インパクトのある紙面を認知拡大のきっかけに
激辛で人気の「ブルダック」が、初の新聞広告

 韓国発で激辛が特徴の麺製品「ブルダック」ブランドを展開する三養(サムヤン)ジャパンが、9月8日(金)の朝日新聞朝刊(東京都内版)に、同社初となる新聞広告を掲載した。紙面ではグローバルキャンペーンの「PlayBuldak」と、購入レシートで応募する日本独自の「プレゼントキャンペーン」を紹介。出稿の背景や狙いについて、代表取締役社長の洪範準(ホン・ボムジュン)氏とマーケティングチームマネージャーの今井詩文氏に聞いた。

ダンスチャレンジでグローバルマーケティングを加速

 ブルダックは、辛すぎ!でも旨すぎ!という一度食べたらやみつきになる味わいが特徴のインスタントラーメンのブランドだ。2012年に韓国の三養食品が発売し、動画配信サイトやSNSでインフルエンサーが商品を食べる動画やアレンジレシピが注目を集め、日本をはじめとする各国でも人気が拡大。2019年に日本法人の三養ジャパンが設立された。20237月にはブルダックブランドの累計販売数が50億個を突破した。

三養ジャパン)紙面20230908_東京都内版_ 2023年9月8日付 朝刊(東京都内版) 全15段2.3MB

 そんなブルダックブランドのグローバル展開をさらに加速させるべく、スタートしたのが「PlayBuldak」ダンスチャレンジだ。オリジナル音源に合わせて振付を真似し、SNSにアップロードするという企画で、TikTokを中心に日本や韓国、タイ、中国などアジア各国で実施。韓国の人気アイドル(G)I-DLE(ジー・アイドゥル)がメインモデルとして参加し、K-POPファンの間でも話題を集めた。

 韓国のアイドルを起用したキャンペーンを日本で展開するのは、同社にとって初めてのこと。X(旧Twitter)のリポストキャンペーンなどこれまで得意としてきたSNSの施策に加え、渋谷のスクランブル交差点(東京)、道頓堀と梅田(大阪)では大型ビジョンで動画広告を展開。今回の新聞広告は、そんな大型キャンペーンの一環として出稿されたものだ。

 「これまでブルダックは、辛いという商品特性を生かしてチャレンジをキーワードにマーケティングを進めてきましたが、今年から“PLAY”、つまりもっとブルダックを楽しんでもらおう、とステップアップしています。この背景には、みんなで笑顔で食べる商品にしていこう、コミュニケーションのツールとして団らんのなかに自然に存在したい、という想いがあります。必然的に広告戦略も変えて、SNSだけでなく、さまざまなメディアをミックスする必要があると判断。そこで選択したのが新聞広告です。若い年代を中心に人気を得てきた商品ですが、幅広い層にアピールし、認知を拡大したいと考えました。
また近年、新聞広告を起点にSNSで話題になる事例も多数確認していましたし、インパクトのある紙面にすることでSNSへの波及効果も見込みました」(今井氏)

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洪氏

 当初、代表取締役社長の洪氏は、韓国と日本の文化の違いもあって、出稿には二の足を踏んでいたという。

 「これまでの若いターゲット層以外の方々にもアピールする必要があることは課題でした。ただ韓国では多くの世帯で新聞が紙からデジタルに切り替わっていて、紙の新聞が話題になることは少ないんです。しかし今井から日本ではまだまだ紙の新聞広告は話題になります!と熱いプレゼンを受けまして(笑)。じゃあやってみるかと出稿を決めました」(洪氏)

商品の豊富なラインアップをデザイン 新聞の読者層にアピール

 今回、新聞広告の出稿が初めてということもあり、朝日新聞社のクリエイティブチームと密にコミュニケーションをとって制作を進めたという。「購入につなげるため、対象期間が長いレシート応募キャンペーンをメインにしたい」「フレーバーや商品タイプが豊富なことがパッと見て分かる紙面にしたい」という意向を一つ一つ相談しながら、紙面デザインを固めていった。

 「バリエーションが豊富にあることがあまり知られていないという課題を相談したところ、商品をにぎやかにずらりと並べるデザインを提案していただきました。紙面で目立つようなカラーリングにしたいというオーダーにもしっかりと応えていただき、デザインは比較的スムーズに決まりました。ただ掲載にあたって韓国の三養食品にも確認を取ったのですが、ブルダックブランドとしてのレギュレーションが思った以上に多く、“これで行こう!”となってからも何度も修正をお願いすることに。しかしその都度、スピーディーに反映していただき、掲載まで安心してお任せすることができました」(今井氏)

 こうして初となる新聞広告が9月8日(金)朝日新聞朝刊(東京都内版)に掲載された。今井氏の狙い通り、赤を基調とした紙面はインパクト大。これまでブルダックを知らなかった人たちへもこの紙面を通じて、自己紹介ができたのではないだろうか。

 強いインパクトのデザインが功を奏したのか、掲載日にはプレゼントキャンペーンへの応募数が増加。Xでも(G)I-DLEファンを中心に、「朝日新聞に載ってた!」と喜ぶ声が紙面の写真とともにポストされた。

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今井氏

 「紙面を見てキャンペーンに参加してくれたという声も多く、(G)I-DLEファンなど、従来のターゲット層にもしっかりと届いたことが確認できました。なかには当社の公式アカウントに連絡をくれた方もいて、新聞広告を通して、消費者の方々と深くコミュニケーションを取ることができました。また新聞を見ながら家族間でブルダックの話題が出たというエピソードも聞き、幅広い層に認知を広げるきっかけになったと感じています」(今井氏)

 また反響は思わぬところにも。それは洪氏のスマートフォンだ。洪氏は「数名から“新聞広告を見たよ”という連絡が届き、驚くやら、嬉しいやら、でした。思わず“たくさん買ってね”と返信しましたよ。今回の出稿で、日本における新聞広告の効果がよく分かりました」と笑いながら振り返った。

新聞広告の印象は後から“ジワジワ”と効いてくる

 同社初となる新聞広告についてどのような感想を持ったのか、洪氏と今井氏は次のように話す。

 「新聞という媒体を試すいい機会だったと感じています。たとえばこの紙面を見た人がすぐにブルダックを買いに走ってくれるとは考えていません。ただ後々、スーパーなどで見かけたときに“ああ、あれね!”と思い出してくれる人は多いはず。このように後から“ジワジワ”と効く形で印象を残せるのが新聞という媒体の魅力ではないでしょうか」(洪氏)

 「今までのマーケティングでは絶対に届かなかったであろう層の目にも触れられたところが、今回もっとも手応えを感じている点です。社長が話した通り、“このビジュアル見覚えがあるな”と思ってもらえることが認知拡大において重要な一歩。そういう意味では効果がしっかり出せた広告になったのではないかと思っています」(今井氏)

 韓国発のインスタントラーメンブランドということもあり、今後もK-POPカルチャーとのコラボレーションを活発に行っていくのか、洪氏に尋ねた。

 「日本で長く愛される、生命力のあるブランドにするためには、韓国のカルチャーにこだわる必要はないと考えています。韓国になじみのない人にとっても、“辛い麺といったらブルダックだよね”と思われるように、日本の食卓に自然にのぼるのが理想の姿。その段階まで引っ張り上げるには時間がかかると思いますが、目標へと近づけていきます」(洪氏)

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