
ボディーコピーは学長が執筆
──昨年10月4日に新聞広告を掲載した背景について聞かせてください。
大貫氏 掲載日の10月4日は日本大学の創立記念日にあたります。この日に、学長として日本大学の改革を推進していく決意とともに、「自主創造」の教育理念や「学生第一」の教育方針をあらためて発信しました。正面から改革に取り組む決意を視覚的にも伝えるため、正面を見据えた写真となりました。
撮影を担当されたレスリー・キーさんからは、「大学の将来像を思い浮かべながらカメラのレンズを見てください」とアドバイスをいただきました。思いは必ず表情に出ますからと。

林氏 大貫学長は控えめな人なので、最初は一人で広告に登場することに躊躇もあったようですが、学長の若々しい姿を通してキャッチコピーに掲げた「新しい日大」を印象づけられたと感じています。ボディーコピーの真摯なメッセージは、学長自身が書いています。
──新聞広告にあるQRコードから特設サイトにアクセスすると、大貫学長が各学部を訪問し、学生たちにインタビューする動画「学長がいく!日大生に突撃インタビュー!」を見ることができます。広告のボディーコピーの中に、「自らキャンパスに出向き、直接の声に耳を傾け、それぞれの『個』にあわせた教育を推し進めてまいります」という一文がありますが、すでに実行されています。
大貫氏 私自身が日本大学出身で、学生第一の大学であることを体感した一人です。現在は現役の教員でもあります。ボディーコピーの内容は、私が普段教員として心がけていることを率直に書いています。学生の声に耳を傾けることも当然のこととして行ってきました。日本大学にはこういった土壌があることを広く世間の皆様に知っていただきたいです。
──広告の反響はいかがでしたか?
大貫氏 今回の企画は、本学の信頼回復に努める決意を、卒業生を含む世間の皆様に示す目的もありました。学長に就任以来、林理事長とともに全国各地の校友会を回って意見交換を行っていますが、新聞広告について多くの好評をいただいています。
朝日新聞の読者モニターアンケートでも、「日大にとって良い再スタート」「今後に期待している」といったポジティブなご意見を多くいただきました。大学改革の実現性を問う声もありましたが、着実な実践と成果の発信という形でお答えしていくつもりです。
林氏 私のところにも「新しい学長さんはとてもすてきな方なんですね」と驚きの声がたくさん届いています。日大のイメージアップにつながる広告になったと思います。
17人の学生がレスリー・キー氏とフォトセッション

──今年1月19日に展開した見開き30段広告の狙いについて聞かせてください。
大貫氏 日本大学は認知度が高い一方で、どんな学部があるのか、どんな学生たちが学んでいるのかなどについてはご存じない方がまだ多く、コミュニケーションの課題としてきました。
本学は、この広告のボディーコピーにもあるように、16学部に加え通信教育部を擁する、わが国最大の総合教育機関です。何よりの長所は、文系・理系・医歯薬系のありとあらゆる学問分野が共存している点にあります。いわば多様性の宝庫で、それを一目で理解していただくため、16学部から各1人、通信教育部から1人、合わせて17人の学生たちの姿を1枚の写真で届けました。
この新聞広告と、教職員を代表して私がメッセージを届けた新聞広告を連動させることで、本学の教育のすべては学生のためであり、主役は学生であることを広くアピールする狙いがありました。
また、この2つの新聞広告と同じビジュアルのポスターを学内や本学の最寄り駅周辺に掲示しました。こちらも学内外から好評をいただいています。

林氏 レスリーさんが学生たちと対話しながら17人それぞれのすてきな個性を引き出してくださいました。一流のフォトグラファーとのセッションは、学生たちにとってすばらしい体験になったようです。レスリーさんからは、「将来日本のリーダーになる人たちだと思って撮影した。それぞれしっかりと芯を持っている学生たちで、おかげでいい写真が撮れた。楽しい仕事だった」という言葉をいただいています。
また、出稿のタイミングを大学入学共通テストの試験日にしたことで、より注目度が高まったのではないかと考えています。こちらの紙面もQRコードから特設サイトに飛べるようになっており、学生たちが学部を超えて交流しながら撮影を楽しむ様子を動画で見ることができます。私自身も日大の同窓生ですので、学生たちがいきいきと輝いている姿を誇らしい気持ちで見ました。

──「主役 ひとり、ひとり。」というメインコピーやボディーコピーの内容も印象的でした。
大貫氏 本学は日本最大の規模を生かし、入学から卒業まで、キャリア形成をきめ細かくサポートしています。近年は教学DXに力を入れており、豊富なデータをもとに学生一人ひとりの学びの実態を把握し、夢の実現に向けた学びをサポートするオーダーメイド型の教育を推進しています。こうした取り組みを「主役 ひとり、ひとり。」というメインコピーや、「個性あふれる学生の思い描く物語を、夢で終わらせない」といったボディーコピーに込めています。
林氏 大貫学長も私も、「日本大学の主役は、学生です」というコピーに込めた思いを学生たちと共有したいと考えています。
学生たちの笑顔で大学を明るくしたいとの思いから始めた「スマイルキャンパスプロジェクト」もその一環です。昨年は大貫学長と一緒に各学部のキャンパスに赴き、若者に人気のドーナツを配りました。学生たちが歌のパフォーマンスで歓迎してくれたり、新しい学長との対話を楽しんでくれたりと、とても有意義な時間となりました。今後も「自分たちが主役」と感じてもらえるような交流を続けていきたいと思っています。
──1月19日に展開した広告の反響はいかがでしたか?
林氏 朝日新聞の読者モニターアンケートでは、「多様性を感じた」「いろんな学生がいて、楽しそうな学生生活が送れそう」「さまざまな境遇の若者たちがより良い日本を築いていってくれるよう応援したい」「おしゃれで洗練された広告」など、たくさんのポジティブなご意見をいただきました。

信頼回復に適したメディアとして朝日新聞を選択
──コミュニケーションにおいて朝日新聞を活用した理由について聞かせてください。
大貫氏 朝日新聞は教育系に強いメディアとして定評があります。また、本学の学生の保護者や卒業生の皆さんに多く読まれているメディアでもあります。何よりも今回は、日本大学の現状と未来への展望を伝え、信頼回復を目指すことをコミュニケーションの主眼に置いていましたので、信頼性の高い新聞メディアを選択しました。
林氏 私たち作家の間では、朝日新聞に書籍広告が掲載されると本がよく売れるという認識があり、つまり知的な方々が読むメディアという信頼感があります。ちなみに私自身は親の代から朝日新聞の読者で、大学時代も四畳半のアパート暮らしをしながら朝日新聞を購読していました。
──2025年度の日本大学の志願者数(一般選抜)は9万2000人を超えて前年比で約120%となり、大幅に増加しました。今後、さらにどのようなことを発信していきますか?
大貫氏 日本大学は学生数も卒業生数もわが国最大で、その数の多さこそが、データやAIを駆使した教学DXを進めるうえでの強みです。また、新聞広告でもお伝えしたように、多様性も本学の誇れる特長です。具体的には、所属する学部で専門性を高めるだけでなく、複数の学部や分野を横断して専門外の人々と交流し、知見を広げ、イノベーションを起こしていけるような環境が整っています。こうした強みや特長を今後も積極的に発信していくつもりです。
林氏 本学のスケールメリットや「学生第一」の教育サポート体制を積極的にコミュニケーションしていく中で、「日大の学生がうらやましい」と言っていただける状況になりつつあると感じています。今後も大貫学長のもと、日大の取り組みを知っていただく活動に力を入れていきたいと思っています。
