マーケティングにおいて主に見込み客に対して企業が提供する資料のことですが、はじめてホワイトペーパーを作る場合は何から手をつけていいかわからない方も多いでしょう。
この記事では、ホワイトぺーパの定義や特徴、作成方法から活用方法まで紹介します。
ホワイトペーパーとは何か
ホワイトペーパーとは、マーケティングにおいて製品やサービスなどに関する情報を記載し、課題解決に向けたソリューションを提案する資料や報告書のことです。
主にBtoB向けの資料ですが、企業やテーマによっては誰でもダウンロードできます。ここでは、ホワイトペーパーについてさらに詳しく解説します。
ホワイトペーパーの定義と特徴
ホワイトペーパーは、製品やサービスの機能や市場分析の情報を文書にまとめたものです。
もともとは、政府などの公的機関が定期的に発行している○○白書と呼ばれる文書がホワイトペーパーと呼ばれていました。
しかし、21世紀に入ってからはビジネス業界でも活用されるようになり、今ではマーケティングにおけるコンテンツのひとつに位置づけられています。
例えば、企業が発行する以下のような文書がホワイトペーパーです。
- 市場調査レポート
- 製品カタログ
- ノウハウ提供資料
- 導入事例
- 製品やサービスのマニュアル
企業の多くは、WebサイトにPDFで掲載してダウンロードできるようにしています。
ホワイトペーパーの目的と効果
ホワイトペーパーは、マーケティングにおいて重要な役割を担っています。
主な目的や効果は顧客リードの獲得やナーチャリングで、受注確度を高めることにもつながるでしょう。
ここでは、それぞれの効果について詳しく紹介します。
リード情報を得ることができる
ホワイトペーパーを作成して得られる効果は、リード情報の獲得です。ホワイトペーパーのダウンロード時に個人情報の入力を求める企業も多く、資料がダウンロードされるたびにリード情報が蓄積されていきます。集める情報としては、社名・氏名・メールアドレス・電話番号・所属部署などが一般的です。ホワイトペーパーが欲しいということは自社の製品やサービスに興味を持っていることであるため、良質なリードを集めやすいという特徴があります。
リードナーチャリングできる
ホワイトペーパーは、リードナーチャリング(リード育成)の効果も期待できます。ホワイトペーパーをダウンロードした顧客に対し、定期的にアプローチすることで関係を深めることが可能です。また、過去のダウンロード履歴を分析して興味関心のあるジャンルの資料を提供することで、効率よくリードナーチャリングができます。自社の課題や製品の優位性などを発信することで、潜在顧客を顕在顧客 へと成長させることにもつながるでしょう。
受注確度を高めることができる
ホワイトペーパーには、顕在化された顧客の受注確度を高められる効果もあります。Webサイトを見ただけでは受注に至らなかったリードも、他社の活用事例や製品の詳細を知ることでサービスの利用や購入意欲を高めることができます。また、ホワイトペーパーをダウンロードした顧客はリードの中でもサービスを利用する可能性が高い見込み客となるため、アプローチ次第で受注確度を大幅に高められます。
ホワイトペーパーの代表的な種類
企業が配布しているホワイトペーパーには、さまざまな種類があります。ここでは、代表的な種類と内容を解説します。
課題解決型
課題解決型は、特定の課題を解決することを目的としたホワイトペーパーのことです。
あらかじめ設定された課題をテーマにしながら、それを解決したりアドバイスを与えることを目的にしています。
課題解決のためのノウハウやワークシートの情報を記載し、見込み客に対して課題を通じて自社製品やサービスに誘導します。
自社の製品やサービスが認知されていない場合、リリースして間もない製品のように認知拡大を図りたいときに役立つホワイトペーパーです。
レポート型
レポート型とは、自社の製品やサービスに関連する業界や市場の調査をまとめたホワイトペーパーのことです。
公的機関や業界団体が調査したレポートを要約しているケースもあれば、自社で独自に行った調査やアンケート結果を載せている場合もあります。
レポート型は、定期的に調査を実施して情報をアップデートし続けることが重要です。
その他
ホワイトペーパーはさまざまな種類があり、上記で紹介した以外に以下のようなものもあります。
- 業界用語をまとめた用語集
- セルフチェックシート
- 現状診断シート
- セミナーの報告資料
- 展示会の資料
- 業界の最新情報やトレンドをまとめた資料
企業や製品・サービスの種類によって、必要性の高いホワイトペーパーは変わります。ホワイトペーパーを作成するか目的を明確にしたうえで、検討を行うことが大切です。
ホワイトペーパーと、営業資料(サービス資料)の違い
ホワイトペーパーと営業資料(サービス資料)は、作成目線や活用方法が異なります。
ホワイトペーパー | 営業資料 | |
対象 | 潜在顧客・見込み顧客(サービス導入の可能性がある) | 検討顧客(サービス導入を検討している) |
目的 | リードの獲得や育成 | サービスの導入 |
コンテンツ内容 | ノウハウ・課題・事例の紹介 | サービスの紹介 |
営業資料とは、商品やサービスの特徴などを顧客に紹介する際に使う資料のことです。
そのため、ホワイトペーパーが顧客目線で作成されているのに対し、営業資料は企業目線で作られているという違いがあります。
また、ホワイトペーパーは顧客がその情報に興味を持ったときに意識的に見るのに対して、営業資料はすでに商品やサービスに興味を持っている人が詳細を確認するために見ます。
ホワイトペーパーの作成手順
ここでは、ホワイトペーパーの作成方法を紹介します。目的に沿った作り方をしないと求める効果は得られないため、ポイントを確認しながら作成を行いましょう。
ホワイトペーパー作成の流れ
ホワイトペーパーは以下の7ステップで作成を行います。
- 目的の明確化
- 解決する課題の設定
- ペルソナの設定
- テーマを決める
- ストーリーの設計
- ボリュームの決定
それぞれのポイントを解説します。
目的の明確化
まずは、ホワイトペーパーを作成する目的を明確化する必要があります。なぜなら、ホワイトペーパーの目的によってアクションも異なるためです。例としては、自社サービスの詳細情報ならリードの獲得、ノウハウの紹介ならリードの育成、具体的な施策なら受注確度のアップにつながります。効果的に成果につなげるためにも、潜在顧客にも何らかの行動に繋がるような情報をホワイトペーパーに盛り込みましょう。
解決する課題の設定
ホワイトペーパーを作るときは、自社サービスで解決できる課題の設定を行います。これは、先に解決する課題を設定しておくことで、どのような顧客がターゲットになるかを明確化できるためです。また、ユーザーの課題がサービスでどのように解決するかをイメージすることで、ニーズに適した内容を記載することにもつながります。
ペルソナの設定
自社サービスで解決できる課題を通して、ターゲットを明確にしたらペルソナの設定をしましょう。ペルソナとは、商品やサービスの提供を行う際にどのような顧客に向けたものであるか、具体的な人物を設定することです。年齢・性別・家族構成・年収・趣味など、さまざまな項目を組み込んだペルソナを設定しましょう。
テーマを決める
ホワイトペーパーを作るうえで重要なポイントになるのがテーマ決めです。テーマを決める際には、「自社が何のための製品を作ったり提供しているのか」という原点に立ち、業界の動向やノウハウ、マーケティングデータなどの情報を含めて決めます。そのうえで、「専門用語が多い製品なら用語集」「データが十分にあるなら調査レポート」のように、自社の強みやノウハウが活きるテーマを決めていきましょう。
ストーリーの設計
テーマを決めたらストーリーの設計を行っていきます。ストーリーの設計は、以下の順序で進めていくのが効果的です。
- 課題定義
- 原因の特定
- 解決策の提示
- 自社製品やサービスの紹介
それぞれの章は単独で理解できるように調整し、読者が読みやすいように心がける必要があります。企業や製品、サービスの種類によっては他の組み立て方の方がよいケースもあるため、参考の一つとしましょう。
ボリュームの決定
ホワイトペーパーのストーリーができたら、次は適切なボリュームの設定を行いましょう。ページ数の目安はテーマやターゲット層によっても変わりますが、ボリュームが多くなると読者の集中力が切れてしまうため、最後まで読まれない可能性も出てきます。テーマが複数になる場合は一つにまとめるのではなく、トピックごとにホワイトペーパーを作った方がよいでしょう。
ホワイトペーパーの具体的な作成方法
ホワイトペーパーの具体的な構想ができたら、作成を行っていきます。
作成を行うときは以下のポイントを押さえながら、「読者にとって読みやすいかどうか」を考えることが重要です。
- 専門用語の使用は読者にとって問題ないか
- ライティングにムダがないか
- 図とテキストのバランスが取れているか
- 数値データを用いて根拠を記載しているか
- データを引用する場合は信頼できる情報源であるか
ホワイトペーパーは自社のリソースで作成するケースもあれば、専門業者に依頼する場合もあります。
また、業界によって頻度は異なりますが、ノウハウやデータは常に変わるため、内容は定期的に最新情報にアップデートしましょう。
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ホワイトペーパーのデザインとレイアウト
ホワイトペーパーは、ユーザーが見やすいようなデザインやレイアウトにすることも重要なポイントの一つです。その理由は、内容が充実していてもデザインやレイアウトの悪さによって読む気がなくなり、肝心な内容が頭の中に入ってこなくなるためです。ここでは、ホワイトペーパーのデザインのポイントやレイアウトの注意点を紹介します。
効果的なデザインのポイント
読み手がスムーズに読み進められるようにするためには、以下をイメージしながらデザイン・レイアウトを行うのがポイントです。
- フォントやイラストに統一性を持たせる
- 見出しや強調したい部分のフォントサイズを大きくしたり色を変える
- 図表、イラストを積極的に使用する
- 余白に余裕を持って圧迫感を減らす
- テンプレートを参考にする
1ページの情報量を調整したり、フォントの色や大きさ、図表を効果的に使うことでホワイトペーパーの可読性が高まります。
カラーやイラスト、図のテイスト感が統一されていないと企業イメージのダウンにつながる場合もあるため、事前に社内でデザインの方向性を決めて統一感を出しましょう。
また、中面の情報量を整理するためには、以下の4つの基本原則を活用したデザインがおすすめです。
- 近接:関連する要素を近づけて配置し、異なる要素は余白を設けることで両者の違いが理解できる。
- 整列:デザインの中の要素を整列させることで見やすくなる。
- 反復:あらかじめ作ったルールに則って同じスタイルを繰り返し用いて統一感を出す。
- コントラスト:デザインで強弱をつけて一番伝えたいことを強調する。
ホワイトペーパーは盛り込む情報が多いためテキストが増えやすいですが、デザインを意識することで顧客の興味を引いたり内容の理解も深まります。
ホワイトペーパーのレイアウトの注意点
ホワイトペーパーを作成するときは、ビジュアルとテキストのバランスを意識したレイアウトにしましょう。
ホワイトペーパーのレイアウトはページ全面を使用したり、分割することもできるため、テキストや図表、イラストに合わせて決めていきます。
ホワイトペーパーのレイアウトは以下の3パターンが一般的です。
- 1分割:全面を自由に使う
- 2分割:左右もしくは上下に分ける
- 複数分割:3~5分割で使う
分割の割合はデザインによって異なりますが、基本を覚えておくことで情報を配置するときに整理しやすくなります。
ホワイトペーパーの効果と活用方法
ホワイトペーパーを作成している企業は多く、実際に活用して効果を出している事例もあります。ここでは、ホワイトペーパーの効果と活用方法を紹介します。
ホワイトペーパーの効果的な活用方法
ホワイトペーパーの効果的な活用方法は、ダウンロードの導線を作ってリードの獲得につなげることです。
例えば、ダウンロードの際には社名・担当者・連絡先などを記入してもらうことで、最新の資料を送付したり、参考になりそうな他の資料を送るなどのアクションにもつながります。
ホワイトペーパーは基本的に無料で公開している企業が多いですが、ダウンロードしてもらうだけではリード獲得の効果は小さいため、アンケートや個人情報の入力のような条件をつけると効果的です。
また、ホワイトペーパーの一部を自社のメルマガやSNSなどで公開することで、ダウンロードにつなげることもできます。
他にも、ホワイトペーパーを営業資料に転用するのも効果的な活用方法です。
ホワイトペーパーは潜在的顧客の判断材料としても使えるため、自社の商品やサービスの情報を追記することで営業資料としても十分に使えます。
ホワイトペーパーの成功事例
ホワイトペーパーを公開して成果を挙げている企業は多くあります。ホワイトペーパーで効果を出すためにも、成功事例を参考にしましょう。
精密機器メーカーA
A社はFA(Factory Automation)の開発製造や販売を行っている企業で、ホワイトペーパーによるマーケティングに力を入れています。事業部ごとにホワイトペーパーをコンスタントに作成してリリースしているのが特徴です。多種多様な製品・サービスを扱っており、ホワイトペーパーの数は数千を超える莫大な量となっています。顧客が知りたいことを軸に良質なホワイトペーパーを作成しており、リード獲得の獲得にもつながっています。
営業支援会社B
B社は成果報酬型の営業代行や支援を行っている企業で、業界別に最適化したホワイトペーパーを作成しています。他の企業と違うのは、ノウハウ型のホワイトペーパーが中心となっている点です。内容としては、業種ごとに営業のスクリプトを公開し、話し方や商品の紹介方法、アピールの仕方などのノウハウを公開しています。営業でうまくいかなかった人向けの資料のように、ターゲットをピンポイントに絞っているのも特徴です。
情報通信企業C
地図サービスを提供しているC社では、個人・法人向けの地図サービスを提供しています。法人向けのホワイトペーパーでは、Googleマップのプラットフォーム導入やデジタルマップのノウハウなどを配布しているのが特徴です。ホワイトペーパーに自社サービスの導入例を取り入れたコンテンツを掲載することで、リードの獲得を図っています。また、自治体に向けた人流データ活用ガイドブックやデータを活用したEBPM推進などもあります。
ホワイトペーパーは全体最適を考えながら作成する
ホワイトペーパーは、全体最適を考えながら論理的にストーリーが展開されるように作成することが重要です。
全体最適とは企業やチームが組織として最適な状態のことで、生産性が高い業務を行える状態のことをいいます。
全体最適によって連携不足によるミスの減少や企業としての意思決定が迅速に行えるなどのメリットがあり、各部署が連携することでユーザーのニーズを満たす質のいいホワイトペーパーが作成できます。
特に部門が多くなると各部門がそれぞれ独立して意志決定を行うようになるため、会社全体が機能不全を起こし、ホワイトペーパーの作成にも影響が出る恐れがあります。
そのため、社内コミュニケーションの促進やKPIの明確化、システムの導入を通して全体最適を図ったうえで、ホワイトペーパーの作成に取りかかることが重要です。
まとめ
この記事では、ホワイトペーパーの概要や作成方法、活用方法を解説しました。
ホワイトペーパーは商品やサービスに関する情報を記載している資料や報告書のことで、マーケティング施策として高い効果が期待できます。
特にリードを増やしたい、リードを育てたい、発注確度を高めたいという企業は、ホワイトペーパーの作成に力を入れたいところです。
また、どれだけ良質な内容でも読みにくくては意味がないため、デザインやレイアウトにも注意しながら企業全体が連携して作成を行う必要があります。
ホワイトペーパーの作成を検討している場合は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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