで、広告主は多くのメディアで簡単に広告配信ができるメリットがあります。また、Webメディア側も広告主を探す手間が省け、効率よく広告を掲載できることがメリットです。

DSPは広告効果の最適化を行うプラットフォームであるのに対し、アドネットワークはネットワークであるという違いがあります。

広告配信をしたいWebメディアを指定する場合はアドネットワーク、人にアプローチできるDSPは特定のユーザーに効率よく配信したい場合に役立つシステムです。

また、DSPはユーザーの購買データや情報も必要になるため、アドネットワークと同じように複数のWebメディアを取りまとめたり、複数のアドネットワークと連携してDSP経由で広告配信できるようにしています。

ディスプレイ広告とは、Webメディアを閲覧したときに表示される広告のことです。

Webサイトやアプリなど幅広い媒体で使用されており、広告には動画や画像、テキストなどを組み合わせたものが使われます。

幅広いユーザーに表示されるのが特徴で、バナー広告もディスプレイ広告の一種です。

DSPは広告効果の最適化を図ることが目的であるのに対し、ディスプレイ広告は広告の種類になります。広告料は、クリック数や表示回数に応じて課金される仕組みが一般的です。

DSPを通してWebメディアに表示される広告もディスプレイ広告といえますが、一般的にはDSP広告と呼ばれて両者は区別されます。

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DSPはさまざまな種類があるため、どのサービスを利用するかもポイントです。ここでは、DSPの選び方と成功のポイントを紹介します。

DSPを選ぶときは、広告配信のターゲットや目的を明確にしておきましょう。

ほとんどの企業は売上や利益を増やすことを最終目的に、商品やサービスの周知、新規顧客獲得のためにDSP広告を配信します。

商品やサービスによってはターゲットから外れる層も出てきますが、そのような層にアプローチすると余分なコストがかかり、広告効果の向上を図れません。

ターゲティングの基本となる性別や年齢以外に絞り込みできる要素は、DSP広告によって異なります。

DSPによってはターゲットのセグメントが可能なケースもあるため、ターゲティングしたい内容を伝えて見積りを出してもらいましょう。

DSPはサービスの種類で得意な分野が異なるため、単純に「評判がいい」、「ユーザーが多い」で決めて良いものではありません。

DSPが強みとするターゲティングの分野と、自社がアプローチしたいターゲットが合致するサービスを選ぶのが理想です。

例えば、以下のような強みを持っているDSPもあります。

  • ブランディングが得意
  • 企業を対象にしたマーケティングに強みがある
  • 海外ユーザーへの広告配信が得意
  • 初期費用がかからない
  • ゲームやアプリの分野が得意

仮に広告に出したい商品が企業向けの商材だった場合、海外ユーザーに特化したDSPを選ぶと、本来のターゲットに広告が届きにくくなってしまいます。

このケースであれば、企業を対象にしたマーケティングに強みを持つDSPが選択肢となるでしょう。各DSPのターゲティング特性を理解したうえで選ぶことが大切です。

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ここでは、主要なDSP3選を紹介します。それぞれの違いや特徴などを把握し、理解を深めたうえで検討しましょう。

FreakOutは、2010年に設立した株式会社FreakOutが運営するDSPサービスです。

接続先となるSSPが豊富にあり、AIの学習機能を用いて最適なユーザーと広告枠を選出してマッチングを行います。

ブランド施策効果にも力を入れており、アドベリフィケーションツールを用いることで公序良俗に反するメディアへの配信は行われません。

また、広告に対するインプレッションに課金が発生する仕組みを取っており、広告が画面以上に1秒(動画は2秒以上)表示されないものは配信しない保証も取り入れています。

ブランディング向きのDSPとして人気ですが、広告効果を正確に測るアトリビューション分析も備えており、バランスに優れています。

UNIVERSE Adsは、豊富なデータを基にした業界特化型マーケティングのDSPです。

200社を超えるデータプロバイダーと接続する「UNIVERSE」と連携し、さまざまな業界業種のニーズに合わせてデータ分析や広告配信を行います。

サイコグラフィックターゲティングを用いることで、ユーザーのWeb行動履歴に基づいて独自に分析した興味関心カテゴリの指定を行うことも可能です。

AIによる自動入札アルゴリズムにより、入札金額を最適化することもできます。リターゲティングのみの配信であれば、最低出稿金額もかかりません。

また、広告配信先の品質をリアルタイムにチェック・判定し、ブランドを毀損する可能性がある場合は自動的に排除する機能も搭載されています。

Criteoは、フランスに本社を置くCRITEO株式会社が提供するDSPで、膨大な消費者行動データに基づく機械学習を組み合わせた広告配信が特徴です。

Criteoで出稿するためには、ユニークユーザーが月4万を超えていることや、最低出稿金額が50万円以上であるなどの条件を満たす必要があります。

ユーザーの閲覧履歴をもとに興味を惹く商品やサービスを効果的に配信できるため、優れた効果が期待できるでしょう。

Criteoはさまざまな業界や業種との相性が良いですが、中でもアパレルや不動産のように掲載商品が多くAIに深層学習でデータ分析ができる分野に強みを持ちます。

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DSPを利用する際には注意点もあります。ここでは、気をつけるポイントを紹介します。

3rd party cookieの規制に伴い、ユーザーのWeb閲覧履歴を追うことができなくなるため、DSPに影響が生じる可能性があります。

2023年6月に施行された「改正電気通信事業法」に、3rd party cookieの規制に関する内容が含まれており、cookieの情報を保有するブラウザも規制を進めています。

3rd party cookieを使用する現状のDSP広告の仕組みでは、最適なユーザーや特定の人へのアプローチができなくなるでしょう。

しかし、Googleからデータ提供を受けて広告に活用しているDSPがあり、安全にデータを取引できる仕組みも開発しているため、影響を受けずに済む場合もあります。

DSP広告は導入時に初期費用がかかり、金額はサービスによって異なります。

また、DSPは最低出稿金額や契約期間が設けられている場合も多く、途中解約ができないケースもあるため注意しましょう。

DSPの導入や運用で広告の効果が高まっても、それ以上にコストをかけてしまうとメリットがありません。

導入する際には、費用対効果を十分に検討したうえで選ぶことが重要です。

DSPの運用時は進捗を細かくチェックし、広告配信後の広告単価やコンバージョンの推移を見ながら、随時設定を調整しなければなりません。

また、ターゲットに広告が表示されているにも関わらず、ユーザーからのクリックが少ない場合は、広告のデザインやわかりやすさに問題がある可能性もあります。

DSPの進捗を把握できる余裕がない場合は、広告代理店に依頼して運用代行してもらうのもよいでしょう。

DSPごとにレポーティングサイクルが異なるため、事前に確認したうえで選ぶ必要があります。

また、広告の配信先メディアも異なるため、同じターゲティング設定であっても効果が異なる点に注意が必要です。DSPは最適化を自動で行っているため、自動化の機能が思うように働かないこともあります。

配信に異常値がないかも確認しながら、費用対効果が望めない場合は見直しや変更もあわせて検討しましょう。

この記事では、デジタル広告の一種であるDSPの基礎知識を紹介しました。

DSPはデジタル広告の配信を行う広告主のプラットフォームであり、Webメディア側のプラットフォームSSPと連動し、ユーザーの行動に合わせた最適な広告を表示できます。

ターゲットオーディエンスへの精緻な広告配信を可能にし、類似ユーザーにアプローチできるのも強みです。

一方で、DSPにはさまざまなサービスがあり、初期費用や運用コストもかかるため、費用対効果を判断したうえで導入を検討しましょう。

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