意外と知らないコンテンツマーケティングとは 手法や成功事例を徹底解説

 ここ数年、注目を集めるコンテンツマーケティング。マーケターが意外と知らない注目される背景やマーケティング効果、手法や成功事例までを解説します。

目次

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 コンテンツマーケティングとは、コンテンツに没入させ、商品やサービスなどの興味や関心などを高めるマーケティング手法の一つです。キャラクターやエンタメ作品、メディアなどとタイアップする手法や動画、テキスト、音声など様々な表現方法があります。

 コンテンツとコンテンツの間の短い時間の中で商品やサービスのスペックや特徴、金額を伝えるような手法ではなく、ストーリーの中でじっくりと世界観を作り、生活者の伝えること(ストーリーテリング)で、共感されファンを作ることができます。

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意外と知らないコンテンツマーケティングとは

マーケターが意外と知らない、コンテンツマーケティングが注目される背景やマーケティング効果、手法や成功事例までを解説。

 コンテンツマーケティングはストーリーで商品やサービスを語るので、理解促進につながります。マーケティングファネルでは、興味関心、比較検討のフェーズにあたります。

 興味関心が増し、比較検討を行う上で、商品やサービスとのエンゲージメントが高まり、商品や企業の好意度も向上します。

 メディアのタイアップ広告の場合、広告主が自ら商品の魅力を語るのではなく、メディアからの第三者の視点からの推奨になり、信頼性が増し興味関心や好意度の向上につながります。

メディアが主語のコンテンツマーケティング

 同一のクリエイティブを使うリーチマーケティングと比較するとターゲットやメディア、コミュニティに適した広告を作り分けるコンテンツマーケティングは制作費や制作を管理する人件費などが割高になります。ただ、その分エンゲージメントの高い広告が作れるので、一概にコストパフォーマンスが悪いというわけではありません。課題に合わせてリーチマーケティングとコンテンツマーケティングを組み合わせることは、最適な広告投資ともいえるでしょう。

 制作費が上がることにより、リーチ効率は悪くなる傾向があります。ただ、ストーリー性のあるテレビCMをシリーズで展開することもあるので、必ずリーチ効率が悪くなるというわけではありません。

 テレビのスポットCMやデジタル上の動画広告、バナー広告のようにターゲットに効率良く同一でリーチさせるリーチマーケティングと違い、コラボする作品、メディアやSNSなどに合わせて表現や訴求方法を変えていくことが特徴です。そこに集うファンや読者、に適した情報発信をする必要があるからです。

SNS登場後の急激なメディア環境の変化や生活スタイル、価値観の多様化する時代においては、一つの標準化されたメッセージでは全ての顧客に対応することが難しくなってきたことがコンテンツマーケティングが注目される理由の一つです。

リーチマーケティングとの違い

 

 博報堂ケトルの嶋浩一郎氏はリーチマーケティングとコンテンツマーケティングとの歴史をこう語ります。

 人々から支持されるコンテンツをつくると、それを媒介に人がつながり、コミュニティーが生まれ、マーケティングに有用であることは古くから知られ、実践されてきました。ギネスビールがギネスブックを、ミシュランがレストランガイドをつくったことは、その良い例です。ただ1970年代からはテレビCMの影響力が強まり、コンテンツをつくるより、マス広告で一斉に消費者へ情報を伝達したほうが効率的だと考えられていた時代が続きました。  しかしその後、市場が成熟してモノが売れなくなり、ネットやSNSの普及でマスメディアの影響力が落ちます。デジタルネイティブの若者の支持を得るには、共感されるブランドであることが大事だと言われるようにもなりました。その結果、企業から一方的に情報を発信する広告に比べ、共感によって人から人へと伝達するコンテンツの重要性が増しているのでしょう。

引用元:「広告朝日」潜在欲求を言語化し、共感を生む コンテンツには無駄や余白が大事(2022/12/19)

 2000年以降、Googleなどの検索エンジンで関心があることは簡単に調べられるようになり、2010年代に入ると誰でも情報を発信できるSNSが登場し、情報が爆発的に増え、日々発生する情報量は生活者が処理できる量を大幅に超えるようになります。生活者は大量の情報の中から好きなものだけを選択する時代になり、企業が発信した情報が埋もれ、届きづらくなっています。

 以前、広告はラブレターに例えられました。しかし情報過多の時代には一方的な思いや意図だけでは、、広告主が伝えたいことと、生活者が知りたいことをマッチングさせるコンテンツマーケティングが注目され始めました。

従来の広告とコンテンツマーケティングの違い

 生活者が自由に好きな情報を取捨選択できるデジタル上では、ユーザーが意図しないバナー広告を無視するというバナーブラインドネスという現象が起こるようになりました。そこでストーリー性を持った動画や読み物で訴求するコンテンツマーケティングを行うことが増えてきています。

 SafariのITPやChromeのサードパーティcookie廃止などのクッキーレス化が進むにつれ、今までのような、リターゲティングの手法が使えなくなり始めていることも、コンテンツマーケティングが注目される理由の一つです。

 ストーリーに没入させ、商品の魅力や生活者の暮らしの中でどのように役立つか、商品の作り手や企業の意図や意思をじっくり伝えるコンテンツマーケティングは、マーケティングファネルで見ると、「認知」の次の段階である「興味関心」のフェーズに効果を発揮します。

 商品購入の検討を始めている生活者に対しても優位性や差別化ポイントをじっくりと訴求できるコンテンツマーケティングは効果を発揮します。

ファネル

 

 マーケティングファネルの中で「興味関心」や「比較検討」はミドルファネルという認知後から購入の直前の過程にあります。現在のマーケティングでは、テレビのスポットCMやデジタルの動画広告で効率良く認知を獲得し、ターゲティングバナーで刈り取るという手法が多く使われていますが、興味関心を高め、比較検討をしてもらう過程が必要な高関与商品にはミドルファネルに効果を発揮するコンテンツマーケティングが有効になります。

 コンテンツマーケティングは商品購入のリピートやファン・ロイヤルカスタマー化、F2転換(Frequency2回目の略、リピート購入の意)というインフルエンスフェーズにも効果を発揮します。商品やサービスを購入・利用した後、その商品の作り手の思いや努力を知ったり、実際の生活でどのように役立つかを再認識したりすることで、商品やサービス、企業との関係性やエンゲージメントを深めることができます。

 コンテンツマーケティングを実施する上で、広告枠を購入するペイドメディアなのか、自社で運営するオウンドメディアなのか、SNSのクチコミやニュースサイトなどで記事化されるアーンドメディアなのかというトリプルメディアの観点で目的やゴールを設定することが必要です。また、リーチが獲得できるテレビ、信頼性が高い新聞、ターゲティングがしやすいデジタルなど、実施するメディアを検討する必要があります。

 ペイドメディアでもオウンドメディアでも、そのメディアにどのような生活者がいるか捉えておく必要があります。例えば、経済メディアと言っても、中小企業の社長を対象にしたメディアもあれば、ベンチャー企業の20~30代のビジネスパーソンを対象にしたメディアもあります。年齢や性別、居住地、職業や年収などのデモグラフィックデータは大事ですが、メディアごとに異なるオーディエンスの特性や志向性を考慮することも重要です。

 近年の男女の社会的な役割の変化は広告表現にも影響を与えています。そのような時代において個々のメディアのオーディエンスが社会の変化やSDGsや社会課題などに対して、どのような考えを持っているかを注視する必要があります。

 また、一言でSNSと言ってもそれぞれの用途や世界観が全く異なります。実名のFacebookでは仕事関係の投稿を、匿名のTwitterでは趣味の投稿を、といった使い分けをしている人もいるでしょう。つまり、企業側もSNSを使い分けるユーザーの用途やモードに合わせて、例えばFacebookでビジネス寄りの投稿、Twitterでは趣味に関する投稿といったように出し分けないと効果的に情報を届けることができません。

SNSごとの特徴(世界観)

 コンテンツマーケディングでは、正月や入学式・入社式、こどもの日、夏休み、ハロウィン、クリスマスなどの一年を通してのイベント、商品発売や企業の創立の〇〇周年などのタイミングに合わせて施策を実施することが効果的です。近年、国際女性デーなどの社会課題系のモーメントを捉えたキャンペーンも増えています。

 なお、朝日新聞では2021年3月8日の「国際女性デー」当日の朝刊で、ジェンダーの平等について考える「Think Gender」の特集を組みました。女性の社会進出に関する過去の記事の見出しを活用した意見広告も掲載しています。

 タイアップ広告は新聞、雑誌、ウェブメディアなどが記事体で制作する広告です。ビジュアルとコピー中心の広告と違い、記事体裁でコンテンツに接してもらうことにより理解を促すことが可能です。また、自身の読者をよく理解したメディアが制作するので、より伝わりやすいというメリットがあります。

 例えば空気清浄機の静音性の訴求の場合、経済メディアではビジネスパーソン向けに「静かだから在宅ワーク時に仕事に集中できる」、子育てメディアでは「静かだから幼児もぐっすりお昼寝できる」というように読者に合わせてメディア側から最適な訴求方法の提案を受けることができます。そのメディアで人気の連載や著名人、ライター、特別企画などとコラボレーションすることでさらに効果を高めることも可能です。

タイアップ広告の特徴

 テレビCMの手法の一つでインフォメーションとコマーシャルを組み合わせた造語です。通常の15秒、30秒テレビCMより長尺で商品の使い方や特徴や生活の中でのメリットなどを紹介する手法です。数分から数十分の番組形式のものもあります。テレビ番組風のインフォマーシャルや番組自体とコラボして、番組のセットで出演者が商品を紹介するものもあります。

 玩具、アニメ、マンガ、映画、ゲーム、小説、ゆるキャラなどのキャラクターとコラボレーションする手法で、キャラクターのファンに深く訴求することが可能です。キャンペーンの景品やキャラクターが登場する新聞広告はファンのコレクターアイテムなどになり、Twitterやメルカリなどで取引されるケースもあります。映画公開時やゲーム発売時などにコラボレーションする企業を募るコンテンツもあります。

 TwitterやInstagram、YouTubeなどで多くのフォロワーを持つインフルエンサーとコラボレーションする方法です。インフルエンサーとフォロワーのつながりが強いため、ファンに対しては高い広告効果が期待できます。広告としてインフルエンサーに商品を紹介してもらう場合には、SNSごとのルールでその投稿が広告であると明示する必要があります。もしそういった表示をせずインフルエンサーマーケティングを行った場合、ステルスマーケティング(ステマ)になり、場合によっては炎上するケースもあります。

 映画やドラマなどに商品や企業ロゴなどを登場させる方法です。古くからある手法ですが、映画『マトリックス』『007シリーズ』『マイノリティ・リポート』などが有名です。マトリックスに印象的に登場した携帯電話を覚えている方も多いのではないでしょうか。国内ではアニメ映画で行われるケースも増えています。映画製作側としては、製作費をまかなえるというメリットがあります。

 プロダクトプレイスメントが映画やドラマなどに商品を登場させることに対して、ブランデッドエンターテインメント・ブランドコンテンツは広告として短編映画やウェブムービーを制作し、デジタル上などで配信する手法になります。映画賞を獲得した監督が撮影し、人気タレントが出演するなど映画並みのクオリティーによる本格的なコンテンツもあります。

 企業や商品などのブランドを客観性や批判性を持ったジャーナリズムの観点で企業が自ら情報発信する手法です。2004年にアメリカのマクドナルドで当時グローバルCMOだったラリー・ライト氏が提唱した概念ですが、国内では最近話題になり始めました。

 歴史的に報道機関の中では長らく広告とジャーナリズムは切り離されてきました。ジャーナリズムには広告主の意向は反映できませんし、広告主も自社に不都合なことを報道されることを良くは思っていなかったかもしれません。客観的視点から良いことも悪いことも情報発信するジャーナリズムの要素を企業が自ら取り入れる背景には企業のSDGsやESG投資など企業活動においての社会的責任が重視されるようになったことがあります。

 2010年にマーケティングの大家のフィリップ・コトラー氏が提唱した「マーケティング3.0」ではマーケティングの目的は世界をよりよくすることで、ミッションやビジョンが重要だとされています。近年では企業がミッションやパーパスを打ち出すことも増えています。ただ、実態を伴わない見せかけだけのパーパスだとグリーンウォッシュ、SDGsウォッシュ、パーパスウォッシュなどと、SNSを中心に批判を受ける場合もあり、そうであれば自らを律し、透明性を持って自社の事業をジャーナリズムの視点を持って情報発信することは理にかなっていると考えられます。

 企業が保有する自社サイトであるオウンドメディアの特徴は、SNSやニュースサイトなどで他者から発信された情報とは異なり、発信する情報をコントロールできることです。自社商品の公式情報としての信頼性もあります。BtoBのオウンドメディアではブログ形式のものあり、キーワード解説、事例などの記事があり、業界情報やノウハウなどをまとめたホワイトペーパーをダウンロードできるサイトもあります。

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意外と知らないコンテンツマーケティングとは

マーケターが意外と知らない、コンテンツマーケティングが注目される背景やマーケティング効果、手法や成功事例までを解説。

 元々広告会社はメディアの枠を購入する広告(ペイドメディア)を、PR会社はメディアの枠を購入せずに記事や番組で取り上げてもらう広報(アーンドメディア)を担当していましたが、近年、PR会社が大々的にコンテンツマーケティングを請け負うケースが増えてきています。

PR会社が行う広報では、メディアに取り上げられるなど、人々の関心を集め話題になる文脈づくりが重要な要素になります。もちろん、広告会社も広告キャンペーンが話題になり、SNSやメディアで拡散することを狙いますが、基本的にはコンテンツとコンテンツの間にインパクトのある広告クリエイティブを挟み込むということペイドメディア施策がメインで、PR会社が行うアーンドメディア対策は副次的な要素になります。コンテンツマーケティングでは読者や視聴者の知りたいことと企業が伝えたいことをマッチングさせることが重要なので、PR会社の文脈づくりのノウハウが生かせる領域になります。

 文脈づくりで一番重要なものは、生活者や読者が知りたいことを伝えることです。また半歩先を読み、「これが知りたかった」「これが必要だと思っていた」と思わせることができれば、生活者とのエンゲージメントを強くすることができます。では、生活者の知りたいことをどう捉えるのか、どうやって半歩先を読めば良いのでしょうか。それには影響力のあるメディアはどのような文脈で書いているか、報道しているか、この先どういう流れになるだろうかという広報の基本をおさえることが重要です。

 コンテンツマーケティングにおける人々に受け入られる文脈づくりは、世論形成につながっています。PR会社は戦略PRという手法で世の時流と商品をつなぐ文脈を設定し、その商品に関心を持つ空気(雰囲気)を作り出します。その中には世論を形成するような大々的なキャンペーンもあります。

 SDGsへの関心が高まり、商品自体の機能や効用を訴求するだけではなく、企業はどのような世界を作りたいのか、企業として社会課題に対してどのような解決策を提供できるのか、顧客に対してどういう応援ができるのか-というパーパス(存在意義)が問われる時代には、世論形成力はマーケティング活動において重要なテーマになると考えられます。

 ニューヨークタイムズのT Brand Studioは世界最高峰のコンテンツマーケティングを展開しています。IR資料によるとニューヨークタイムズのデジタル広告の売上は2018年時点で361億円(1ドル140円換算)となっています。報道によると年によりますが、ブランドスタジオの比率は20~35%ということなので、ブランドスタジオだけでも数十億円の売上があることが分かります。

ニューヨークタイムズのデジタル広告売上

 2014年に立ち上がったT Brand Studioは翌年の時点で30~40人規模でしたが、2019年には200人まで規模を急拡大させています。

T Brand studio.の人員体制の歴史PNG

 高品質なコンテンツマーケティングを支える制作チームはエディターとデザイナーだけではなく、ビデオグラファーやエンジニア、クリエイティブストラテジストなど多様なメンバーで構成されています。さながら広告会社や制作会社のような体制です。

T BRAND STUDIOのクリエイティブ体制

 2018年にアメリカの2018 Native Advertising AwardsでBest Native Advertising Strategyを受賞したPomellatoのコンテンツマーケティングはフェミニズムの歴史に合わせてPomellatoの歴史を年表で紹介するものです。20世紀初頭の女性の参政権獲得から現在のパキスタンの人権活動家のマララ・ユサフザイさんや#MeToo運動まで紹介しています。年表の中の出来事をクリックすると当時のニューヨークタイムズの報道記事が読むことができます。年表の中でPomellatoの歴史は1967年に創業されたというものだけで、自社の歴史を描かないからこそ、読者に対して女性の地位向上や社会進出を真剣に応援しているという深い印象を残すことに成功しています。
Looking Back, Striding Forward How women are paving the road to equality

 T Brand Studioは「ジャーナリズムとマーケティングの技術を組み合わせて、説得力のあるストーリーを作る」と言っています。商品を直接訴求せず、企業のストーリーや創業の精神、社会問題を提起するジャーナリズムの精神をに押し出すコンテンツマーケティングを多数展開しています。

 NETFLIXのドラマ「orange is the new black」のコンテンツマーケティングはまさにジャーナリズムとマーケティングの化学反応を成功させた事例と言えるかもしれません。女性刑務所の服役者数の増加、残された家族の問題、支援団体への取材、ドラマの原作の回顧録の著者がニューヨークタイムズの論説で行った指摘などから、男性向けに作られた刑務所の仕組みがいかに女性に合っていないかを解き明かしています。また服役した経緯、刑務所での生活、出所後に待っている人生などを実際の受刑者や元受刑者に動画取材しています。
Women Inmates:Why the Male Model Doesn’t Work

 このコンテンツマーケティングは高く評価され、ハーバード大学ニーマンジャーナリズムラボ所長のジョシュア・ベントン氏は「このスポンサードコンテンツは新たなスノーフォール(2013年にピュリッツァー賞を受賞したニューヨークタイムズのイマーシブコンテンツ)だ」と評しました。

 コンテンツマーケティングの市場全体を調査したものはなく、全体感を把握することは難しい状況です。

 毎年電通が発表している2021年 日本の広告費では、デジタルメディアのタイアップ広告費は、メール広告、オーディオ(音声)広告などと合わせて、657億円とされています。ただ、ここにはインフルエンサーマーケティングやメディアやキャラクターを起用した契約費や広告費などは含まれておらず、またデジタルメディア以外の、テレビ、新聞、雑誌、ラジオでのコンテンツマーケティング費も含まれていません。

 ソーシャルグッドな広告で国内外の広告賞を受賞している高島太士監督は、企業のあり方や情報発信にパーパスが求められる時代に企業が編集力を持つメディアと組むべき理由を次のように語ります。

これまでの日本の広告は、表現のアウトプットを広告会社にお願いしていました。今は「商品の売り方」ではなく「あり方」の方が大事になって、メッセージを会社の中の人が考えるようになってきています。自分たちの考えをどう言語化するのか、つまりは編集能力。コピーもいいけれど、もう少しじわっと来るような考え方を伝えるのであれば編集の力が必要になります。その点では、広告会社よりメディアの方がたけている。また、社会とのつながりが必要な時代なので、ジャーナリズムを理解している会社が編集力を生かしてクライアントと寄り添うのが正しいはずです。

引用元:「広告朝日」パーパスが求められる社会で、クリエーターがメディアと組む意味とは (2022/12/19)

今後、メディアの持つ編集力を生かしたコンテンツマーケティングが増えていく可能性があるのではないでしょうか。

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意外と知らないコンテンツマーケティングとは

マーケターが意外と知らない、コンテンツマーケティングが注目される背景やマーケティング効果、手法や成功事例までを解説。

 

 40を超える著名人・企業・団体が賛同し、「生き方」「家族」「ジェンダー」「教育」「身体」「AI」など、多彩なジャンルの「未来」をテーマに特別発行した広告特集が202255日のこどもの日の朝日新聞朝刊に「未来空想新聞」(ブランケット判12Pフルカラー、東京・神奈川と関西2府4県 226万部)として折り込まれました。特設サイトを用意し、紙面に掲載した各記事はwithnewsに未来空想新聞というカテゴリーを作り連載企画としてまとめました。

.パナソニック 未来空想新聞
パナソニック 未来空想新聞 デジタル

よりよい未来をともにつくろう! こどもの日に「未来空想新聞」を特別発行

 2022年7月1日から6週間にわたり、サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」と、「半沢直樹」シリーズの著者・池井戸潤氏のタイアップ広告特集、「コトブキ・ジローと五人のお客さま 半沢直樹編」全六話の連載が、朝日新聞紙上で掲載され、朝日新聞社が運営する『好書好日』には特設ウェブサイトが設置されました。この企画では、「半沢直樹」シリーズのキャラクターが登場し、ザ・プレミアム・モルツについて語るタイアップ広告を池井戸潤氏が執筆しました。

サントリー プレミアムモルツ 池井戸潤
サントリー プレミアムモルツ 池井戸潤 デジタル

池井戸潤氏が執筆した「ザ・プレミアム・モルツ」のものづくりストーリー。「半沢直樹」の名物キャラクターをゲストに迎え、サントリーの営業マンが熱く語る!

 日本でも年々盛り上がりを見せる3月8日の国際女性デー。朝日新聞では国際女性デーにジェンダーについて考える編集特集「Think Gender」を掲載しています。202238日の朝日新聞にも国際女性デーに関連する数多くの記事、広告が掲載されました。なかでも「男は理系。女は文系。」という目を引くキャッチコピーでインパクトを残し、SNSでも話題になったのが、芝浦工業大学の新聞広告でした。「男は理系。女は文系。」というキャッチコピーでドキッとさせてから、「お母さん、お父さん、そんな『思い込み』を持っていませんか。」で始まるリードコピーで芝浦工業大学としての考えを伝える内容でした。

芝浦工業大学 新聞広告

国際女性デーに合わせてメッセージを発信 芝浦工業大学の「男は理系。女は文系。」企画

 2021年シーズンの米メジャーリーグで、投打二刀流の大活躍が評価されMVPを受賞した大谷翔平選手。その大谷選手を起用したコミュニケーションを展開している三菱UFJ銀行では、昨年10月に公開された朝日新聞デジタルの大谷翔平スペシャルコンテンツとタイアップ。大谷選手の活躍や挑戦を描く読み物と重ねるかたちで「世界が進むチカラになる。」とのパーパスを社内外に訴求しました。この企画は朝日新聞デジタルで大谷選手を徹底分析し、2021年シーズンを象徴する五つのシーンを現地取材した記者が振り返るイマーシブコンテンツ(没入型コンテンツ)と連動した形で公開したことにより、より注目度が高まりました。大谷フィーバーのモーメントも捉え、公開からわずか10日で二つの記事を合わせて17PVを獲得しました。

■報道としてのイマーシブコンテンツ

大谷 スペシャルコンテンツ 

■広告コンテンツ

三菱UFJ銀行 大谷 デジタル

大谷翔平選手を起用したコミュニケーション 新聞社とタイアップしたコンテンツで挑戦の姿勢、パーパスを

 MHD モエ ヘネシー ディアジオ「ジョニーウォーカー」の最高峰となる「ジョニーウォーカー ブルーラベル」の魅力やブランドの世界観を伝える特設サイトを、俳優、映画監督、画家として活躍する奥田瑛二さんを起用し、朝日新聞社が企画・制作しました。スコットランドの蒸留所を訪ねる4分30秒のドキュメンタリータッチの動画、スペシャルサイト、新聞広告紙面を展開。ジョニーウォーカーの日本限定ラベルを制作・販売するキャンペーンの一環として、朝日新聞社が奥田瑛二さんの起用と現地ロケによる動画制作をセットで提案し、実現しました。

ジョニーウォーカー ブルーレーベル デジタル

クリエイティブラボ・事例紹介 MHD モエ ヘネシー ディアジオ「ジョニーウォーカー ブルーラベル」

朝日新聞社のコンテンツマーケティング制作チームのADS(Asahi Digital Solutions)は、朝日新聞の元記者やアートディレクター、フォトグラファーをはじめ、デジタルジャーナリズム賞を受賞したウェブディレクター、映画賞の受賞経験のある動画ディレクター、データアナリスト、マーケターなど、多様な人材を抱えるチームです。朝日新聞社の編集局出身のメンバーだけではなく、広告会社で広告賞の受賞経験者やデジタルメディア出身者など、多様なキャリアを持ったメンバーで構成されています。

ADS体制

 朝日新聞社では日々の報道に携わることで訓練された記者出身の取材力や編集力を活用し、コンテンツマーケティングを実施することが可能です。朝日新聞社のメディアの特徴、読者、論調、書きぶりを知り尽くした元新聞記者、編集者が、商品やサービスをどのような文脈、切り口で紹介すれば、読者に届くかを提案します。

 新聞広告はテキスト、写真、イラストという限られた表現でしたが、ADSは動画や音声表現などデジタルにも対応しています。またデジタル報道で行われる様々な表現方法を組み合わせ、コンテンツスパイラルの手法をコンテンツマーケティングに応用することにより、読者にそのテーマを広くかつ、深く届けることが可能です。

■報道におけるコンテンツスパイラルの概念図

コンテンツスパイラル

 ADSが取り扱う朝日新聞社のメディアの数は約30あり、様々なターゲットを捉えることができます。グループメディアのハフポストやバズフィードなどでコンテンツマーケティングを実施することも可能です。

朝日新聞社のメディア群

 ADSには先述の動画監督の高島太士さんなど、社内外に制作パートナーがいます。また約30あるメディアの編集長も日々読者と接する上で、どのような方向性やアイデアであれば読者の心を動かすことができるか、コンテンツマーケティング制作への助言を行っています。

朝日新聞社 編集長

 AERA STYLE MAGAZINE エグゼクティブエディター兼WEB編集長の山本晃弘氏はコンテンツマーケティングにおいての役割を次のように語ります。

 かつて広告は、発売する商品の特徴をニュースとして打ち出せば成立していました。しかし、今はそれだけを伝えても消費者や読者の心は動きにくい時代と言えるでしょう。では、どうしたらいいか。その手法の一つがコンテンツマーケティングで、広告する商品やサービスの価値を読み解き、ストーリーにして伝えることだと思います。そのときに必要となるのが「reasonable(リーズナブル)」であること。この言葉は、日本語では「安い」と訳されることが多いのですが、英語の語源は「reasonable」で「理由がある」という意味。社会が成熟してきたからこそ、消費者の心を動かすには商品やサービスを購入しようと思える価値と新しい理由が求められるのだと思います。クライアントも気付いていなかった潜在的な価値を読み解き、ストーリーにして伝えることが、私のような広告のつくり手の役割です。

引用元:「広告朝日」商品やサービスの価値を読み解き ストーリーで伝える(2022/12/19)

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マーケターが意外と知らない、コンテンツマーケティングが注目される背景やマーケティング効果、手法や成功事例までを解説。