Z世代の声を伝え社会を変えるメディアへ エッセイ投稿メディアが目指すもの

「私は変わらない、社会を変える」をテーマに「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことを目指すエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」(運営:サムライト株式会社)。かがみよかがみ編集長の伊藤あかりさんに、現在の活動や今後の目指す姿を聞きました。

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「私は変わらない、社会を変える」エッセイ投稿メディア

──「かがみよかがみ」とはどのようなメディアですか?

18~29歳女性を対象としたエッセイ投稿メディアです。今年、2023年の8月で4周年を迎え、これまでに配信した本数は約17,000本、エッセイ投稿者数は約5,000人にのぼります。エッセイ投稿者のことを、私たちは「かがみすと」と呼んでいるのですが、かがみすと の書いたエッセイがコンテンツの90%以上を占めます。加えて、かがみすと たちの価値観や生き方を体現する存在として芸人のヒコロヒーさんや元AKB48の峯岸みなみさんら、著名人のコラムを掲載しています。

「かがみすと」は、ライター志望の方から、「初めてこんなに長文文章を書いた!」という方まで様々です。共通するのは、「かがみよかがみ」のコンセプトである「私は変わらない、社会を変える」への共感です。

いわゆるZ世代と呼ばれる「かがみすと」は、MeTooやKuTooなど、SNSを通じて一人の声を発端に「社会を変える」ことの大切さを実感しています。だからこそ、自分たちの声で社会をよくしていきたいという思いが強いのだと感じています。

恋愛・家族から社会課題まで 多様なエッセイから見えるZ世代のリアルな声

──エッセイ投稿サイトを運営する上で、気を付けていることはありますか。

「この話は親にも彼氏にも友達にもしたことがない。初めてここで話した」と、過去にあったつらい出来事を書いてくださる方がたくさんいらっしゃいます。中には性被害の悩みや、過労死直前まで追い詰められた話、摂食障害で苦しんだことなどもあります。そうした声を一番最初に受け止める場所として、「かがみよかがみ」は選ばれているのです。

──投稿型メディアではnoteがありますが、「かがみよかがみ」ならではの特徴とは?

noteとの違いはいくつかありますが、「編集者がいる」ということが大きいのかなと思います。noteだと書きっぱなしで「本当に誰か読んでいるのかな?」と不安になるなか、最低一人はコメントをくれる読者(=編集者)がいるということで安心して書けるのだと思います。 

そのため、エッセイを最初に読む「かがみよかがみ」の編集者に大事にしてもらっているのは、そんな声を形にしてくれたことに対する感謝の気持ちです。かがみすと の皆さんとは原稿を通じて温かな関係が生まれていて、「編集者のコメントで救われた」という声を度々もらいます。

また、誰が読んでいるかわからないnoteに比べて、「こういう書き手と、こういう読者が集まるサイト」とかがみよかがみの世界観が見えていることも安心感につながるのかなと思います。

──エッセイのテーマはどのように決めているのでしょうか。

「かがみよかがみ」では週に1度、エッセイテーマを決めて募集しています。募集テーマは2パターンあります。一つは、かがみすと が書きやすいであろうテーマ。例えば恋愛や家族など、普段から考えたり悩んだりするようなテーマです。もう一つは、社会的に関心を集めていたり、かがみすと に関係する企業が知りたいだろうなと思うテーマです。

「かがみよかがみ」は、社会や企業とZ世代の架け橋を担うことも目標としています。例えば、「Z世代って環境についてどう思ってるの?」や「Z世代にとって料理ってどんな意味があるの?」などの問いかけを通じて得られた気づきを、行政や企業などに生かしてもらいたいと考えています。

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Z世代のインサイトに迫る!143名に聞いたZ世代のホンネ

朝日新聞社のグループ会社であるサムライトでは、Z世代143人に聞いた42問の調査結果と Z世代マーケティングに有効なコンテンツとは何かをまとめたホワイトペーパーを作成しました。 マーケティングに携わる方はぜひご覧ください。 (サムライト サイトに遷移します)

──「かがみすと」とはどのような交流を?

エッセイ投稿は18~29歳女性に限定しているため、「卒業生」もたくさん生まれています。せっかく応援してくれているのに、一緒に活動できないのはもったいない。そこで、「卒業生」をはじめ、かがみよかがみの理念に共鳴してくれる方たちと一緒に社会を変えていく「アクションチーム」を組成しました。すでに4,000人以上とLINEで繫がっています。11月からは月に一度、かがみすと とアクションチーム向けの「かがみ編集部公開ミーティング」も開催予定で、編集部の思いを伝える場をつくりました。

これまでは、「社会を変える!」と言いながらも、「書く」「伝える」しかできなかったことが課題だったのですが、アクションチームでは実際に「変える」まで動いていくことを目標にしています。

「かがみすと」の声を行政へ届ける

──「社会を変える」ために具体的にどのような活動をされているのでしょうか。

かがみよかがみを運営する「サムライト株式会社」は、今年の8月にZ世代マーケティングの拠点を徳島に移し「徳島ミライラボ」を立ち上げました。そこで、私もラボ長として徳島市に移住したんです。 

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徳島ミライラボ(眉山を一望できる)

そうしたご縁もあり、2023年10月4日に徳島市と「包括連携協定」を結びました。結んだ項目は5つで、SDGsの推進▽若者活躍▽女性活躍▽市の魅力発信▽その他地域の活性化及び市民サービス向上について、です。

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包括連携協定締結式の様子 
(左から)サムライトの奥山晶二郎CCO、池戸聡代表取締役社長、徳島市の内藤佐和子市長、伊藤あかり氏

私たちは、かがみすと たちの声を行政に届けたい。徳島市は未来を担う若者の声を聞きたい、こうした両者の思いが一致して、協定を結ぶことになりました。

2023年11月18日(土)にはキックオフミーティングとして、東京・築地で「東京視点の移住サポートを考える!地方移住を渋る本音を語ろう」をテーマにグループワークをする予定です。そこで出た案を後日、徳島市長に提案に行き、市長からフィードバックをもらうということを想定しています。ご興味のある方、ぜひ参加お待ちしております。

かがみよかがみ_キックオフミーティング

詳細はこちら(イベントは終了しました)

──徳島市の反応は?

 徳島市は若い世代の声を知りたくても、知る手段がなかなか見つからなかったため、今回のような提案を喜んでくれています。12月には徳島市のZ世代を集めて、「阿波おどりどうやって盛り上げてく?」「コワーキングルームをどうやって盛り上げる?」などより個別具体的な提案をしていく予定です。

「伝える」から「アクション」へ かがみよかがみ から社会を変える活動へ

 ──今後はどんなことに挑戦したいですか。

徳島市の事例をモデルケースに、行政や企業にZ世代の声を届ける、そんな役割をかがみよかがみが担っていけたらいいなと思っています。

また、発信の仕方もこれまでのように「記事にする」だけではなく、ポッドキャストを使うなど模索しているところです。

ポッドキャスト「わたしと社会の話」Z世代の本音を探るラジオ
放送はこちらから!

これからのメディアは、従来のような問題点を指摘するだけでは自分たちの役割を果たせなくなっていくでしょう。「では、どうすればいいか」まで関わらないといけないし、関わりたい。かがみよかがみでは「伝える」のその先、社会を変えるまで実現していきたいと思います。

サムライトと一緒にZ世代マーケティングを成功させませんか?


伊藤あかり(いとう・あかり)

2009年朝日新聞社入社。 奈良、徳島で警察、高校野球、県政、災害などを記者として取材。 紙面編集者を経て、2017年にミレニアル女性向けウェブ「telling,」の立ち上げにかかわる。 2019年に社内の新規事業コンテストに応募、「かがみよかがみ」を立ち上げ編集長になる。事業移管により、2023年4月からサムライトへジョインし、現在徳島ミライラボ長として赴任し、「Z世代×地方創生×女性活躍」を軸に関西・四国から事業展開を始めている。
●徳島ミライラボでの取り組みの様子はこちらから