人生をプロデュースして社会課題に対応する卒業生を 新聞とWEB両輪でリアルに発信

 同志社女子大学は、社会で活躍する卒業生へのインタビューを通して、自らの力で未来を創造する人材を育む大学の姿を伝える広告を、朝日新聞GLOBE+編集部のディレクションによる広告企画として制作。朝日新聞朝刊と、朝日新聞のWEBサイト「GLOBE+」で同時に掲載しました。創立150周年を4年後に控え、豊かな歴史と伝統をもとに、時代の変化に柔軟に対応し、社会の期待に応えている大学のイメージを広く発信できたと話す同志社女子大学広報部広報室広報課の川添麻衣子氏に、新聞とWEBを組み合わせた今回の広告展開の意図や今後の大学の広報戦略について聞きました。

年代や地域を超えて幅広く届く
デジタルコンテンツの活用に手応え

 同志社女子大学の全面広告は大学の創立記念日にあたる2021年10月24日の朝日新聞朝刊に掲載された。創立以来の「国際主義」と「リベラル・アーツ」が 世界に通用する力を醸成する――。大きなメインコピーとともに目を引いたのは、いま社会で活躍する二人の卒業生の大きな写真。テレビ局と製薬会社に勤務する二人のインタビューを中心としたこの紙面は、朝日新聞GLOBE+編集部の企画によるもので、海外特派員が世界各地で現場を取材し、いま世界で起きている社会問題を「自分ごと」として考えられる記事を多数掲載するGLOBE+ならではの切り口が生かされた。朝日新聞のWEBメディア「GLOBE+」でも同日掲出がスタート。グローバル化と情報化が急速に進む中、伝統と進取の気風に富んだ京都の地から、知性と感性豊かな女性たちを数多く輩出する同大学が、新聞とWEBの二つのメディアで同時に発信した。

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2021年10月24日 大阪本社版朝刊 15段カラー972KB

 同志社女子大学の川添氏は今回の出稿の動機を、「本学ではこれまでデジタルサイトへの広告掲出の実績がありませんでした。新聞に親しんでいる年代の方々に加えて、世界情勢に詳しい『GLOBE+』にも並行展開することで、年代を問わずビジネスパーソンの皆様にメッセージを届けられるのではないかと考えました」と振り返る。
 社会全般とつながりがある大学として、マス媒体である新聞を利用した社会とのコミュニケーション活動は外せない。また、朝日新聞社も豊かな経験と実績を持つ編集者が、新聞・WEBに関わらず、深い洞察力で読者の共感を得るコンテンツ提案に力を入れている。そこで、ターゲットをより明確にできるWEBメディアを組み合わせることで、メッセージをさらに効果的に広がりを持って発信できると判断。「デジタルコンテンツは出稿する地域に制限がなく、幅広い方々に本学の魅力を伝えられると実感しました。今後もデジタルに力を入れていきたい」と川添氏は話す。

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編集長コラムも加わり
今の時代を生きる女性像を紹介

 インタビューには、大阪のテレビ局で活躍するアナウンサー(2010年3月卒業)と、京都の製薬会社で医薬品原料の輸入業務にあたる会社員(2009年3月卒業)が登場。同志社女子大学を志望した経緯から、大学での授業や研究に関わる思い出、就職活動の際の大学のサポート、現在の仕事で役立っている点などが率直に語られた。アナウンサーは学芸学部情報メディア学科(現・メディア創造学科)で学んだ多角的に物事を見る力が、今も仕事の基礎になっていると回顧。また、薬学部で過ごした会社員は、アメリカ短期留学での経験が海外と交渉する上での原動力になっていると明かし、やりがいを持って毎日を過ごす姿を浮かび上がらせた。

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川添氏

 「お二人とも、卒業後同じ仕事を続け、結婚や出産などライフイベントも経験されながら、着実にスキルアップされています。何事にも真摯に取り組む姿勢、自分の力の生かし方や周囲と協働する力などを伸ばしてこられたと想像します。主体的に自分の人生をプロデュースするという、本学が目標とする女性像をうまく引き出してくださったと感謝しています」と川添氏は話す。
 記事には、二人のインタビューを受ける形で、朝日新聞GLOBE+の堀内隆編集長のコラムも掲載された。グローバル人材を目指す上では、「私は社会に何ができるか」を問う力が大切だと指摘。気候変動や感染症、移民など課題が山積する現代、「大学で身につける幅広い視野と深い教養は、どんな場所でも生きる生涯の財産になります」とエールを送った。

大学の姿勢を正確に発信
無意識の偏見をなくす

 同志社女子大学は、1876(明治9)年に同志社の創立者新島襄と妻・八重らが設立した女子塾を起源とする。キリスト教主義、国際主義、リベラル・アーツの三つを教育理念に、学問を越えた幅広い教養を身につけることができる総合女子大学で、学芸、現代社会、薬、看護、表象文化、生活科学の6学部11学科と1専攻科、大学院を開設。関西文化学術研究都市に位置する京田辺キャンパス(京田辺市)と、京都御苑の北側に接する今出川キャンパス(京都市上京区)で多くの学生が集う。

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京田辺キャンパスにて

 「本学には150年近くにわたって女子教育を行ってきた歴史があります。長く培われてきたノウハウを生かし、社会の変化に柔軟に対応して、その時代に必要とされる人材を育成していけることが強みです。女子大学と聞けば、『お嬢さま大学』とのイメージを持つ方が依然として少なくありません。どのような人材の輩出を目指している場所なのかを、企業で実際に活躍する卒業生の姿を通して正確に伝える必要があると考えました」と川添氏。女性だけが学び、集うことで、性別によるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が存在しない点が女子大学の特徴の一つと指摘。多様なバックグラウンドを持つ一人ひとりの『個』を尊重し、お互いを理解し高め合いながら、学びを深めていくことができることで、卒業後にさまざまな社会課題の解決をリードする人材の育成につながると強調する。

「GLOBE+」で“地続き感”
新聞紙面のインパクトも健在

 川添氏は「GLOBE+」とのタイアップを選んだ背景に、グローバル人材の育成を目指す大学と、世界の課題を取り上げる「GLOBE+」の親和性が高い点をあげた。「大学から一方的に広告を発信するのではなく、『GLOBE+』の視点を通すことで、読者との“地続き感”が生まれたように感じます」と評価する。朝日新聞では新聞紙面制作で培われた企画力や取材力、情報をわかりやすくまとめる編集力を発展させ、世代や趣味嗜好、ライフスタイルにフォーカスした30を超える多彩なWEBメディアを展開。川添氏は「読者の特性やターゲット別にさまざまな企画が揃えられており、目的や時期に合わせて総合的な広報展開ができます」と期待を寄せた。

 新聞に対しては多メディア化が進む中にあって、各種調査で正確性や信頼性の高さでトップを維持している点を指摘。世界の時事問題から生活に根ざした細かな情報まで総覧的に取り上げる新聞は、リベラル・アーツを志向する大学にとって、世の中の幅広さを映し出す貴重な存在だと評価する。「特に朝日新聞は教育関連のニュースが充実し、教育に携わる者には最も身近なメディアです。読者へのインパクトが強く記憶に残りやすい紙面と、社会のニーズに細かに応えるデジタルコンテンツを使い分ける有効性を実感しました」
 今回の広告には、掲載後に学内外の人から多くの声があがるなど大きな反響があった。WEBサイト「GLOBE+」は朝日新聞社が行ったアクセス解析でも、当初の想像以上に幅広い層に広く読まれたことが明らかになった。「企業の方には本学が輩出する人材像をPRでき、在学生の就職活動に良い影響が出ることを期待しています。受験生の保護者の皆様にも、本学の教育について具体的に理解いただけたと思います」と川添氏。

「個」が重視される時代
創立150周年に向けて魅力を発信 

 同志社女子大学は2026(令和8)年に創立150周年を迎える。2016年には大学の未来構想「Vision150」を策定。150周年までの10年間を最初の5年間(第1期)と次の5年間(第2期)にわけ、5年間ごとの中期目標と、それを達成するための重点的な取り組み事項としてアクションプランを設定した。そのコンセプトとして、「21世紀社会を女性の視点で『改良』できる人物の育成」を掲げ、広報の方向性も明文化。受験生や保護者向けの入学広報と並び、社会とのコミュニケーションを形成する「大学広報」も柱の一つに位置づけた。

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 川添氏は「新型コロナ禍では、自分自身と向き合う時間が増え、『個』を重視する傾向が強まったと聞きます。社会の変革に柔軟に対応しながら、周囲と手を携え、国内外の課題の解決に導く行動力を備えた女性を輩出する大学の姿勢を、新聞社の持つ紙面とWEBメディアのコンテンツを組み合わせて、広く発信していきたい」と結んだ。