スマホで常に「比較・検討」
マーケティングファネルにおいて、「認知」「興味」の次の段階にあるのが「比較・検討」です。ファネルの3段階目にあたる「比較・検討」の先に、実際の購買につながる「行動」があります。
Z世代マーケティングを考える上で重要なのがこの「比較・検討」です。
1995年~2009年生まれのZ世代は、物心ついた時からネットが身近にあり、SNSがコミュニケーションツールとしてあたり前のように使われていました。
そんな、ネット上の膨大な情報に幼少期からさらされているZ世代にとって「比較・検討」は、スマホの中で日常的に繰り返している身近な行為であると言えます。
Z世代にとっての「比較・検討」に影響を与えるのは、価格の安さや機能の目新しさだけではありません。むしろ、それらの優先度はそれほど高くない。
では何を見ているか。それは企業の〝姿勢〟です。
『世界と私のAtоZ』(講談社)で著者の竹田ダニエル氏は、Z世代の「比較・検討」を「買い物は投票」という言葉で表現しています。
例に挙げているのがアパレルブランドです。従来の〝格好いい〟とされる体形のモデルを起用することは、ルッキズム(外見による差別)を認めている企業と見なされ、「比較・検討」の対象に入らないというのです。
「どう見られるか」を重視
そもそも、Z世代は新しいブランドや商品をどこで知るのでしょう? 「SHIBUYA109 lab.」がZ世代の男女400人に聞いた調査では、テレビCMを差し置いてSNSが上位を占め、特に女性の7割がInstagramを挙げました。SHIBUYA109 lab.の所長で『若者の「生の声」から創る SHIBUYA109式Z世代マーケティング』(プレジデント社)の著者、長田麻衣氏は、Instagramではハッシュタグの検索が駆使され、自分と同じ世界観かを見定めている
と指摘。その時、重視されるのは「周りからどう見られるか」だと解説しています。
この動きは、ファッション業界にとどまりません。
外食大手のワタミは、太陽光発電などを手がける新電力のワタミエナジーを設立。有機食材を扱う居酒屋で電力を活用するほか、食品リサイクルに取り組むことも打ち出しています。(参考:「コロナ5類」1カ月 外食・観光、次の一手は
| 日本経済新聞)
新電力や食品リサイクル自体は、居酒屋のメニューに直接、関係ありません。しかし、Z世代が抱いている問題意識に寄り添った取り組みは、Z世代の心をつかむマーケティングになっていくでしょう。
Z世代マーケティングを知る
朝日新聞社のグループ会社であるサムライトは、Z世代に上手くリーチする方法が分からない…などお悩みを解決します。
まずはお気軽にご相談ください。
(外部サイトに遷移します)
これからのブランディングに求められるもの
企業とZ世代の消費者の関係性は、Z世代が日頃から親しんでいるSNS上の友人関係の築き方に重なります。
友人関係を結ぶにあたって多くの場合、雰囲気が合う、話が盛り上がる、といった〝人柄〟が重視されます。友人関係における〝人柄〟が企業における〝姿勢〟にあたります。
アパレルブランドだからといって服さえかっこよければいいわけではない。ファストフード店が競うのは、安さと早さだけではない。それよりも、環境問題やジェンダーギャップ、多様性についてどんな価値観を持っているのかが大事になってくるのです。
2020年、世界的なスポーツ用品メーカーのNIKEが約2分の動画をネット上に公開しました。内容は、日本に存在する差別を描いたものでした。NIKEと言えばスニーカーですが、動画にはスニーカーを紹介する場面は一切ありません。機能も価格にも触れない。いじめや民族差別の実態と、それに立ち向かう当事者の勇気をたたえる内容になっています。
一見するとマーケティングかどうかすらわからない取り組みですが、企業の〝姿勢〟を伝えるという意味で大きなインパクトを与えました。動画はSNSで公開されると同時に瞬く間に拡散され、一気にトレンド入り。結果、NIKEは差別と戦う〝クール〟な存在として認知されることに成功したのです。
見ているのは企業の〝姿勢〟
さらに思い切った取り組みとして、アウトドア用品メーカーのパタゴニアのブラックフライデーがあります。(参考:「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」:ブラックフライデーとニューヨーク・タイムズ紙
| patagonia)
2011年、アメリカでクリスマスセールが始まる感謝祭翌日の金曜日、つまり、小売店にとってかき入れ時のタイミングに自社製品を掲げて「Don't Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」という新聞広告をニューヨーク・タイムズに出したのです。
大量消費社会への問題提起であるメッセージは、企業の〝姿勢〟を示す発信として大きな効果を発揮しました。パタゴニアはその後もブラックフライデーに合わせた施策を続けており、2022年には当日の売り上げの100%を、環境保護団体に寄付すると発表しています。(参考:ブラックフライデー(11月25日)の過去最高売り上げを地球のために全額寄付
| patagonia)
価格や性能以前に、それを生み出している企業の〝姿勢〟が購買行動を左右する。Z世代マーケティングを考える際、消費者が見ているのは、個別の製品やサービスではないことは常に意識しておく必要があります。
お問い合わせ
多様な価値観を持つZ世代は、従来のマスマーケティングでは把握しにくく、本音が見えにくいという特徴があります。
一方で、持続可能性のある社会やダイバーシティーを大事にする考え方は、現代社会が抱える課題を解決する一歩となる姿勢でもあります。
朝日新聞社のグループ企業であるサムライトでは、エッセイ投稿サイト「かがみよかがみ」の投稿者4000人のコミュニティーを土台にZ世代の本音を引き出すソリューションを開発。100社を超える企業のコンテンツマーケティングで得られた知見と組み合わせたZ世代マーケティングの支援をしております。
世代を超えた価値を持つZ世代マーケティングにご興味のある方は、下記までお気軽にご連絡ください。
Z世代マーケティングを成功させる
朝日新聞社のグループ会社であるサムライトでは、Z世代143人に聞いた42問の調査結果と
Z世代マーケティングに有効なコンテンツとは何かをまとめたホワイトペーパーを作成しました。
マーケティングに携わる方はぜひご覧ください。
(外部サイトに遷移します)
Z世代マーケティングに関する資料を無料公開中!