龍角散「らくらく服薬ゼリー」と山崎帝國堂「複方毒掃丸」がコラボ
家庭薬の未来に向けた資本業務提携を新聞15段で告知

2024年6月20日、のど専門の家庭薬メーカー・龍角散と、便秘薬の毒掃丸ブランドを手掛ける家庭薬メーカー・山崎帝國堂が、家庭薬の「次の100年」を視野に入れた戦略的資本業務提携を発表。その1週間後の6月27日付朝日新聞朝刊に15段のコラボレーション広告を出稿した。その背景や狙いについて、龍角散代表取締役社長の藤井隆太氏、山崎帝國堂代表取締役社長の竹内眞哉氏に伺った。

レタッチ版_龍角散・山崎帝國堂お二人と商品 (左から)龍角散 藤井社長・山崎帝國堂 竹内社長

セルフメディケーションへの思いを共有する社の商品コラボが実現

龍角散は1871年創業、「ゴホン!といえば龍角散」のキャッチコピーで、龍角散ブランドの製品群を国内外に展開。山崎帝國堂は1888年創業、主力の便秘薬・複方毒掃丸を国内を中心に販売。ともに明治時代から続く家庭薬メーカーとして、「安心安全の原料、製法、製剤などの伝統文化を守り、国民の医療福祉を支え続ける」という使命感を共有してきた。

藤井氏 超高齢社会の到来や、医療財源のひっ迫が社会課題となり、(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする)セルフメディケーションが強く求められている中、家庭薬の役割が今後大きく拡大していくと予想しています。今回の提携は、高品質で伝統に裏打ちされた安心安全の家庭薬の製品群を、長期にわたり日本の家庭に供給し続けることを目指した戦略的資本業務提携です。

 当社は以前から折に触れて新聞広告を展開してきました。薬の「えん下補助」に着目した「らくらく服薬ゼリー」の訴求もその一つで、服薬において誤えんの防止が重要であることを社会的メッセージとして届けてきました。その際に特定の薬を出したことはなかったのですが、今回は提携から週間後のタイミングということもあり、山崎帝國堂の「複方毒掃丸」をらくらく服薬ゼリーに包んだビジュアルをアイキャッチとして展開しました。

竹内氏 コラボレーションさせていただいた複方毒掃丸は、年齢や症状に合わせて5〜30丸まで服用量を調節できますが、小さなお子さまや、介護を受けている方、高齢の方々の中には、丸数が増えると飲みにくいという方もいます。今回の広告は、らくらく服薬ゼリーを使うことで複数の複方毒掃丸を楽に服用できるようになることが一目でわかり、なおかつ、いま藤井社長が語られた2社の提携の意図や、セルフメディケーションの重要性を端的に伝える機能も果たしました。

 龍角散の広告は、商品訴求にとどまらない社会的意義のあるメッセージとしてずっと注目してきましたが、今回のコラボ広告を通じて改めてそれを実感しました。

修正_広告画像 2024年6月27日付 朝刊 全15段2.0MB

社は、戦略的資本業務提携の具体的な内容として、龍角散および毒掃丸の共同プロモーションなどシナジー効果が見込める協働業務や、龍角散から山崎帝國堂への宣伝広告のノウハウ供与などを挙げており今回の新聞広告はその先駆けと言える。

藤井氏 のど専門の家庭薬メーカーである当社と山崎帝國堂は、専門分野こそ違いますが、竹内社長から「高齢者の多くが抱える悩みの一つが、便秘です」という話を伺い超高齢社会に向けて家庭薬の持続的な拡大を目指す同志であることを再確認しました。日本にはすばらしい医療保険制度が整っています。しかし、高齢化により医療需要が拡大する一方で、医師不足や医療従事者の働き方改革などにより、医療提供体制の縮小が避けられない状況になっています。

 その解決の糸口と考えているのが、セルフメディケーションです。日頃の生活習慣や運動の質を見直す。症状が深刻でないときは薬局の薬剤師や登録販売者に相談し、OTC医薬品(医師の処方箋がなくても店頭で買える医薬品。市販薬。家庭薬。)を賢く活用する。頼れるかかりつけ医を持つ一方で、重複受診や頻回受診を避ける。こうしたことの大切さを伝え、生活者一人ひとりの行動変容や健康リテラシーの向上を促すことが、家庭薬メーカーの使命だと考えています。

龍角散佐長

竹内氏 当社は今後のさらなる高齢化やセルフメディケーションの推進による市場拡大に対応するため、龍角散から出資を受け、今後年間に最大億円の宣伝広告資を行う計画です。その際は、販促にとどまらず、疾病予防や健康維持に役立つような情報を届けていきたいと考えています。

 例えば、便秘は女性がなりやすいイメージ強く、実際、女性ホルモンの影響で思春期の女性がなりやすいのですが、80になると性差がなくなってきます。というのも、加齢に伴って排便に必要な筋肉が弱くなったり、直腸の知覚が低下して便意を感じにくくなったりするからです。長く自然な排便に慣れてきた男性が、70歳を過ぎた頃から便秘に悩み始めるケースも多く、その中には薬に頼ることをためらうもいます。快適に排便できたが体のためですので、そうしたことをしっかり伝えていくつもりです。

山崎帝國堂社長

掲載後、ウェブサイトへのアクセスが通常の倍に

龍角散のらくらく服薬ゼリーと、山崎帝國堂の複方毒掃丸という、よく知られた家庭薬ブランドの商品が一つのスプーンの上に一緒に乗っているビジュアルは、意外性とインパクトがあった。家庭薬の「次の100年」に向けて、今後は両社それぞれに新たなメッセージを発信していくという。

藤井氏 今はネットで様々な情報が取れますが、新聞の情報はより信頼感を持って読んでいただけますし、テレビCMで伝え切れないことも伝えることができます。 また新聞読者には医療に関する社会課題や、セルフメディケーションの重要性について届きやすい側面があり、活用し続けています。

 のどに関する製品は冬場に売り上げが伸びる傾向ありますが、当社のコミュニケーションは時期にこだわらず、社会でどんな動きがあるのか、売り場のお客さまがどんなことを望んでいるのか医療や介護の現場でどんなことが起きているのか、といったことにアンテナを張り、そのつど判断して広告を展開しています。
 今後も適切なタイミングを捉え、伝えるべき情報を伝えていきたいと考えています。

竹内氏 当社にとって15段の大きさの広告は今回が初めての経験でした。反響は大きく、掲載日から翌日にかけての自社ウェブサイトへのアクセスは通常の倍程度まで伸びました。

 今後の方針を社員と共有する意味でも、有意義な広告だったと思います。当社は今後年間、藤井社長が何十年もかけて磨いてこられたノウハウに学びながら、宣伝広告に力を入れていきます。
 特に今年から来年にかけての施策が大事になってくると思いますので、ご高齢の方々はもとより、裾野を広げていくうえで、若い方々にも届くコミュニケーションを模索していくつもりです。その際はもちろん新聞広告も選択肢の一つに入ってくると思います。


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