新聞広告のデザインで成果を出すには?基本ルールから読者の心を掴むポイントまで解説

新聞広告のデザインで成果を出すためのポイントを分かりやすく解説します。新聞ならではの基本的なルールや注意点を押さえつつ、読者の記憶に残り、行動を促すデザインのコツを具体的な成功事例とともに紹介します。この記事を読めば、効果的な新聞広告制作のヒントが見つかります。
新聞広告デザイン画像1

 新聞広告は、デジタル広告が主流の現代においても、高い信頼性を背景に多くの読者に情報を届けられる強力なメディアです。 しかし、その効果を最大限に引き出すためには、新聞ならではの特性を理解した「デザイン」が欠かせません。
 この記事では、新聞広告のデザインにおける基本的な考え方から、読者の目を引き、心を掴むための具体的なポイント、そして制作前に知っておくべき技術的な制約まで、成功事例を交えながら分かりやすく解説します。

 新聞広告をデザインする上で、まず押さえておくべき基本的な考え方が三つあります。
 これらは広告の骨格となる部分であり、ここがぶれてしまうと、どんなに優れたデザインでも読者には響きません。

 新聞広告の掲載スペースには限りがあります。その中で、あれもこれもと多くの情報を詰め込もうとすると、結局何も伝わらない広告になってしまいます。最も伝えたいメッセージは何か、読者にどんな行動を起こしてほしいのかを明確にし、情報を一つに絞り込む勇気が重要です。
 企業として社会に約束したいパーパスや製品の最大の特長、キャンペーンの最も魅力的な点など、核となるメッセージを決めましょう。
【関連記事】なぜ新聞広告は「伝わる」のか? 信頼性・効果・クロスメディア戦略で考える新聞広告の価値| 広告朝日|朝日新聞社メディア事業本部

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新聞広告の強みとは?信頼性と到達率の高さで企業メッセージを効果的に届ける

CONTENTS
・新聞社の強み
・各メディア広告との相乗効果
・事例紹介
・読者特性

新聞広告の強み 資料ダウンロード

 新聞は全国紙、地方紙、経済誌、スポーツ紙によって読者層が大きく異なります。全国紙、地方紙、経済紙、スポーツ紙など、それぞれの新聞がどのような読者に読まれているのかを理解し、広告のターゲットを明確に設定することが不可欠です。
 新聞広告共通調査プラットフォームJ-MONITORによる加盟社の面別接触率調査によると、総合面や生活面、スポーツ面など面毎に男女で接触率に差があります。
 J-MONITORの調査によると、朝日新聞では第一総合面(朝刊)や第一社会面では接触率の男女差は1ポイント未満ですが、くらし面では女性(84.9%)が男性(77.8%)に比べプラス7.1ポイントの差があるなど大きな差があります。
 また、ターゲットがシニア層であれば文字を大きく読みやすくする、ビジネスパーソンであれば信頼感を重視したデザインにするなど、読者層に合わせたアプローチが求められます。
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 新聞は、綿密な取材に基づいて情報を発信する、信頼性の高いメディアです。この「信頼性」という強みを最大限に活かしましょう。
 あえて読みづらい表現や、誇大な表現は、かえって新聞広告の持つ信頼性を損なう可能性があります。誠実さが伝わるようなコピーや、安心感を与えるデザイン、データや図表を用いた表現や理解を促す文章などを心がけることで、読者の共感を得やすくなります。

基本的な考え方 具体的なアクション
伝えたい情報を一つに絞る 最も伝えたいメッセージを一つだけ選ぶ
ターゲットの明確化 掲載する新聞の読者層を分析し、デザインのトーン&マナーを決定する
信頼性の活用 誠実なコピーと安心感のあるデザインで、読者の共感と信頼を得る

 まず、「紙というメディアでしかできない演出」をいくつか紹介します。

 新聞の見開きスペースや、複数ページをまたいだ広告構成を使えば、静的な1ページ広告では難しい「時間軸」や「物語性」を読者に伝えることができます。
 たとえば、最初のページに問いを提示し、次のページで答えを明かす構成や、キャラクターや製品がページをまたいで動いていく演出などが可能です。
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 紙の質感と加工性を活かした、折る・開く・めくるといった“仕掛け”を使った広告表現は、新聞広告ならではのインパクトを生み出します。
 たとえば、折り紙のように紙を折って完成させる広告や、新聞を開くことでイラストやメッセージが現れる仕掛けなどがあります。
 また、新聞枠から飛び出すようなデザインや、折りたたみ式で展開すると絵が完成する形式など、読者に参加を促す演出は高い話題性を生むことができます。
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 新聞を読む場所が家庭であるという点に着目すると、家族や子どもをターゲットにした仕掛け広告も効果的です。
 特に塗り絵や迷路、点つなぎ、パズルなどの知育要素を取り込むことで、親子でのコミュニケーションの中に自然に広告が入り込む導線が作れます。
 「塗り絵広告」のように、イラストを塗って応募する企画や、迷路をたどると商品ロゴにたどり着くなど、広告そのものを“遊びの場”とすることで、読者の能動的な参加を促し、記憶にも強く残ります。

 新聞広告には、Web広告や雑誌広告とは異なる、特有の技術的な制約が存在します。
 これらのルールを守らないと、意図したデザインが再現されないだけでなく、入稿データが受け付けられないこともあります。事前にしっかりと確認しておきましょう。

 新聞の紙面は「段」という単位で構成されており、1ページは通常12段か15段に分割されています。広告のサイズも「全5段」「半2段」のように段数で表現されます。
 ただし、同じ「全5段」でも、新聞社によって数ミリ単位で実際の寸法が異なるため注意が必要です。掲載する新聞社の規定を必ず事前に確認し、正確なサイズでデータを制作する必要があります。

参考:日本新聞協会「N-SIZE(日本新聞協会推奨制作サイズ)のご案内」

 モノクロでデザインする場合、色の変化はスミ1色の濃淡で表現されます。ベタ塗りや白抜き、グラデーションなどを使い分け、メリハリをつけることがポイントです。
 特に、カラー写真をモノクロに変換する際はそのまま変換すると濃淡のメリハリがなく、全体がぼやけた印象になりがちです。一度コントラストを強めてからモノクロ化すると、被写体がはっきりします。

 新聞のカラー印刷は CシアンMマゼンタYイエローKスミ の4色のインクの重ね合わせで表現します。
 インク総量とは、紙の同じ箇所に重ねて印刷されるインクの合計量のことです。新聞用紙は薄くてインクが裏移りしやすいため、多くの新聞社ではインク総量の上限(多くは250%前後)を定めています。インク量が多すぎると、にじみや裏移りの原因となり、広告の品質を損ないます。逆に少なすぎても文字がかすれるため、適切なインク総量を守ることが美しい仕上がりにつながります。

参考:日本新聞協会「最大総インキ量」

 新聞用紙は、雑誌などに使われるコート紙とは異なり、少しグレーがかっていてインクがにじみやすい特性があります。
 そのため、デザインデータを作成する際は、真っ白な画面で見るのとは仕上がりが異なることを想定しなければなりません。細かい文字や細い線はつぶれてしまう可能性があるので、ある程度の太さを持たせることが大切です。

新聞広告デザイン画像3

 技術的な制約を理解した上で、次は数多くの記事や広告が並ぶ紙面の中で、読者の視線を一瞬で掴むためのデザインのポイントを見ていきましょう。

 新聞読者は、情報を求めて能動的に紙面を読んでいます。
 そのため、心を掴むキャッチコピーは非常に効果的です。デザインする際は、このキャッチコピーが最も目立つようにレイアウトしましょう。大きく配置したり、周りに余白をたっぷりとったりすることで、メッセージの強度を高めることができます。

 フォントは広告の印象を大きく左右します。信頼性が重要な新聞広告では、奇抜すぎる書体は避けた方が無難です。明朝体は格調高い印象を、ゴシック体は力強く分かりやすい印象を与えます。
 また、新聞の読者層には高齢者も多いため、文字サイズは小さすぎず、誰にでも読みやすい大きさを心がけることが重要です。最低でも10ポイント以上のサイズが推奨されます。

 広告内で読者の視線をスムーズに誘導することもデザインの重要な役割です。
 人間の視線は左上から右下へ「Z」の形に動く傾向があります。この「Zの法則」を意識し、キャッチコピー、写真、商品説明、問い合わせ先といった要素を効果的に配置することで、メッセージの理解を助け、読者のアクションを促すことができます。

デザインのポイント

目的

キャッチコピーの配置

広告のメッセージを瞬時に伝え、興味を引く

画像のコントラスト

紙面の中で埋もれず、視覚的なインパクトを与える

フォントの選定

ターゲットに合わせた訴求と可読性の確保

レイアウトの工夫

情報をスムーズに伝え、読者の理解を促進する

 ここでは、過去に話題となり、高く評価された新聞広告のデザイン事例を二つ紹介します。自社の広告を考える上でのヒントにしてください。

 講談社が実施した「頭文字D」連載30周年記念キャンペーンは、ファンの心を掴む緻密なデザイン設計が光る事例です。
 同社は2025年6月6日に朝日新聞と読売新聞の両紙で15段広告を展開し、作者のしげの秀一氏による11年半ぶりの描き下ろしイラストを使用しました。
 特に注目すべきは、2紙の広告を並べると1つの作品になる仕掛けで、作品テーマである「良きライバル同士のバトル」を表現しています。

 地域版ごとに異なるビジュアルを展開し、群馬県版では主人公の父親・藤原文太の特別なイラストを配置するなど、ストーリーゆかりの地への配慮も見せました。
 「#クルマが好きでよかった」のキャッチコピーとともに、コアファン層に感謝の気持ちを伝える構成となっており、SNSでも大きな反響を呼んでいます。
 また、新作「昴と彗星」の初告知も兼ねており、QRコードを活用したデジタル連携も実現しています。
【関連記事】「頭文字D」30周年を記念し、作者の描き下ろしイラストを展開 新聞広告を起点に広がったメッセージ| 広告朝日|朝日新聞社メディア事業本部

 朝日新聞社が2024年3月8日に実施した国際女性デーの特別企画は、新聞広告とSNSを連動させた優れたデザイン事例として注目されています。
 同社は創刊以来初となる試みとして、朝刊1面の題字に黄色いミモザの花をあしらった特別デザインを採用しました。この1日限りの特別な題字デザインは、国際女性デーというモーメントを視覚的に表現し、ジェンダー問題への関心を高める効果を生み出しています。紙面全体では女性に関わる記事や広告を複数面にわたって掲載し、統一感のあるメッセージ発信を実現しました。
 この取り組みはSNSでも大きな反響を呼び、X上で1,403万5,403インプレッションを獲得し、投稿総数は2,626件に達するなど、新聞読者以外の層にもメッセージが届く結果となりました。
 クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏は「ターゲットではなくトピックで区切ることができるのは新聞独自の表現」と評価しており、社会課題を扱う報道機関ならではの企画力が発揮された事例といえるでしょう。
【関連記事】新聞広告で実現したSNS拡散効果 国際女性デーに見る成功事例| 広告朝日|朝日新聞社メディア事業本部

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朝日新聞 媒体資料
「SOLUTIONS & DATA 2025」

朝日新聞の販売部数、配布地域や読者特性などの基本データに加え、朝日新聞デジタルのデータについて紹介しています。
反響のあった広告事例も多数掲載しています。

資料ダウンロードはこちら   

 最後に、新聞広告のデザインで陥りがちな失敗とその対策について解説します。これらのポイントを避けることで、広告の効果をより高めることができます。

 最も多い失敗が、限られたスペースに情報を詰め込みすぎてしまうことです。商品の特長、価格、会社の歴史、お客様の声など、伝えたいことが多いのは分かりますが、情報過多は読者の読む気を失わせます。
 対策としては、前述の通り「伝えたいメッセージを一つに絞る」ことに尽きます。詳細はWebサイトへ誘導するなど、他のメディアとの連携も考えましょう。
【関連記事】「周年」や「○○の日」で効果を最大化! 記念日広告の活用方法を解説| 広告朝日|朝日新聞社メディア事業本部

 デザインのトーン&マナーが、ターゲット層とずれているケースも散見されます。若者向けの商品なのに、高齢者向けの堅いデザインになっていたり、その逆のケースになっていたりすることもあります。
 これを防ぐには、デザイン制作を始める前に、ペルソナ(具体的なターゲット像)を詳細に設定し、チーム全体で共有することが重要です。

 Web広告のように、クリックすれば詳細情報が得られるわけではないのが新聞広告です。広告単体でメッセージが完結している必要があります。
 また、色使いや解像度の考え方も全く異なります。新聞広告特有の制約などを理解せず、Web広告と同じ感覚でデザインすると、意図が伝わらないだけでなく、読者に違和感を与えてしまいます。必ず新聞広告の特性を理解した上で、デザインを進めましょう。


まとめ

 新聞広告のデザインは、単に見た目の美しさを追求するだけではありません。新聞という媒体の特性と技術的な制約を深く理解し、明確な戦略のもとで情報を整理し、読者の心に響く表現を追求する取り組みです。
 この記事で紹介した基本の考え方やポイントを参考に、ぜひ読者の記憶に残り、ビジネスの成果につながる新聞広告を制作してください。

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新聞広告の強みとは?信頼性と到達率の高さで企業メッセージを効果的に届ける

CONTENTS
・新聞社の強み
・各メディア広告との相乗効果
・事例紹介
・読者特性

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