外国客船による日本発着クルーズのパイオニア、プリンセス・クルーズ。そのジャパンオフィスであるカーニバル・ジャパンの堀川 悟代表取締役社長に、今年のトピックスや新たなチャレンジについて聞いた。
──クルーズを取り巻く現況について、どのように捉えていますか。
日本でクルーズ旅行が注目され始めたのは、バブル全盛期。旅程が長く高額のクルーズが注目され、世界一周に数千万円という商品が華やかに宣伝されていました。当時は利用者の総数が少なく、船も現在のように大型化されておらず、天候によっては大きく揺れました。また、設備やサービスなどの情報も十分でなかったため、船内で退屈してしまうのではと思われて、その結果、「高額・船酔いする・退屈」というネガティブなイメージがつき、マーケットは長く伸び悩んでいました。ちなみに昨年のアメリカのクルーズ利用者は約1,100万人、中国は約100万人、対して日本は約22万人です。利用しやすい価格やプランを提案し、クルーズに対する誤ったイメージを払拭(ふっしょく)していきたいと考えています。
──ビジネスの成長に向けて注力していることは。
シニア層やリピーターへの訴求に加え、身近な旅の選択肢としてクルーズに興味が薄いとされる層や、未体験層、若年層、ファミリー層など、新規開拓にも力を入れています。
飛行機と違い、移動中にエンターテインメントやスパなどを楽しむことができ、夜はベッドでぐっすり眠れる。移動のたびに荷物をパッキングする必要もない。帰りの心配をせずにお酒に酔うこともできる。ビギナーのお客様の多くが、「また乗りたい、やみつきになりそう」と言ってくださいます。実際、リピーター率はとても高いんです。
クルーズの魅力を知っていただくには、一にも二にも体験していただくこと。初回のハードルを下げるため、様々な割引特典を展開しています。また、インターナショナルな雰囲気を言葉の不安なく楽しめるように日本語スタッフを約100名乗船させたり、日本式大浴場の新設など日本のお客様に向けたサービスを充実させています。
──今年のトピックスは。
2017年日本発着クルーズでは、寄港地を巡り、バラエティー豊かな食事や、各種エンターテインメントが楽しめる上質な旅を、1日1万円台からご用意しています。また、現役世代はなかなか長期休暇が取れないので、6日間のショートクルーズを増やすなどの工夫もしています。
さらに今年、30代から70代までの5人の輝く女性にクルーズの『新体験』を発信していただくプロジェクトを始動。女優の萬田久子さんや、美容・生活アドバイザーの佐伯チズさんらの乗船体験を随時発表していく予定です。
──人気のクルーズは。
沖縄や台湾をめぐるクルーズ、ねぶたなど東北の夏祭りが楽しめるクルーズ、北海道周遊とサハリンを巡るクルーズなどが人気です。今後も魅力的なプランをどんどん発信していきたいと考えています。──マーケット拡大における課題は。
一つは、日本人の休暇の短さ。もう一つは、港の混雑です。特に港の混雑は各地で深刻化しており、整備が求められます。地域の活性化やインバウンド対策にもつながる大事なことだと思います。
私はDFSに勤めていた2002年、国内旅行でも免税品を購入できる日本初の免税店「DFSギャラリア・沖縄(現・Tギャラリア 沖縄)」の設立に奔走しました。この時と同じく、国や自治体への働きかけを続けています。
──リーダー信条は。
既成概念にとらわれず新しいことにチャレンジする。ターゲットに向かって迷わずに努力する。こうしたことを信条としています。
──愛読書は。
『無一文の億万長者』は、以前勤めていたDFSの創業者の1人、チャールズ・フィーニー氏の崇高な生き方を知ることができた一冊です。『ザ・シークレット』は、「この宇宙には、自分が強く思い描いていることを実現する『引き寄せの法則』が働いている」という内容に共感しました。
カーニバル・ジャパン 代表取締役社長
1955年東京生まれ。79年ハワイ大学商学科経営学部卒。80年ジェットツアーハワイ入社、旅の手配や企画に携わる。87年日本DFS入社。2002年沖縄DFS代表取締役。05年DFSグループLPハワイ/北アメリカのセールス&マーケティング副社長。06年イシン・ホテルズ・グループ入社。11年大河アセットマネジメント入社。14年カーニバル・ジャパン入社。15年9月から現職。
※朝日新聞に連載している、企業・団体等のリーダーにおすすめの本を聞く広告特集「リーダーたちの本棚」に、堀川 悟氏が登場しました。
(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)
広告特集「リーダーたちの本棚」Vol.93(2017年1月25日付朝刊 東京本社版)3.8MB
「リーダーたちの本棚」の連載が書籍化されました。詳しくは以下の関連記事をご覧下さい。
【関連記事】
■朝日新聞広告特集「リーダーたちの本棚」の連載が書籍化『私をリーダーに導いた250冊』が刊行