新聞社との共催で、日本社会の「はたらきがい」向上を目指す 「はたらく人ファーストアワード」

 多様な「はたらきがい」を認め、働く一人ひとりを大切にしている企業を表彰し、その取り組みを発信することで「はたらく人ファースト」な社会を実現する――。そんな理念の下、パーソルグループのミイダスと朝日新聞社の共催で、昨年、第1回「はたらく人ファーストアワード」が開催された。6月から第2回の募集が始まるこのアワードの狙いや反響について、ミイダス執行役員CMOの越智道夫氏に聞いた。

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リソースがなく、現状を把握できない中小企業の「はたらきがい」向上を支援

――まずは御社が「はたらく人ファーストアワード」を立ち上げた背景や目的を教えてください。

 現在、日本社会は人手不足や生産性の低さ、働く人のミスマッチなどが課題となっています。これらの解決には、働く一人ひとりを大切にし、「はたらきがい」を高めることが大切です。でも会社の「はたらきがい」を高めるには、まず働く人が自分の会社をどう思っているのか、会社の課題は何なのかを、データをもとに分析する必要があります。
 しかしそのような分析ができるのは、リソースやノウハウをもつ一部の大企業に限られていました。日本社会全体の「はたらきがい」を向上させるには、企業の大小を問わず「はたらきがい」を向上させることが不可欠です。そこで私どもが、自社の「はたらきがい」を分析するためのノウハウやツールを無償で提供し、中小企業でも気軽に参加できるアワードをつくることにしたのです。

――優れた取り組みを行なっている企業を表彰するだけでなく、むしろまだ取り組めていない企業を支援するところに力点があるわけですね。

 そうなんです。私どもはこのアワードのために、働く人のエンゲージメントをアンケート集計し、その会社の「はたらきがい」を見える化する「はたらきがいサーベイ」という無償のサービスを開発しました。これを使えば中小企業がコストをかけずに、自社の「はたらきがい」の現状や課題を定量的に把握したうえで、対策や取り組みを進めることができます。アワードへの応募をきっかけに、「みんなで会社のはたらきがいを高めよう」との社内機運が高まり、各部署や従業員の協力も得やすくなります。さらに優れた取り組みやノウハウを広く発信することで、社会全体に「はたらきがい」のある会社が増えていく。それが私どもの一番の願いです。

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―― 朝日新聞社との共催というかたちで、タッグを組んだ狙いはどこにありますか。

 「はたらきがい」の向上は、非常に社会的な意義の大きい取り組みです。私どもはこの取り組みを一過性のものとせず、大きな社会ムーブメントにしていきたいと考えています。そのうえでは、報道機関として信頼性が高く、啓蒙的な役割を担い、幅広い層へリーチできる新聞社の力が不可欠だと考えました。朝日新聞社を選んだのは、働き方改革や労働環境改善などに対して強い使命感で報道に取り組んでおられ、私どもの想いと一番親和性の高いメディアだと思ったからです。読者にもこのようなテーマに関心の高い方が多いようです。朝日新聞が人事関係の担当者によく読まれている新聞だったこともポイントでした。

1,224社の社名を載せた15段新聞広告でエンゲージメント向上に寄与

――アワードへの参加条件として、「はたらく人ファースト宣言」への賛同があります。

 「多様なはたらきがいの尊重」「はたらく人の声を聞く」「それをもとに改善に努める」。そのような趣旨の宣言に賛同いただくと、「はたらく人ファースト宣言」企業として認定されます。認定バッジを無料で使えるようになり、自社が「はたらきがい」のある会社であることをアピールできます。この宣言には1,224社が賛同されました。

――今年1月9日の朝日新聞朝刊には、1,224社の会社名を載せた15段広告を出稿されました。反響はいかがでしたか。

 この紙面は朝日新聞の広告としては令和以降、もっとも多い企業名が掲載されたものだそうですね。大変インパクトのある紙面で、大きな反響をいただきました。中小企業の社名が新聞の15段広告にこのようなかたちで載ることはあまりありません。それだけに、賛同企業から多くの喜びの声をいただきました。自分の会社名にマーカーを塗ってSNS投稿されている方もいらっしゃいました。この広告は、はたらきがいのある会社を目指す社内機運を盛り上げ、自分の会社が「はたらく人ファースト」であるという社員の認識を深め、エンゲージメント向上にも寄与したようです。この新聞紙面を活用して、はたらく人ファーストな会社であることを社内外に発信したり、採用活動で活用したりしている企業もあるようです。

サイズ調整|240109_広告_はたらく人ファースト宣言 2024年1月9日付全国版朝刊

――「はたらく人ファースト宣言」に賛同し、「はたらきがいサーベイ」を実施したうえで応募できるアワードには、1,009社がエントリーしたそうですね。

 この手のアワードとしては大変多い数で、1回目の開催としては大成功だったと思います。このアワードを通じて、初めて「はたらきがいサーベイ」を使用された企業のみなさんからは「社員がうちの会社をどう思っているか、どこに不満があるかよくわかった」などの声をいただき、喜ばれています。

優れた事例を広く発信し、ノウハウを蓄積することで「はたらく人ファースト」な社会を実現

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――審査の結果、優れた取り組みとして「Gold」3社、「Silver」7社などが表彰されました。受賞企業の取り組みについてはどのような印象をもちましたか。

 このようなアワードは大企業が受賞することが多いのですが、「Gold」を獲得した3社がすべて中小企業だったのが嬉しかったですね。職員一人ひとりの才能を広げ、やりがいをもってもらうために、地域と連携した古民家での農業支援、温泉ビジネスなどの新規事業を展開する医療法人。従業員がチームで経営計画を策定し、人件費や利益をもとに自分の給与を決める「給与会議」を実施している化粧品販売会社などもありました。受賞企業の取り組みは非常に先進的でユニークでした。審査員も「大企業では絶対にできない熱のある取り組みが多い」「従業員のことを本当に思われている」などと高く評価されていました。受賞企業上位30社の事例はウェブで公開しているので、これから施策を進める企業はぜひ参考にしていただきたいと思っています。

――アワードに参加した企業からの反響はいかがでしたか。

 「自社の取り組みを世の中に広く知っていただけてよかった」「アワードをきっかけに取り組みを大きく進めることができた」といった喜びの声をいただきました。終わった瞬間に「次回はいつやるんですか?」といった声もいただいています。

2024年6月11日付朝日新聞朝刊・全国版 2024年6月11日付全国版朝刊

――6月には第2回の募集が始まるそうですね。

 第1回のアワードの内容は朝日新聞デジタルをはじめとする朝日新聞社の様々なメディアで広く社会に発信されているため、2回目はより多くの企業に参加いただけるのではないかと期待しています。1回目に参加された企業は、2回目からスコアの変化をみることができます。スコアが上がった企業はどのような取り組みによってそれが実現できたのかがわかりますし、そのデータは貴重な知見となります。
 このアワードは参加企業が増え、回数を重ねるごとに、集まる事例やノウハウ、データも増え、みなさんに還元できるものも増えていきます。それによって「はたらきがい」がある企業が増え、「はたらく人ファースト」な社会が実現する。そのような世界を目指して、今後もアワードを継続していきたいと考えています。

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 第2回「はたらく人ファーストアワード」の詳細はこちらへ。
 https://corp.miidas.jp/landing/hatarakuhito_first_award/2024