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10年前から「Z世代的」価値観
2013年にスタートした「ハフポスト日本版」は、当初から働き方など社会課題の解決やダイバーシティの推進を積極的に取り上げてきました。そんなメディアの姿勢について、泉谷編集長は「10年前の創刊時からある意味、現在の『Z世代的価値観』を持ってスタートした」と語ります。
「7年前、『#飲み会やめる』というキャンペーンをしました。背景には、お酒の場で仕事の大事な決定がなされるのはおかしい。参加できない、例えば子育て中の人が蚊帳の外に置かれてしまう、という問題意識がありました。当時は斬新な取り組みとして受け止められましたが、今では『Z世代のアルコール離れ』が調査でも明らかになり、他の世代でもその問題をハッキリと認識している人も増えたのではないでしょうか」
(左から)ハフポスト日本版 泉谷由梨子編集長、かがみよかがみ 伊藤あかり編集長
2019年に生まれた「かがみよかがみ」は、投稿者を18歳から29歳に絞ったエッセイ投稿サイトです。大ニュースではない日常の延長にある出来事を伝えるユニークなメディア運営を続けてきました。当初は、個人の悩みが集まることを想定し『コンプレックスをアドバンテージにする』をコンセプトにしていました。「でも、実際は違った」と伊藤編集長。
「たとえば外見について、そもそも足が細い方が美しいと決めつけている社会が問題というエッセイが集まりました。そうした声を受けて開始数ヶ月でコンセプトを『私は変わらない、社会を変える』に変えました。個人的な問題が社会につながっている。そういうエッセイを大事にした結果、投稿者のコミュニティが約4600人になるほど成長できたのです」
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声を上げれば変わるという感覚
ハフポスト日本版を運営するBuzzFeed Japanは、「毎日が楽しくなる」をコンセプトにしたBuzzFeed Kawaiiも展開し、SNSでZ世代に存在感を発揮しています。
BuzzFeed KawaiiはX(旧Twitter)、TikTokなどで展開するSNSに特化したメディアです。その特徴を泉谷編集長は「文章が少なく画像が主体のスクショメディア」と表現。「Xで完結するZ世代の消費行動から逆算して生み出した形」と説明します。現在はTikTokのフォロワーも急増しています。
コスパがよく可愛いものが好き。そんなBuzzFeed Kawaiiの読者と、お財布に余裕があり自分の正義感にもとづいて行動するハフポスト日本版の読者。一見すると異なる読者層にも見えますが、泉谷編集長は両者に共通点があることに気づいたそうです。
「Z世代に限らずですが、現在はみんなが居場所を求めている。ハフポスト日本版とBuzzFeed Kawaiiは自己肯定と自己実現の装置であり、安全な居場所になっているのです」
かがみよかがみを通して見えたZ世代の特徴について伊藤編集長が挙げたのが、その行動力です。
たとえば、セクハラや性被害に声を上げる女性に連帯を示す「#MeToo」や、職場で女性がハイヒールやパンプスを強いられることに抗議する「#KuToo」などは、当事者の行動がきっかけで大きなムーブメントになりました。
「自分の声で社会は変わると考えられるのがZ世代です。それは『#MeToo 』や『#KuToo 』の盛り上がりを間近で見ているからこそ芽生えた意識で、声をあげることが無駄ではないとわかっているんです」と伊藤編集長は解説します。
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タイムラインに入り込む難しさ
そんなZ世代の本音に迫るのは「これまでの手法だと正直、難しい」と伊藤編集長は明かします。
「生まれた時からSNSに慣れ親しんでいるため、アンケートをしても大人の意図をくみ取って〝それっぽい〟回答しかしてくれません」
そこで必要なのが従来の調査とは別のアプローチです。伊藤編集長が今、力を入れるのがエッセイを通じた意識調査です。
「たとえば美容整形の是非について聞くと、イエス・ノーのアンケートだと『反対』と答えるのはわずか数%にとどまります。でも、『美容整形との距離感』というテーマでエッセイを募集すると、整形依存症への心配や、失敗への恐れなどネガティブな声が可視化されるのです」
1000字を超える文字数だからこそ浮かび上がる本音がそこにあると、伊藤編集長は見ています。
ハフポストの泉谷編集長がZ世代へのアプローチとして注目しているのは(博報堂DYメディアパートナーズの研究所などが提唱する)「タイムライン」です。
「Z世代は起床と同時にタイムラインを眺めると言われています。さらに、アルゴリズムの影響で、タイムラインは自分の興味関心で占められてしまう。そこに入り込むことは容易ではありません」
どんどん限定されたコミュニティのタイムラインに閉じこもっていくZ世代。ビジネスのシーンにおいては、Z世代のタイムラインに入って訴求しなければならない時、悩む企業は少なくないでしょう。そんな時、どうすればいいのか?
泉谷編集長は「企業発信の情報であっても、表面的ではない情報の濃度が求められる」と強調します。
「BuzzFeed Kawaiiは、各ジャンルのいわゆる〝オタク〟によって作られています。コスメだったら、本当のコスメ『沼』の当事者が関わっている。この濃度によって得られた信頼がなければZ世代のタイムラインには入れてもらえないでしょう」
10代〜20代の女性向けメディア BuzzFeed Kawaii
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物事の是非を押し付けたらダメ
かがみよかがみには、生活の中で抱えるモヤモヤだけでなく、時には深刻な性被害について書かれたエッセイも寄せられます。
内面をなかなか打ち明けることがないZ世代が、なぜ、そこまでオープンなのか? 伊藤編集長はそこに「心理的安全性」があるかどうかが大事だと指摘します。
「かがみよかがみには、同じ問題意識を持つ人が集まっています。基本的にペンネームで投稿されることもあり、これ以上ないほどの〝裏垢〟のような存在になっている。エッセイ投稿という行動によってつながったコミュニティならではの心理的安全性が担保されている状態だと言えます」
加えて、募集するエッセイのテーマも大事だと言います。
「結婚に関するエッセイを集めたいなら『結婚へのモヤモヤ』ではだめ。なぜなら、その時点でネガティブな評価を押し付けてしまっているから。『結婚、どうする?』のように、是非には踏み込まない。そうすると、自分の思いをエッセイに書いてくれるのです」
「かがみよかがみ」編集長 伊藤あかり インタビュー公開中
社会をアップデートしてくれる
スタートから10年を迎えたハフポストが力を入れているのが読者コミュニティです。10周年に合わせたイベントを毎月開催し、そこには「5年前から読んでました!」といった、長年のファンがたくさん参加してくれるそうです。
「メディアが提供していたのは情報ではなく、実は居場所だったのではないかと思うようになりました」と泉谷編集長。
そんなハフポストのコミュニティの強さは、企業のプロモーション施策でも効果を発揮しているそうです。
「企業だけの視点で広告を作ると、伝える側の思いが先行して〝ふわっとした〟ものになったり、『上から目線』と受け止められてしまうリスクが生まれたりしてしまいます。企画段階からZ世代の声を入れることで、解像度を上げ、リスクをおさえた効果的な施策を形にすることができます」
かがみよかがみは、2023年10月に徳島市と包括連携協定を結びました。「私は変わらない、社会を変える」というメディアのコンセプトをより具体化させるため、約4600人のコミュニティの声を直接、地域の活性化にいかすのが狙いです。
伊藤編集長が力を入れているのは、地方と東京で意識のずれが特に大きい「移住」についてです。
「地方自治体の側は移住者を呼び込もうとする時、まず、自然のよさなどをアピールします。でも、Z世代の本音を探ると、移住をためらう理由としてジェンダーロールの押し付けといった旧来の価値観への不安が出てくる。つまり、プラス面を訴えるのではなく〝マイナスをゼロにする〟ことが必要だったんです」
社会をアップデートする存在であるZ世代と向き合うことで、メディアのスタイルそのものも柔軟に拡張しているハフポスト日本版と、かがみよかがみ。イベント終了後は、会場に集まったZ世代マーケティングの最前線にいる参加者から、熱心な質問も多く寄せられていました。
◀ハフポスト日本版▶ https://www.huffingtonpost.jp
◀BuzzFeed Kawaii▶ https://twitter.com/BuzzFeedKawaii
◀かがみよかがみ▶ https://mirror.asahi.com/
ハフポスト日本版、かがみよかがみでは、企業のZ世代マーケティングを支援しています。Z世代の特徴を知るメディアだからこそ実現できる訴求をお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。
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「ハフポスト日本版」編集長 泉谷由梨子 インタビュー公開中
1983年生まれ。2005年に慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、同年4月に毎日新聞社に入社。東日本大震災の被災地となった福島では、避難者の心と身体の健康の課題などを担当、2013年に退職。その後シンガポールに転居。日系出版社でビジネス誌編集者として勤めたのち、東南アジア各国からの女性移民労働者を支援するNGOで広報職員として勤務。2016年に帰国し、同年4月にハフポスト日本版に入社。ジャーナリズムの知識とグローバル感覚の両方を生かしながら、ジェンダー平等の問題や働きかた、子育て、男性育休などのテーマで、キャンペーン報道をリード。2018年副編集長就任後は、記事の取りまとめやコンテンツ全体の読者リーチ拡大、クオリティの向上などに尽力。2021年6月より現職に就任。
2009年朝日新聞社入社。 奈良、徳島で警察、高校野球、県政、災害などを記者として取材。 紙面編集者を経て、2017年にミレニアル女性向けウェブ「telling,」の立ち上げにかかわる。 2019年に社内の新規事業コンテストに応募、「かがみよかがみ」を立ち上げ編集長になる。事業移管により、2023年4月からサムライトへジョインし、現在徳島ミライラボ長として赴任し、「Z世代×地方創生×女性活躍」を軸に関西・四国から事業展開を始めている。
1977年生まれ。大学卒業後、朝日新聞入社。佐賀、山口、福岡と勤務し、2007年、デジタル部門へ異動。「asahi.com」の編集に携わり、「朝日新聞デジタル」立ち上げ、動画、データジャーナリズム、SNS連動企画などを担当。2014年から「withnews」の編集長を8年間務めたのち、2022年6月からサムライトに参画。